アメリカ在住の不動産投資家・石原博光さんに、日本でも参考にできる「米国不動産投資」を語っていただく連載、第4回目です。

今回は番外編として、「日本からアメリカに不動産投資をするときに注意してほしいこと」を語っていただきました。

日本人向けに販売されるアメリカの物件の中には、相場よりもかなり高値を付けられている物件もあるようです。損をしないためには、どうしたら良いのでしょうか?

アメリカ不動産投資で「失敗」する人とは

こんにちは、石原博光です。今回はアメリカの物件への不動産投資に関して少し気になる話があったので、皆さんにお伝えしたいと思います。

何かと言うと、悪条件の物件や、相場よりも割高な物件が、知識のあまりない日本人投資家向けに販売されているケースがある、ということです。

節税などのメリットを求めて、日本にいながらアメリカの物件を持ちたいと思っていらっしゃる方も多いと思います。あるいは将来有望な資産としても…。僕自身もアメリカで物件を所有しているわけで、そう思っていただけることは非常に光栄です。

ですが、中には「失敗」してしまっている方もいらっしゃいます。こうした方々に共通しているのは、主体的に行動できていないことだと思います。

もちろん、これはアメリカだけでなく、日本の不動産投資でも同じことです。今回は、なぜ失敗してしまったのか、どうしたら良かったのか、僕の考えをお話いたします。

どんなトラブルがあるのか?

日本人向けに販売されているアメリカの物件の中には、地元で売買する金額からは2割ほど割高な売買価格で販売されているケース(自社物ゆえに可能なのです)や、ドラッグの売人がいたり、犯罪が多発していたりと治安が悪く、安定経営の難しい立地の悪いエリアにあるケースがあるようです。

また、以前の記事でもお話しましたが、本来であれば区分所有用に共有設備をしっかり設けて建築・販売されるべき「コンドミニアム」として、そのレベルには遠く及ばない安普請のアパートを切り分けて1部屋ずつ販売されるケースも見受けられます。

こうしたことが起きる背景には、「投資家自身」の圧倒的な情報収集不足、勉強不足が挙げられると考えています。

「相場に比べて高すぎるのでは」「この辺りの環境はどうなのか」など、物件を購入する際にはだれしも気にすることですが、アメリカという国の物件においては、日本ほどに相場や治安の良さに対する基準を持ち合わせていないものです。結果として、販売会社の言いなりになってしまっている場合があると思います。

ルール知らず「損」になっていないか?

これに付随して、アメリカの不動産売買のルールや習慣も、知らなかったがゆえに損をしてしまう可能性もあります。

例えば、日本では買い主、売り主双方が約3%ずつ支払う仲介手数料ですが、アメリカの場合、買い主は仲介手数料を負担しません。売り主が最大6%を支払うのが一般的です。ですが、これを知らない買い主である日本人投資家に、名目を変えた上で実質的な仲介手数料を支払わせることは十分あり得ます。

さらに買い付けを入れた後でも、契約解除ができる期間(contingency period)には、家屋調査の結果に不満足だったり、融資がつかなかったりといった理由で購入を止めることができます。

この時、アメリカでは手付金が通常返金されますが、わざわざ「手付金を返金しない」という特約がついている契約もあるのです。もちろん、すべては相対取引ですから、双方合意のもとにこの特約を結ぶこと自体は違法ではありませんし、嘘をついているわけではありません。しかし、「手付金は返金される」という基本を知らなければ、この特約に納得してしまって、損をしてしまうでしょう。