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保有している物件の売却を考えたことはあるだろうか。2013年ごろから始まった不動産価格の高騰で「いまが売り時だ」という声を聞くことも多かったが、融資姿勢の変化もあってか、以前のような盛り上がりは少し収まったように思われる。

そんな中、2018年4月以降に所有物件を売却したオーナーに取材を行った。市況に左右されずに売却を成功させるにはどうしたらよいのか、売却力を磨くポイントを探っていこう。

買った瞬間から「売却予定価格」を考える

北関東在住の専業大家・大野健さん(仮名)は昨年5月、茨城県に所有していたRCマンションを売却した実績を持つ。購入時の価格3億円に対し、売却額は3億7000万円と、7000万円の売却益を得ることができた。成功のカギとなったのは、利回りアップに徹したことだった。

大野さんがこの物件を購入したのは今から4年ほど前のこと。購入時は築16年で、稼働率は約80%。大野さんは「まず既存の入居者が定着するようにしよう」と考え、入居者がいる部屋から設備の改善を行った。古いエアコンの交換から、無料インターネットの導入、空室だった和室は洋室にするなど、DIYでコストを削減しつつ、バリューアップに取り組み続けた。

その結果、稼働率は98%まで上昇し、家賃も平均1万円上げることに成功。近隣と比較しても、ダントツの稼働率を誇る物件となった。

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運営は順調そのものだったが、自己資金をより手厚くし、返済比率を40%以内に抑えることを目標に、物件の売却を決意する。85室保有している中でもこの物件を選んだのは「残耐用年数が長く、稼働率が高い」ため。実はこの売却、大野さんは購入当初からイメージしていたことだった。

「耐用年数が残り少ないと融資が難しくなりますよね。だから、次買う人が『買いやすい金額』で買えるのはいつまでか、購入した時から数年先の積算価格と利回りを予想しているんです」と大野さん。

売却時は築19年。RCの法定耐用年数は47年のため、残耐用年数は十分ある時期だ。また、稼働率を上げ、家賃をアップすることで実質利回りも向上している。まさにイメージしていた通り、購入する人にとって「買いやすい」物件となっていた。

売却を決めたら、次に考えるのは「売り出し価格」。返済比率40%以内の目標を達成するためには3億6000万円以上で売却する必要があった。この金額を「下限」とし、指値が入ることも想定して「3億8000万円、利回り8.6%」で売り出すことに。すると1カ月後には「3億7000万円」という想定内の買付が入り、承諾した。

売却するにあたって「思いっきり売却益を出そうとは考えない」と大野さんは話す。しかし、運用益を最大化する動きは、売却力の向上にもつながっている。

【売却力アップ!】

・購入時から、売却する時の価格や時期を考えておく
・稼働率が高い物件は魅力的にうつる! 既存入居者の長期入居も狙う
・指値が入ることを想定し、売り出し価格は高めに設定する

理想の買主とつながれるかが勝負

「どんな不動産会社に売却を依頼すればいいのだろうか」。不動産会社選びに悩むオーナーは多いかもしれない。そんな中「物件ごとに売りたい人をイメージして、その人につながる不動産会社を選ぶようにしている」と話すのは、投資歴10年の三浦隆さん。2015年から年10棟ペースで売却を行っており、2018年5月には東京都にある築27年の1棟RCマンションを売却。1億7000万円で購入した物件を2億6000万円で売却することに成功した。

売却した背景には、危険な入居者の存在があった。「2階から4階の住居部分は引き合いが強かったのですが、1階に入っている飲食店に問題を感じていました」。飲食店に行列ができた際に、近隣住民とトラブルがあった履歴や、相場より低い賃料を値上げしようとした交渉で揉め、その際に感じた「危うさ」から、1年半と短い保有期間だったが売却することに決めた。

不動産投資において「サラリーマン投資家目線で安く買い、資産家目線で高く売る」と考える三浦さん。

「買った自分自身と同じ層が手を出すような物件であれば、物件を仲介してくれた不動産会社に売却を頼んでもいいと思います。しかし、資産家であればまた購入する目線が違う。『預金金利よりも高利回りだから』と投資家目線ではあり得ない価格で売れたりするんです」

前述した物件も、買主は資産家をイメージし、不動産会社を選択。実際に資産家が購入し。利回りは約5.6%と、投資家には売りにくい利回りで売却に成功した。

最適な売却先を選ぶため、三浦さんはこれまで出会った不動産会社の情報を集めているそう。「地主とのつながりが強い会社」「○○エリアの売却に強い会社」「相続物件に強い会社」など、物件によってイメージできる会社がある状態だという。「実績が少ない人は不動産会社と接点を増やすという意味で『相続フェア』などのイベントに参加するのはいいと思います」と話す。