PHOTO: 花火 /PIXTA

投資用不動産売買の現場で使われる「瑕疵担保免責」という言葉。築古物件に興味がある人は、物件資料や売買契約書で頻繁に目にしているかもしれない。

不動産売買における売主の「瑕疵担保責任」とは、物件にシロアリ被害や雨漏り、また構造上の欠陥など隠れた瑕疵が見つかった場合、売主が買主に対して負う責任のこと。瑕疵担保責任については民法570条に規定されている(ただし2020年施行の改正民法では、『隠れた瑕疵』は『契約の内容に適合しないこと』という表現に置き換えられる)。

築古の売り物件では、この「瑕疵担保」を免責することが条件となっているケースがしばしば見られるが、投資家はこうした物件についてどう考えているのだろうか? 編集部が実施したアンケートの回答結果をもとにお伝えする。

※実施概要
調査時期:2019年3月12~15日
有効回答数:141

買う理由、買わない理由は?

まずは、瑕疵担保免責物件を「買ってもよい」と答えた投資家の意見を一部紹介しよう。

「買ってもよい」派の意見

・瑕疵担保免責であることが価格交渉の材料になるのであれば購入したいと思う(兵庫県・38歳男性)

・ほとんど瑕疵担保免責の物件しか見たことがないので、仕方ないと思って受け入れている(北海道・44歳男性)

・自分が実践している築古戸建では、瑕疵担保免責は当たり前だから(東京都・50歳男性)

・安く購入して、自分で直せば良いだけだから気にしない(神奈川県・58歳女性)

・築古物件はどうせ手を入れる必要があるのだから、瑕疵担保免責を受け入れてその分価格交渉をする方がいい(東京都・男性)

・物件の状態は完全に把握できていると思うので問題ないと考えている(千葉県・45歳男性)

回答としては、安価な築古物件の宿命だとして受け入れる、また瑕疵担保免責であることを指値の条件とする、修繕ができれば問題ない、といった意見が目立った。

続いては、瑕疵担保免責物件は「買わない」と回答した人の意見を一部紹介する。

「買わない」派の意見

・瑕疵に相当する部分の見極めをできるほどの経験値やスキルが自分にはないと思うから。また実際に不具合が見つかった時に対応できる資金もない(東京都・48歳男性)

まだ自分にはハードルが高い。買ったあとに瑕疵が見つかっても対応できないと思う(大阪府・46歳男性)

どれほどの瑕疵なのかが未知数なので、購入するのは怖い(兵庫県・38歳女性)

・購入の時点では瑕疵の可能性が判断できないため(東京都・58歳男性)

・危ないと思うから。実際持っている物件も後から欠陥を見つけた事があるから(神奈川県・45歳男性)

・購入前に物件をつぶさに調査するのは難しいから(大分県・43歳男性)

・短期間では分からない潜在的なリスクを回避したいと思うので(千葉県・49歳男性)

目立ったのは、目に見えない瑕疵を事前に見抜くことが難しいという意見。特に、どのくらい深刻な瑕疵であるのか、その「程度」を把握することは困難であることから、物件に万が一のことがあった場合、どれほどの費用負担となるのかが分からないことも理由として挙がっていた。

購入後にトラブルも

続いて、実際に瑕疵担保免責で物件を購入し、その後にトラブルに遭遇したという人の事例も紹介しておく。

瑕疵担保免責物件のトラブル事例

購入直後に空室が出て漏水が発覚したが、瑕疵担保免責のため売主は対応してくれなかった(兵庫県・35歳男性)

壁面から雨水が浸入するトラブルが2度もあった。売買の際、雨漏りについては告知されておらず、告知義務だと感じた。しかし売主には修繕費用を支払う余裕はなく、その時は保険で対応した(長野県・53歳男性)

・格安で買えたが、瑕疵が見つかった。購入後の修繕費が高く付いた(東京都・59歳女性)

・屋上から雨漏り、水道ポンプはぶっ壊れ、水が垂れ流し状態(東京都・51歳男性)

・シロアリ被害が見つかったが、その時は駆除などの保証をしてもらえた(長崎県・44歳男性)

売主が瑕疵を隠していたかどうかは不明だが、購入後に発覚するトラブルとしてはやはり雨漏りや漏水に関するものが多いようだ。雨漏りは晴天時には発覚しづらいが、修繕履歴のほか、物件見学の際には屋上防水や外壁塗装の状態、また室内の天井に雨染みがないかどうかなどを入念に確認したい。中には瑕疵担保免責であっても運良く対応してもらえたという人もいたが、これはレアなケースかもしれない。

外装材の継ぎ目のコーキング。このようにひび割れが生じていたら要注意(PHOTO: nouvelle /PIXTA)

瑕疵担保免責で売ったことがある人は?

最後に、瑕疵担保免責で物件を売却したことがあるという人にその理由を聞いてみた。回答の一部を紹介しよう。

瑕疵担保免責で物件を売却した理由

・築古の区分物件を売却。築古のうえ、買主が業者だったので(東京都・男性)
・売却後の面倒事に巻き込まれたくないから(神奈川県・48歳男性)
・特に問題のある物件ではなかったが、リスク回避のため(東京都・50歳男性)
・自分が購入したときも瑕疵担保免責だったので、当然だと思っている(神奈川県・49歳男性)
・自分も中古で購入していること、また築古なので自分でも把握しきれていない瑕疵があるかもしれないと思ったため(東京都・30歳男性)

・築30年のRC1棟を売却。設備の老朽化が懸念されたことと、買主が非常に細かい性格だったので面倒を避けたかった(東京都・48歳男性)

・仲介の不動産屋さんも面倒くさいのか、免責でいいと言っていました。私も宅建士ですが、やはり免責に誘導すると思います(長野県・53歳男性)

売却後の面倒を避けたいといった回答が多く見られたが、「買わない派」の意見と同様、売主にとってもどのような瑕疵が潜んでいるかわからないため責任を負えない、という理由を上げる人もいた。

雨漏りやシロアリなど、目に見えない瑕疵は判別しづらい。自己責任と言ってしまえばそれまでだが、特に不動産投資初心者が備えなしにこうした物件に手を出すのは危険だろう。満室でのオーナーチェンジで内見ができない場合や、買付多数の際に急いで交渉を進めるような場合もあろうが、実際に購入後にトラブルが起きうるということを忘れてはいけない。

(楽待新聞編集部)

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