ここまで、公図の基本的な見方について紹介してきた。では、実際に公図を見る際、どの部分をどのようにチェックすればいいのか。実際の公図を基にしたサンプルを片岡さんと若林さんに見てもらい、どのような点に着目するかを検証していく。

■実際の公図を基にしたサンプル(クリックで拡大可)

道路として認定されているかどうか

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接面道路に「道」とだけ書いてあって地番が入っていないので、おそらく里道だとは思いますが、現在の道路の種類を調べます。「●●区 道路図」などと検索すると認定道路のマップが出てくるので、住居表示の住所を入れて調べる。並行してGoogleマップでどの場所かを確認し、公園があってお寺の下で…などと目印を見ながら、この道路が何かを調べます。

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調べた結果、国道や区道など「道路法上の道路」か、位置指定道路*や2項道路*など「建築基準法上の道路」のどちらでもない場合、そのままでは基本的に建て替えができません。道路法上の道路か建築基準法の道路として認定されていたとしても、幅員などを確認してセットバックの必要があるか調べる必要があります。

[位置指定道路]
建築基準法42条1項5号に規定された道路。私人が築造して特定行政庁が指定した私道で、建築基準法で建物建設の接道条件として認められる。既存道路との交差部などに2辺をそれぞれ2メートルとする二等辺三角形の「隅切り」を設けるなどの要件がある。

[2項道路]
建築基準法第42条2項に規定された道路。建築基準法が適用された際にすでに建築物が立ち並んでいた幅員4メートル未満の道路で、「みなし道路」とも言われる。前面道路が2項道路で建物を建築するには、道路の中心線から2メートル敷地を後退させる「セットバック」をする必要がある。

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隣接地に反社会的勢力の施設などがあったりしたら不利益を被る場合があるので、私は隣接地の所有者の情報は全員調べます745のように隣接地の数が多い場合は、登記簿謄本ではなく「登記事項要約書」の方が手数料が安いのでそちらでも問題ありません。

建て替えができる状態か

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仮に68-11と68-13の所有者が違ったらトラブルになります。例えば68-13の所有者が68-11の所有者に土地を無償で貸す許可を出していたとして、68-11を買った時に、同じ許可を出してくれないこともある。そうなると再建築不可で建て替えができず、土地の価値が3分の1ぐらいになってしまいます。過去にこういうケースで、そういう事実を伝えずに売ってその後連絡がつかなくなった悪質な不動産会社もいましたよ

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あとは、不動産会社がこのあたりの土地を持っていて、分譲販売するときに68-13のような道だけを売らずに管理道路とし、売却時には必ず自社に売ってもらったり仲介させてもらったりすることを狙うケースもありました。だから、少なくとも68-11を買うなら68-13が誰のものなのか仲介会社に「調べてください」と伝えた記録をメールで残しておく。そうすれば、後から言った言わないでトラブルにならないし、失敗したとしても責任の所在が明確になります。

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68-13はもともとある里道を拡幅するときに、県か市が買って公共の持ち物になったんじゃないでしょうか。地番の振り方も考えると、68-1から68-11を分筆し、さらに68-18を分割しようとしたときに68-13を道路拡幅部として公共団体に移譲する手続きを経たのかな? という見方です。そうでないと68-18と68-11の人たちは間口がないので。そこで、68-13の所有者および分筆時の地積測量図*を確認することになります。

[測量図]
土地の形状や隣地との位置関係、面積などの測量結果が記された資料。法務局に申請書類として保管されている「地積測量図」、土地家屋調査士らが現場の境界杭などを見て測量した「現況測量図」、隣地所有者の立ち会いを経て境界を確定させた「確定測量図」がある。

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66-7を買うとして66-9が他人の土地だとしたら、何のための隅切りなのかは絶対に調査します。例えば間口に向かって斜めになっているとか、後から増築したベランダのひさしが出ているとかの状況で、66-8と境界を確定するときに所有権で揉めて、一部の土地だけ分筆して譲る約束をしたのかもしれません。

売主も知らない約束に注意

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73-5は73-3が前の土地を売ったんでしょう。かなり細く見えるんですが、73-3の人が幅員的に再建築できるかどうかは、14条地図ではないから実際の縮尺と違うのでこの時点では分からない。この場合は73-5と73-3の地積測量図を閲覧し、幅員が2メートル以下だったら再建築不可の可能性が高くなります。ただし、地積測量図の作成時期が古い場合はそれでも明確にならないので、現地や建築指導課での確認が必要になってきます。

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この形の場合、73-5の所有者が73-3の所有者に対し、幅員2メートルを確保できるよう土地の一部を貸与し、自分はその部分に建物を建てないという約束を取り交わしていることもあります。仮に73-5の所有者が死亡し、相続人がその約束を知らずに売却したとすると、購入者が想像していた建物を建てられない、というケースもあり得る。私だったらこの状態で買うのは怖いので、73-5の現所有者になんとしても連絡を取ります。

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61-38と61-39は、西側に私道が走っているのかなと思いますね。セットバックしていそうだし、61-17と61-21が間口にしていることからもそう。おそらくここは2項道路でしょう。公図上で道路らしきものがないのに、すごく住宅が密集した地域なら、2項道路の場合が多い。(自治体の指定道路情報で調べて)うん、やっぱり2項道路ですね。こういった形なら建て替えも基本的にOKですし、セットバック部分がどれだけあるのか、すでに分筆されて不要なのか、ということを確認すれば大丈夫だと思います。

不自然な袋地の意味

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22-9は隅切りがあるのでおそらく位置指定道路ですが、例えば22-33を買う場合は本当に22-9が道路として認定されているか調べたほうがいいです。例えば大阪の昭和30年代後半~40年代前半ぐらいの古い分譲地などでは、こういう形でも位置指定道路の認定を受けていないケースがけっこうある。その場合は道路認定のために、接している土地の所有者全員の印鑑が必要になってきます。

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22-22がなぜ不自然な位置で袋地*になっているか不動産会社に聞いた方がいいです。例えば22-21の所有者が22-4の所有者とすごく仲が悪く、壁や塀がどっちに何センチとかで揉めて、「じゃあここは分筆して何も建てない取り決めにしましょう」と折衝役のような役割で袋地を作るケースがあります。私は所有者が同じで袋地である必要がない土地だったら、購入する時に合筆して商品価値を高めます。

[袋地]
周囲を他の土地に囲まれて、公道に出るには他の土地を通行しなければいけない土地のこと。接道していないため、そのままでは建物を建築することができない。袋地を囲んでいる土地のことを「囲繞地」(いにょうち)という。

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22-22は何か仏様のようなものを祭っている土地なのかもしれません。ものすごく土地が高いエリアだったら、皆さんが拝んでいるお地蔵さんだから、というようなことで分筆して非課税にしてもらっているケースが稀にですがあります。

自分の基準で

「何枚も公図を見ていれば、ん? と感じる部分が分かるようになってきます」と片岡さんは言う。基本的に不動産会社は都合の悪いことや言わなくてもいいことを言うことはない、という意識を持ち、気になる点があれば登記簿謄本や地積測量図など、公図以外の資料も使って調べることが重要になってくる。

ただし、公図などの資料から読み取れるリスクなどを気にしすぎると、いつまで経っても迷いが生まれて購入に踏み切れなくなってしまうこともある。「公図上問題がありそうだから逆に安く手にできるケースもあるし、本人が納得できる価格であれば買ってもいい」と片岡さん。あくまでも融資獲得の可否や投資判断の助けとして活用するのが、公図の適切な使い方といえる。

(楽待新聞編集部・金澤徹)

 

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