購入したばかり、新築したばかりの物件が傾いてしまったら…。設備故障や雨漏りなどのトラブルとは違い、物件が傾いてから地盤の問題に気づいては手遅れとなる。

物件購入の際、避けるべきなのは「軟弱地盤」と呼ばれる弱い地盤だ。軟弱地盤に改良工事なしで建物を建ててしまえば、地盤の一部が沈下して建物が傾く「不同沈下」や「液状化」といった被害が想定される。

軟弱地盤の目印となるのは「水」があるかどうか。地下水位が高く、地表に多くの水を含んでいることが軟弱地盤の特徴だ。つまり、周囲よりも低い場所にあって水が流れ込みやすい「谷地」や、昔、川が流れていたところを埋め立てた「暗渠(あんきょ)」などは軟弱地盤の目印となる。

こうした軟弱地盤を目視で見分けるにはどのような方法があるのだろうか。地盤コンサルタントとして活躍する高安正道氏とともに、軟弱地盤の見分け方について、都内を散歩しながらお伝えする。

動画でチェック

・昔、川だった場所の特徴

・地盤を見極める際に参考になる地図

・「合流」と書かれたマンホールが意味するもの

・坂が地盤の善し悪しを見極めるポイントになる?

・軟弱地盤の特徴

・擁壁の管理者は誰?

・「擁壁のはらみ」は何が危険?

暗渠(あんきょ)の上を歩く

今回は高安氏に、昔「藍染川」が流れていたという、谷中・根津・千駄木(通称、谷根千)エリアについて解説していただいた。山に囲まれたエリアで「谷地」を形成している。

現在は埋め立てられて道路となっているが、道行く先々で、軟弱地盤を見つけるヒントとなる「橋」や「谷」、「川」といった水にまつわる地名や看板が登場する。

土地の起伏を示した地図で、+マークあたりが西日暮里駅。駅の南東側(写真の+マーク左下)には川だった名残が見られる(参照:地理院地図

スタートしたのは、東京都荒川区にある西日暮里駅。線路の両サイドが崖に覆われ、まるで谷の中を電車が走っているような、いわゆる「崖線」がある場所だ。

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