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「この物件、利回りいいな」。そう思って良く見ると、土地権利欄の記載が「借地権」だった―。そんな経験は、物件を探す上でよくあることではないだろうか。

今回は、借地権の物件に投資する3人に、その実態を取材。実体験をもとに、メリットやデメリットを聞いた。

また、弁護士に改めて「借地権」が法律上どのように定められているのか、解説してもらっている。借地権物件が本当に検討の土台に乗らないのか、改めて考えてみたい。

「正直そんなに怖くない」

新築から築古まで、さまざまな投資を行う「ものぐさ大家」さんは、大阪府内に土地権利が借地権の物件を4つ所有している。いずれも購入価格が200万円弱という築古の戸建て物件だ。購入したのは2年半ほど前。地代はどれも月1万円台で、この地代を抜いて20~25%の高利回りだという。

例えば、150万円で購入した物件は家賃が5万円ほど。2万円弱の地代を払っているため、約3万円が入ってくると考えれば、利回りは約24%になる。

「購入時点で、地代の支払いを含めた利回りで吟味しています。そうじゃないと意味がないですから」というものぐさ大家さん。借地権物件にも抵抗感はない。

「もともと、減価償却目的で購入しています。減価償却は、建物部分にしか適用されません。借地権物件は土地が自分のものではないため、減価償却の比率が大きい。加えて借地権物件は、その制限がかかっている分基本的に相場より安いので、利回りが高くとれます。おおむね5年以内に回収できるくらいの利回りで購入して、その期間が過ぎたら(物件が)無くなってもいいや、というくらいの考えでいますね。そう思えば、リスクはそこまで高くないですよ」

ものぐさ大家さんの借地権物件の契約形態は、「旧法借地権」が3つと、「新法普通借地権」が1つ。いずれにしても、「借地権物件は嫌だ」と考える投資家も決して少なくないが、ものぐさ大家さんは「『借地権』について、正直、そんなに怖いとは思っていません」と話す。

そもそも「借地権」とは

ここで、改めて借地権について整理しよう。

借地権とは、読んで字のごとく「他人が所有している土地を借りることができる権利」のこと。大正時代から使われてきたのがいわゆる「旧法」借地権であり、1992年に改正された後の借地権が「新法」借地権となる。

不動産投資で言えば、土地所有者(地主)に土地を借り、その土地に建物を新築したり、あるいはすでに借地の上に建っている物件を購入したりした後、その物件を人に貸し出すということになる。土地は地主の物だが、その上の建物については新築したり、購入したりした人に所有権が発生する。

他人が所有している土地を借りて、建物を所有することのできる権利が「借地権」。なお、借地権付きの土地を「底地」と呼ぶ(PHOTO: EKAKI / PIXTA)

旧法は、借主に有利な性格を持っている。例えば、契約の期間が満了した場合、原則「更新」が行われるという点だ。借地の上に木造物件(非堅固建物)を建てた場合の契約期間は20年となるが、この20年の契約期間が終わったとしても、借主による地代の不払いなどがない場合、地主は更新を拒絶することができない。

丸の内ソレイユ法律事務所の阿部栄一郎弁護士は「地主の承諾をもらう必要はありますが、建物の建て替え、増改築などもできます。基本的には、契約内容さえ順守していれば、長期にわたって問題なく使用できるのが旧法の借地権です」と述べる。

「定期借地」には要注意

一方、新法には「普通借地」「定期借地」の2つの借地権がある。ものぐさ大家さんの例にもあった「普通借地」は、旧法と同様に更新を前提にしており、期間満了による契約終了を迎えても、契約を更新すれば土地を借り続けることが可能だ。

注意をしなくてはならないのは「定期借地」だ。こちらは更新を前提にしていないため、仮に期間満了後も借地を借り続ける場合には、「再契約」を結ばなくてはならない。再契約は確約されていないので、地主に拒否されることもある。

■「旧法」借地権(クリックで拡大)

■「新法」借地権(クリックで拡大)

「新法であっても、普通借地であれば契約期間の違いなど以外は、旧法とそこまで大きく違いません。定期借地の場合には、契約期間を意識しないと厳しいでしょう」(阿部弁護士)

ものぐさ大家さんも「定期借地の場合は、相当に利回りが高くなければ難しいと思います」とした上で、定期借地物件も方法によっては投資対象になりえるとの考え方を示す。

「例えば、(契約期間の残りが)10年なのであれば、購入時に原状回復義務を排除し、解体費用も貸主負担ということで契約し、その10年をもって建物自体を捨てるという考え方はアリだと思います。利回り30%くらいであれば、十分回収はできると思うので」

だが、実際には借地権付きの物件は旧法借地権や普通借地権が多く、定期借地物件はあまり出回らないそうだ。