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収益物件の購入にあたって現地調査をする際、投資家は具体的にどの部分をどのようにチェックすればいいのだろうか?

前回の記事では、実際に不動産仲介会社の勤務経験がある筆者の視点で、仲介会社が役所で行う調査について紹介した。今回は、その次の段階である現地調査にフォーカス。現地を訪れた際の確認で必要な知識について説明していきたい。

無断侵入は厳禁

まず大前提として、現地調査では他人の敷地内へ入ることになるため、仲介会社に確認を取っておく必要がある。当然だが、勝手に敷地内に侵入してはならない。基本的には、内見として仲介会社の担当者に同行してもらうといいだろう。

不動産会社が現地へ行くときは、以下の3点を持参していく。もし投資家が1人で行くことになった場合は、これらを持っていくと便利だ。

・住宅地図(スマートフォンのGoogleマップなどでもOK)
・デジタルカメラ(スマートフォンのカメラでもOK)
・メジャー

地図は物件の周辺環境や施設などの位置関係を確認するために必要で、カメラでは物件の現況や敷地の境界標などを記録。メジャーは道路幅員と敷地の接道部分などを実際に測るために使う。できれば懐中電灯もあると、暗いところをチェックしやすくなる。

では、実際に現地でチェックすべきポイントについて説明していく。調べる際の重要度について、筆者の独断だが「A・B・C」のランクで表した。Aが最も重要度が高く、Cは比較的重要度が低いと考えている。

まずは戸建の場合について説明する。

1. 道路幅員と敷地の形状(重要度A)

実際にメジャーで測ってみて、現地の道路状況と建築計画概要書の内容が一致しているかをチェック。建築基準法では道路幅員が4メートル以上かつ接道部分が2メートル以上でなければ建物を建てることができないため、実測でも確認しておいたほうが安心だ。

2. 敷地の境界標や越境(重要度A)

隣に住む住民と境界トラブルになる主な要因として、敷地内の庭木の枝、屋根・庇が越境している場合などが挙げられる。庭木の枝が隣地へ伸びてしまっている場合、隣の住民が勝手に枝を切ることはできないが、所有者に対して枝を切るよう請求することは可能。枝が越境している程度なら切れば済むことだが、屋根や庇が越境している場合は修繕の必要が出てくる。

もし現地調査の段階で越境が確認できた場合は、仲介会社を通して売主にどう対処するのか確認してもらったほうがよい。「越境部分を改善しなければ売買契約はできない」など、はっきりと自分の意思を売主に伝えることも大切だ。隣地所有者が越境についてどこまで容認できるかにもよるため、物件購入前に隣地所有者と越境部分について予め協議を行い、承認を得ることができれば「越境に関する協定書(覚書)」などを作って対処する方法もある。

隣地との境界線にあるブロック塀が隣へ傾いて越境している場合、隣の住民から傾きを直すように要求される可能性がある。売買契約を締結した後になって隣人から指摘されるケースもあるため、こちらも対応をどうするのか前もって売主に確認する必要がある。また、ブロック塀が破損していると、塀が隣地へ倒壊したり破片が隣地へ落ちたりする可能性があるため、そのまま放置していると危険。この場合はブロック塀の所有者が修繕費用を負担しなければならない。

3. 建物の屋根や外壁(重要度A)

屋根や外壁に塗装の剥がれや破損箇所がないかを確認する。乾燥収縮や膨張などでコンクリートにひび割れが生じることもあるが、幅が0.3mm以下のひび割れは「ヘアークラック」といって塗膜など表面だけが損傷している状態なので、基本的に問題ないと判断する。ただし、ヘアークラックであっても雨水が侵入して内部が傷む可能性があるため、定期的なチェックは必要になる。

クラックスケール(定規)で計測したときに、ひび割れの幅が0.5mmを超えているようであれば、表面だけでなく内部にまで亀裂が入っている可能性があるため専門家に点検してもらう必要が出てくる。

4. 室内の雨漏り痕や水回り設備の不具合(重要度A)

室内の壁や天井に雨漏り痕がある場合は、進行中かどうかを確認しておきたい。雨の日や時間の経過とともにシミが広がっている場合や、屋根のスレートにひびが入っていたりする場合などは進行している可能性がある。すでに売主がホームインスペクションを実施しているのであれば診断結果を確認すればよいのだが、未実施の場合は売主に交渉するか自己負担で実施するかを検討しよう。雨漏り箇所の大きさにもよるが、修繕費用は5万~30万円程度が一般的。

室内の水回り設備などに不具合や故障があれば、修繕費用は売主・買主どちらが負担するのかを売買契約前に確認しておく必要がある。基本的に不動産売買は「現況渡し」なので、設備に不具合や故障がある場合でもそのまま引き渡されることがほとんど。引き渡しを受けた後になって想定以上の修繕費用が発生しないように気を付けたい。

5. 採光・通風・異臭・騒音(重要度A)

室内の日当たりや風通しの良さは、入居者の居住性や建物劣化などに関連してくる。気候や時間帯によって日当たりが異なるため、売主に「1日の中でだいたい何時から何時まで日が当たっていますか?」などとヒアリングしたい。他にも、「異臭や騒音でトラブルは起こっていませんか?」「近隣で民泊を運営している住民はいますか?」なども聞いた方が安心だ。

排水溝から鼻をつくような異臭がする場合は、排水管が詰まっていたり汚れていたりする可能性が考えられるため、排水管の洗浄をしてもらえないか仲介会社を通して売主に提案してみるのもよい。もし自己負担で洗浄する場合は、薬品洗浄なら1~2万円、通常の高圧洗浄であれば2~4万円程度が相場だ。

6. 上下水道の口径(重要度B)

地下に埋設されている上下水道管は、市区町村の役場に設置されている埋設状況図(水道台帳)から確認できる。もし埋設状況図に記載されている水道管の口径が現地の水道メーターの記載と一致していない場合は、水道局や上下水道課で不一致の理由を確認する必要がある。個人情報保護のため他人には教えてもらえないこともあるので、売主や仲介会社に確認してもらうのが確実だ。

水道管の口径が小さいことで、容量不足による水道管の変更などが必要になることもある。2階にもトイレのある2世帯住宅などで、排水の際などに水圧不足になるケースだ。物件の状況や水道管の距離にもよるが、20万~30万円ほどかかることもある。

なぜこうした相違が起こるのか。近年では水を多く使用する世帯が増えたことで一般家庭の水道管の口径は20mmが多いのだが、昔は13mmで利用されていた。20mmと13mmでは工事のコストや水道利用料の基本料金が異なるため、水道局への申請は20mmにしておき、実際には13mmで工事を行うケースも存在するのだ。水道の基本料金を抑えたい理由で物件購入者が希望することもある。

7. プロパンガスのボンベの有無(重要度C)

都市ガスの供給エリア内であっても、道路地中の本管から物件敷地内へガス管を引き込む際に費用が掛かるため、物件購入者が費用を抑えたい理由でプロパンガスを選ぶケースがある。そのため、ボンベの有無を確認し、利用期間などもチェックしておく。

都市ガスを利用しているのに空のボンベが置きっぱなしにされている場合、火災時の被害が拡大したり、ボンベの盗難に遭ったり、いたずらでバルブを空けられたりといったリスクが考えられる。また、プロパンガスを利用しているはずなのにボンベが無い場合は盗難にあっている可能性も考えられるので、不明な点があれば仲介会社を通してガス会社に確認を取っておこう。

8. 電柱の位置(重要度C)

もし電柱が敷地内にある場合は、所有者が土地利用料を受け取っている可能性があるため、売主に確認をしておく。また、不動産売買で所有者が変わった場合でも土地利用料を継続して受け取れるのかどうかを電力会社に確認しておいたほうがよい。電柱の土地利用料については、たいていは売主側の仲介会社が把握しているので、まずは聞いてみるのが近道だ。