PHOTO: iStock.com/winhorse

前回の記事では、東京都内11区を紹介した。今回は残りの12区と、そして23区以外のエリアについてお伝えしよう。

今回も不動産投資をする上で「鉄板」のイメージがあったり、「難しそう」なイメージがあったりとさまざまなエリアが登場するが、実際はどうなのだろうか。

各区の有名な場所や駅、大学を示したイラストと、2019年2月現在で「楽待」に掲載された各区の物件の平均利回り・平均価格を物件種別ごとにまとめた表も付けているので、参考にしていただきたい。

「鉄板」4区、しかし注意すべきエリアも…

基本的に賃貸需要に問題のない「鉄板」ともいえるエリアたち。それがここに挙げた「文京区」「品川区」「目黒区」「世田谷区」の4つだ。しかし、その中でもターゲットを誤れば失敗に陥りかねないリスクも当然ある。エリアの名前だけで判断することは危険だ。

東京大学本郷キャンパスの所在地でもある文京区。古くから教育の街として多くの文人が誕生した街であり、現在でもさまざまな大学のキャンパスがあるほか、中央大学が多摩キャンパスに設置していた法学部を同区に移転する計画を進めている。

だが、住人の層には少し注意が必要だ。

丸ノ内線の茗荷谷駅付近に、区分マンションを所有する投資家は「このあたりは住宅地としての価値が高いエリアで、学生向け物件はそう多くはありません。学生向け需要よりも、子育てファミリー層を含めた転勤者が主なターゲットになってくると思います」と語る。

同じく茗荷谷駅付近に区分マンションを所有する別の投資家も、「茗荷谷駅付近は、中規模のビルが立ち並んでいてオフィス街となっているエリアもあり、オフィス街と学生街が混在しています」と語る。

どんな人が入居ターゲットになるのか? ということをしっかりと見極めないと、賃貸需要の高いエリアでも失敗してしまう可能性がある。注意しよう。


東京湾に面しており、23区の南部に位置する品川区は、大きく5つのエリアに分けられる。

品川駅周辺や臨海部を中心とした「品川地区」は、天王洲アイルや品川シーサイドフォレストなどのオフィス街がひしめく。オフィスビルやマンションなどの高層ビルがある「大崎地区」では、目黒川の桜並木など自然豊かな一面も見ることができる。「大井地区」は、品川区役所の最寄り駅である大井駅を中心としたエリア。駅周辺には、商業施設やホテル、文化施設、高層マンションがあるほか、「大井競馬場」もここにある。

「関東一長い商店街」と言われる戸越銀座商店街のある「荏原地区」は、活気ある下町エリア。住宅街が大部分を占めていて、どの世代も住みやすい街づくりを進めている。「八潮地区」には、大井ふ頭中央海浜公園といったレジャー施設も。また、保育園や学校などの教育施設が充実しており、ファミリー世帯に住みやすい地域だという。

以前、同区大井町に住んでいたという女性によると、「大井町駅近くに大規模なマンションが建築中で、住んでいた当時に比べて家賃が値上がりしている様子です」と語る。

再開発などを経て、ますます需要の高まっている品川区。入居付けに困ることはなさそうだが、区内でもエリアによってその顔はさまざま。自分の目で周辺状況は確認したい。


高級住宅街として知られる目黒区。地価も物件価格も高額になるため、なかなか買える物件は出づらいが、賃貸需要も家賃相場も高く、所有してしまえば安泰なエリアとも言えそうだ。

都内に複数の区分物件を持ち、そのうちの1つが目黒駅近くにあるという投資家は「目黒という立地はやはり強いです。自分の物件は法人契約ですが、退去が出てもすぐに入居が決まるエリアです」と言う。

収益物件の売買などを行う「KAAKIRO不動産投資株式会社」の西本氏も「『目黒に住みたい』とこだわりを持っている人も多く、人気エリアです」と断言。ただ、区内でも学芸大学駅周辺は多少家賃相場が落ちるそうなので、事前のリサーチはしっかりしておきたい。

また、「住みたい街」として人気の高いイメージが強い自由が丘について、30年以上の不動産投資歴があるという投資家は「人気があったり、なかったり…と賃貸需要の波が非常に激しく、読みづらいので手を出したくない街です」と話す。世間のランキングなどにはあまり左右されず、堅実な賃貸需要を狙っていきたいところだ。


こちらも高級住宅街のイメージの強い世田谷区。だが、「実は意外と家賃相場が低く、利回りが見合わないエリアもある」と話すのは不動産売買・仲介などを行う「ストレイトライド株式会社」の釜田氏。特に京王線の芦花公園や八幡山駅周辺、小田急線の千歳船橋駅周辺などは、競合となるマンションなどが多い上に、家賃相場が物件の価格に比べて安いそうだ。

一方、数年前に再開発され、一時期話題も多かった二子玉川駅周辺。2015年に楽天の本社が移転して来て以降、「楽天需要」も著しいという。都内に複数の物件を所有する「レーサー投資家」さんは、「間違いなく需要がありますね。特に外国人入居者が増えました」と語る。家賃の値上げにも成功しており、購入当初24万5000円だった家賃は、現在28万円にまで上げられているという。

「上野毛や尾山台、九品仏といった大井町線沿線は、子育て世帯から一人暮らしまで、まんべんなく『静かに暮らしたい』というニーズを持つ人が一定数住んでくれます。ただ、今後は良くも悪くも『現状維持』ではないでしょうか。需要が急激に増えることも減ることもないと見込んでいます」(レーサー投資家さん)

「下町」エリアは投資向きではないのか?

東京の北東に広がる「下町」。近年は地価の伸びも大きく、注目を集める場所でもあるが、賃貸需要と言う点では疑問の残るエリアも。下町エリアは投資対象としてどうなのか。

23区で最北端に位置し、JR線、東武線、千代田線、日比谷線、つくばエクスプレス線の5路線が交差するビッグターミナルである「北千住駅」のある足立区は、新しい住宅や大規模マンションの建設ラッシュを迎え、人口は増加傾向にある。

北千住駅から徒歩10分の距離に区分マンションを所有する投資家は、「北千住駅周辺は学生にも住みやすい街にしようと再開発が進み、歩道などが整備され始めています」と語る。この投資家によると、北千住駅前にはさらにタワーマンションが建設予定との話もあるそうだ。

この周辺に住む男性も、「もともと使える路線が多く便利な街でしたが、東京電機大学がキャンパスを新設してからは、雰囲気が良くなった」と語る。同大以外に、東京芸術大学などの大学もキャンパスを開設した。

一方、3月16日より千代田線本線への直通運転を開始した「北綾瀬駅」周辺にも注目したい。これまで北綾瀬駅を利用していた人は、千代田線本線に乗るためには、隣駅である綾瀬駅で乗り換える必要があった。それが今回、直通運転が開始し、北綾瀬から1本で大手町や表参道、霞が関などへ行くことができるようになった。この利便性の向上によって、今後、賃貸需要が高まり、家賃相場も上昇する狙い目のエリアとなるかもしれない。

前述の西本氏も「(足立区は)北千住の開発に加え、インフラが整ったことでの今後の需要を見越して、投資対象として人気の高まっているエリアであることに間違いはありません」と話す。

かつて「治安が悪い」と評され、2006年~2009年まで4年連続で犯罪の発生件数がワースト1位になったことがある足立区だが、大学誘致に成功するなど、老若男女問わず多くの世代にとって住みよい街へと変貌を遂げつつある。


下町の面影を色濃く残す荒川区。南千住駅や町屋といったエリアで再開発が推し進められた結果、地価が大幅に上昇。先日発表された公示地価でも、変動率8.6%と都内で最も上昇したのがこの荒川区だった。南千住駅は3路線が乗り入れ利便性も良いため、大型マンションの建設も進んでいる。

だが、荒川区全体で見ると、「大きな企業などが多数立地しているわけでもないので、賃貸需要はそう高くない。金融機関の評価も高くは出ません」(西本氏)という面も。

さらに注意しておきたいのは、万が一の災害リスクだ。区のハザードマップによると、西日暮里の一部以外が平たんな形状であることから、近くを流れる隅田川や荒川が氾濫した場合には、区内の広範囲で甚大な被害を受けると見込まれている。物件の災害リスクを見込み、保険の活用なども視野に入れたい。


葛飾区は、不動産投資のエリアとしてはどうだろうか。ストレイトライド株式会社の釜田氏は「賃貸需要としては、亀有周辺は良いと思います。ただ、区全体としては基本的には投資に適していないエリアではあります」と言う。

亀有駅は大きなショッピングセンターもあり、賃貸需要は高い。また、隣の金町駅は東京理科大学の誘致に成功。近所に住む人は「南口の雰囲気はガラッと変わりました。学生向けの新築アパートが立ち並んでいますし、駅前にはタワマンも建設中です」と話す。

しかし、同区の京成高砂駅周辺に物件を持つ投資家は「葛飾区は、今後どんどん投資対象としての魅力が低下していくでしょう。空き家も増えているし、新築のアパートも建ってきた。厳しくなっていくと思います」と指摘。

堀切菖蒲園駅周辺に物件を所有する別の投資家も、「現在は広告料を2カ月分つければ比較的スムーズに埋まります。しかし、もともとアパートの多いエリアにもかかわらず、近年特に増えてきました。今後は入居付けも苦労するようになると思います」と話している。

確固たる戦略を持たなければ、勝ちづらいエリアであることには間違いなさそうだ。


23区内で最東端に位置する江戸川区。千葉県市川市、浦安市とは江戸川を隔てて隣接している。JR京葉線や都営新宿線、東京メトロ東西線など、東京都心と千葉県を結ぶ路線も多い。

小岩駅から徒歩6分の場所に1Kと1LDKの物件を8戸所有する投資家は、「23区の東端とはいえ、JRが走っていて利便性は高い。今後も賃貸需要は見込めると思います」と語る。

だが、小岩駅周辺では新築物件が供給過剰気味ということで、家賃相場は緩やかに下降していくのではないかとも予想。再開発についても、「昔ながらの商店街が残る地域が多く、以前より再開発の話を聞くことはあるが、進んでいる様子はありません」と言う。

下町情緒あふれるエリアと発展を続けるエリアが、今後どのように融合していくのか注目したい。