PHOTO: 清十郎 /PIXTA

昨年12月、埼玉県深谷市が全国で初めて「マイナス入札」を成立させて話題となった。老朽化が進んだ同市所有の公共施設をマイナス価格で入札にかけ、地元の会社社長が「マイナス795万円」で落札したのだ。これはつまり、市が落札者に795万円を支払ったうえで、さらに土地と建物を無償で譲渡することを意味する。また今年3月にも、北海道室蘭市の公共施設を北九州市の業者が「マイナス881万円」で落札している。

こうしたマイナス入札の背景には、高額な解体費や維持管理費がネックとなり、老朽化した公共施設を放置せざるを得ない自治体の苦しい事情がある。同様の悩みを抱える自治体も少なくない中、不動産がマイナス価格で取引される事例は今後増えていくのだろうか。そして不動産投資家にも参入の余地はあるのか。自治体の担当者に話を聞いた。

解体費が土地評価額を上回る

そもそもなぜ、自治体が身銭を切ってまで公共施設を手放す必要があったのか。深谷市の事例を詳しく見ていこう。

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