また、売却を依頼する際、「媒介契約」をどうするかも悩むところだろう。不動産会社の利益やモチベーションを考えると、確実に売り上げがあがる「専任媒介契約」や「専属専任媒介契約」が望ましいと考えられるが、三浦さんはこれまで「一般媒介契約」でほぼすべての物件の依頼をして売却をしている。

「むしろ、専任には絶対しないですね。理由は多少の競争があったほうが、不動産会社のモチベーションが上がると考えるから。ただし、『心の専任はあなただよ』と伝えられるよう、コミュニケーションには気を付けます」

例えば、指値がされた買付が入った時に「一切受け付けません」と厳しい姿勢を見せすぎないなど、仲介会社の話をよく聞き、提案するように心がけているそう。

売却を依頼する不動産会社は、売却を成功させるためのキーパーソンである。物件力を高めることはもちろん、誰をパートナーに選ぶか、パートナーと良い関係を結べるかは成功するために重要だ。

【売却力アップ!】

・売りたい人をイメージし、その人につながる不動産会社へ売却依頼をする
・売却活動をする不動産会社には、適度な刺激と柔軟なコミュニケーションを心掛ける

高く売れた後は

ここまで高く売却できた話をしてきたが、売却額はそのまま利益にはならない点には注意してもらいたい。むしろ高く売却できた分だけ「税金」が発生する。売却ででた利益に対する税金はどのように計算していくのか。以下で計算式を確認しよう。

譲渡所得金額=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)

譲渡収入金額には「売却した価格」、取得費には「土地や建物を買い入れた時の購入代金や仲介手数料」、譲渡費用には「売却時に支払った仲介手数料など」が該当する。マイホームを売却する際は税率を軽減する特例もあるが、本記事では割愛する。

こうして計算した譲渡所得金額に税率を掛けて計算するが、「短期譲渡費用」になるか「長期譲渡費用」になるかが大きな分かれ道となる。短期の売買は、長期よりも税率が19%も高くなるため、インタビューした投資家の中には「5年を超えていたから売却を検討し始めた」という人もいた。

 

所得税

住民税

長期譲渡所得

15%

5%

短期譲渡所得

30%

9%

高額の税金が発生した場合、税金対策は必須となる。法人で不動産投資をしている戸田匠さんは、同時期に2物件の売却が重なり、約600万円の税金が発生した経験がある。「少しでもなんとかしたい」そう考えた戸田さんは税理士に相談し、さまざまな税金対策を実施した結果、100万円台まで納税額をおさえたそうだ。どんな対策を行ったのか、その一部を紹介する。

(1) 中小企業向けの共済制度に加入

法人の場合、掛け金が「損金」に計上できるため節税になる。また、納付月数が一定期間を超えると全額が返戻される。しかし、返戻時は利益となるため、タイミングには注意が必要だ。


(2) 中古車1台を法人名義で購入

事業で使用できる中古車を購入。減価償却費として計上することで節税になる。ただし、車選びには要注意。「法人の収入に対して高額な車を購入した場合、国税庁から目を付けられやすいと聞いたことがあります」(戸田さん)


(3) 生命保険に加入

各種生命保険を調べ、3分の1が損金として計上できる保険に加入。2分の1が損金になる保険もあるが、返戻率が低くなることから選択せず。「共済制度に比較すると効果は少ないが、これも有効です」(戸田さん)

その他にも、建築士として事業で使用するCADソフトやパソコン、プリンターもこの機会に購入し、できる限りのことを尽くした。ただし、税金は複雑な世界であり、節税対策も「やりすぎ注意」な面もある。合法であることを前提に、出ていくお金を減らしたいところだ。

節税の代わりに「最後のあがき」

節税ではなく、別の方法で「還付」を狙う投資家もいる。昨年物件を売却したFP大家さんは「できる限りのあがきはするが、税金は払わざるを得ないもの」と考え、税金の支払いをクレジットカードで行うようにしている。

クレジットカードによっては利用金額に応じてポイントがもらえるサービスがあり、さまざまな金券や商品に交換することができる。「カード会社によっては、一定期間以内に100万円を決済すると数万円分のポイントが付与されるところもあります。現金で支払いをしても還元はされないですからね」(FP大家さん)

ただしクレジットカードで税金を支払う場合、納付税額に応じて決済手数料が発生する。その他にも納付済みの納税証明書の発行に時間がかかるなどのデメリットもある。まずは、メリットとデメリットを比較検討していただきたい。

今は融資状況が不安定であり、不動産価格は先安観が漂っている状態。変わりゆく市況の中、この先「売却」をいつ、どのように行っていくのか。ぜひこの機会に考えてみてほしい。

※2019年3月26日:記事の一部を修正しました。

(楽待新聞編集部・尾藤ゆかり)

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