2019年3月16日、JRおおさか東線の新大阪駅~放出(はなてん)駅間が開業、新大阪駅と奈良駅間で直通運転されることになった。2008年に一部開業していたおおさか東線が全線開業したことになる。またこれに伴って新駅も4駅が同時開業している。同時に4駅が開業することはめずらしい。

この新線開業の話題、メディアに取り上げられることも少なく、あまり盛り上がっているとは言えない印象だ。しかし、新線や新駅が地域に与える影響は決して小さくなく、人の流れや賃貸相場・土地建物の価格を変える可能性を秘めている。

本記事では、今回開業する新駅の駅周辺がどのように変わるのか、また周辺の不動産の資産価値は向上するかについて見ていきたい。

新駅1「JR野江駅」は3線3駅になるも上昇余地は微妙?

おおさか東線の全線開業に伴って新設された4つの駅について順番に見ていこう。まずは、JR学研都市線の駅でもある「鴫野(しぎの)駅」から1駅北側にできたのが「JR野江(のえ)駅」だ。駅西側徒歩約3分の場所には、すでに京阪本線の「野江」駅があるため、駅名は「JR野江」駅となっている。

おおさか東線は2008年に一部開業していたが、2019年に新大阪~放出(はなてん)駅間が新規開業し、全線が開通となった(画像:JR西日本、クリックで拡大)

住所は大阪市城東区で、周辺は中高層住宅の多い住宅地。商業施設も多く、野江国道筋商店街や関目商店街の徒歩圏である。3路線が乗り入れる京橋駅まで徒歩20分程という利便性の高い場所だ。

そんな便利で住みやすい「JR野江」駅周辺だが、新駅効果による相場上昇の余地は乏しそうだ。もとより同駅周辺は、京阪本線「野江」駅から淀屋橋、大阪メトロ谷町線「野江内代」駅から梅田(東梅田)へ一直線の「2線2駅エリア」で交通利便性が高い。そこに新駅ができて「奈良まで直通」「新大阪駅へ1本」となってもそのインパクトは小さい。奈良まで行くにしても、わざわざおおさか東線を使わなくても京橋まで出て大和路快速を利用すればよい。

右手に見えるのが「JR野江駅」の改札。旧市街地に駅が突然現れた様子がよく分かる

上昇余地が乏しいと考える理由がもう1つある。それは駅周辺の開発余地が少ないこと。新駅周辺は、交通利便性や買物利便性に優れたエリアであるため、(高級というわけではないが)住宅地として人気の高い場所だ。1戸建て・集合住宅共に既存住宅が多く、未利用地が極端に少ない。またこれは後述する「城北公園通」駅にも言えることだが、高架化により駅がつくられているため「駅前」がなく、駅としての存在感が薄いのである。

「JR野江駅」ができることで周辺は地下鉄京阪電車との3線3駅に

新大阪・梅田・淀屋橋まで一直線につながり、JR利用が便利になることは既に住んでいる人にとっては嬉しい話だが、これから投資を考える人にとって妙味は薄いかもしれない。

新駅2「城北公園通駅」、陸の孤島の新駅はインパクト大

もともと交通利便性の高いエリアであった「JR野江」駅(大阪市城東区)周辺とは違い、もう1つ北側(「新大阪」駅寄り)にある「城北公園通」駅は、所在は大阪市旭区。完全なバス便エリアだ。大阪メトロ谷町線もちょうどこの周囲を迂回するように守口方面に伸びており、半径2キロメートル内に鉄道の駅がない交通利便性の低いエリアなのである。

「城北公園通駅」の駅前

その一方で、買い物等が不便かというとそうでもなく、住宅の数は多い。商店街や個店が点在する「暮らしやすい下町」なのだ。都心中心部への移動がしにくい、という理由で、サラリーマン層の家探しではあまり検討に上がる地域ではなかっただけの話だ。

周辺は商店街もあり、店舗の数は多い「城北公園通駅」周辺

新駅以外の鉄道移動が難しいのはネックだが、鉄道空白エリアに新駅が開業したインパクトは大きい。駅周辺には空き家や低利用地も散見される。今後は賃貸需要の増加も見込まれるので、不動産投資における妙味は大きいであろう。