PHOTO: tarousite / PIXTA(ピクスタ)

今後の投資対象として適したエリアかどうかを判断するための指標には、さまざまある。そのうちの1つが「鉄道路線の新設・延伸」だ。前々回前回と基本的な「東京都内」の情報を紹介したが、今回は、今後の鉄道の延伸に焦点を当てて東京都内をお伝えしよう。

もちろん、エリアだけが不動産投資における勝因のすべてではないが、交通インフラの変化は街や人にも大きく影響を及ぼす。注目する価値は大いにあるだろう。

東京都が本格検討を開始した「6路線」

鉄道の延伸や新設について東京都は、2017年に「6路線」を対象とした準備基金を創設し、事業化に向けた本格的な検討を始めた。この6路線はすべて設置されると決まったわけではなく、さらに実現したとしてもその時期も明言されてはいないが、先の需要を見込んですでに購入・検討に動いている投資家も多い。

新線ができたり、延伸がされたりすれば、人口や賃貸需要も大幅に変化する可能性があるからだ。これまでは投資対象でなかったエリアの物件も、うまくすれば高利回りに化けることも考えられる。

その波に遅れることのないよう、今一度、延伸・新設計画のある「6路線」をおさらいしておこう。

東京都が準備基金を創設した6路線(※クリックで拡大)

1.羽田空港アクセス線(羽田空港~大井町・田町・東京テレポート付近)

JR田町駅、大井町駅などの付近から、羽田空港に直通する路線を新たに設ける計画。JR東日本は2018年7月に発表した経営ビジョン「変革2027」の中にこの計画を盛り込んでおり、「実現を図っていきたい」と述べている。

JR東日本によると、東京駅から羽田空港まで約18分で行けるようになるほか、新宿駅から羽田空港までの所要時間が約23分になり、半分近く削減されるなどの利便性向上が見込める。羽田空港へ向かうだけでなく、新線の新駅や沿線から都心へのアクセスが良くなるため、例えば品川区大井町周辺など、品川駅より南側のエリアで賃貸需要が伸びていく可能性がある。

JR東日本は、羽田空港アクセス線構想に前向きだ(出典:JR東日本が発表したグループ経営ビジョン「変革2027」 )(※クリックで拡大)

2.新空港線(蒲田~京急蒲田)

東急東横線や多摩川線沿線といった東急線、JRのある「蒲田駅」と、羽田空港までを結んでいる京急空港線が通る京急蒲田駅。「2つの蒲田駅」があるものの、その距離は800メートルほどで、歩くと約15分ほどかかってしまい、乗り換えなどには非常に不便だった。

そんな蒲田駅と京急蒲田駅を新線でつなぐことで、東急多摩川線の矢口渡駅から京急空港線の大鳥居駅までを直通とする構想。東急線から羽田空港へのアクセスが格段に向上することが予想される。

賃貸需要への影響は少ないかもしれないが、東急線沿線に、羽田空港に通勤する入居者層が移ってくる可能性もある。入居者ターゲットの設定に影響があるため、敏感に反応していきたい。

JRや東急線が走る蒲田駅

3.有楽町線(住吉~豊洲)

「東京8号線」こと有楽町線を豊洲駅から分岐させ、都営地下鉄新宿線・東京メトロ半蔵門線の住吉駅までつなぐ計画。実現すれば、江東区内で南北の移動がしやすくなるだけでなく、国交省が発表した通勤通学時間帯の「混雑率」が199%と2018年のワースト1となった東京メトロ東西線などの混雑の緩和にも寄与すると答申では述べている。

不動産投資家の中でも、この路線の延伸を見越して「江東区の東陽、住吉付近に注目している」と購入や物件探しに動いている人もいる。

有楽町延伸の構想がある住吉駅

4.大江戸線(大泉学園町~光が丘)

都営地下鉄大江戸線の終点である光が丘駅から路線を延ばし、練馬区に新設する大泉学園町駅までつなぐ計画。さらに、そこから埼玉県の東所沢駅までをつなぐ構想もある。

練馬区は現在も西武池袋線沿線を中心に賃貸需要の高いエリアで、「賃貸需要に心配はまったくない」(不動産投資家の森田正雄氏)という場所だったが、大江戸線が延伸されれば、その賃貸需要がさらに広がる可能性も高い。大江戸線は新宿や汐留といったオフィス街も通っており、投資対象エリアとしての期待は高まる。

5.多摩都市モノレール(上北台~箱根ヶ崎)

東大和市の多摩モノレール上北台駅と、瑞穂町の同箱根ヶ崎駅をつなぐ構想。その2駅の間には、これまで鉄道路線のなかった武蔵村山市がある。同市が熱望するこの計画が実現すれば、モノレールを利用して立川に直通で行けるようになるため、利便性が大幅に向上することが見込まれる。

武蔵村山市内には大型ショッピングセンターなどもあり、ファミリー層には人気のエリア。新駅をどこに設置するかなどは現時点では不明だが、延伸が実現すれば高利回りとなる可能性も秘めている。

多摩モノレールの「多摩センター」駅と、その周辺の街の様子(PHOTO: かみぞー/PIXTA)

6.多摩都市モノレール(町田~多摩センター)

同じく多摩モノレールだが、こちらは多摩市の多摩センター駅から南に延伸し、町田市の町田駅までを結ぶ計画を打ち出している。上記と併せて実現できれば、武蔵村山市から立川や多摩センターを経て、町田までをつなぐことができ、多摩地域全体で利便性が向上できると答申には記載がある。