定期借地を除く借地権の物件に投資する際、注意すべきことはなんだろうか。阿部弁護士は「契約内容を十分に確認すること」と指摘する。

「契約時の特約や、また契約内容によっては、『売却時』『増改築時』、あるいは単なるリフォームの時にも地主の承諾が必要な場合もあります。さらに、借地権の物件では、売却時に承諾料を支払う必要があるケース、契約更新の際に更新料を支払う必要なケースも多いので、契約内容は十分理解しておいてほしいです」

当然、地代や契約期間などについても契約書に記載がある。十分にその内容を確認しておきたい。万が一、特約で定められているにもかかわらずリフォームなどを地主に無断で行うことを繰り返してしまえば、契約更新を拒絶するに正当な事由と認められかねない。

「借地権の物件は、地代を支払うことや、イベントごとに地主への承諾を得なくてはいけないということ以外は、基本的には所有権の物件とそう異なりません。ただ、地主との間とのトラブルももちろんあり得ますので、そもそもリスクとして借地権付き物件を外してしまうのは1つの手だと思います」(阿部弁護士)

融資は「引けない」借地権物件

前述のものぐさ大家さんは、昨年の豪雨によって借地権物件の1つに被害を受け、屋根瓦のふき替えを検討しているという。「災害によるものなので、原状回復の範囲ではあると思いますが、実施の際には地主に事前に申し出ようと思っていますよ。無断でやって、後々面倒になっても嫌なので。特約に入っているから言う、入っていないから言わない、ということではないと思います」

こうした手間のほかに、融資が厳しいのも借地権物件のデメリットだ。ものぐさ大家さんはこれまですべての借地権物件を現金で購入しているが、都内にある2000万円の借地権物件の購入を検討した際には、融資を引くことも考えた。結局この物件は買わなかったのだが、買っていたとしても融資は引かなかったかもしれないと話す。

「金融機関からすれば、借地権の物件は評価が低くなります。融資を引くことも可能ではありますが、そもそも共同担保を入れたり、自己資金を何割も入れなくてはならなかったりして、あまりうま味もありません。引いてしまえば、信用棄損とまでは言いませんが、次の物件購入時に足を引っ張ってしまう可能性が高いので、やめたほうがいいと思っています」

それでも、今後も実質利回りで20%以上になるような、条件に合致する借地権の物件と出合えれば、購入も検討するという。「初心者が借地権の物件を最初に購入するのは、ハードルがなかなか高いと思います。しかし、少し経験を積んだ人が購入する分には、特に問題はないんじゃないでしょうか。そこまで毛嫌いされるものでもないですよ」

「借地権」に魅力を感じる投資家たち

今年2月、首都圏にある中古木造アパートを購入した投資家のAさん。土地権利が旧法借地権だったため、想定利回り30%という高利回りの物件だった。地代は月々1万円台。

「融資が引きづらくなってきたため、低価格で高利回りの物件を探していたところ、この物件に行き当たりました」というAさん。借地権に対する抵抗感もなく、むしろ「高利回りの物件が融資なしで購入できるのはありがたかった」と話す。

一方、Aさんは注意点として「地主によっては、地代の額にこだわるような方もいます。そういう土地を借りての投資は、難しいかもしれません」と挙げた。

投資家のBさんは、競売で借地権の戸建て物件を購入した。価格は230万円。周辺の同スペックの物件の相場からすれば、3分の1ほどの安さだったという。

Bさんは、借地権物件のメリットを「地代が経費に計上できることや、イニシャルコストが安く済むこと、また、固定資産税も年間2万円くらいと安く済んだことでしょうか」と話す。

この物件は購入後、約150万円をかけてリフォーム。完成後にすぐに入居者がつき、利回り20%ほどで回っていたという。その後、2年ほど前に500万円弱で売却した。買い主は、減価償却が大きく取れることをメリットに感じて購入したようだった。

「投資家からすると、メリットは大きい部分もあります。ただ、増改築時に了承を取らないといけないとか、売却時に承諾料を支払わなくてはいけないといった制限もあるので、注意は必要ですよね。すべての借地権物件が良いわけではなく、契約次第だと思います」とBさんは指摘した。

物件探しの視野拡大、メインにはならないが…

「借地権」の文字だけで検討から外す投資家も少なくないが、契約の内容次第では、所有権とリスクはそれほど変わらないのに、高利回りで運営できる物件である可能性も秘められている。

融資が引きづらく、また物件価格がそう下がっていない今、物件探しの視野を広げてみるのも面白いかもしれない。

ただし、ものぐさ大家さんは「借地権物件は、メインにはできません」とくぎを刺す。「利回りは良いですが、融資が難しいので、その後の規模拡大にはつなげづらい。承諾料の支払いもあるので、流動性も低い。何より、空室になっても地代だけは必ず払い続けなくてはなりません。所有物件のうち、3割も4割も借地権、というのは、現実的に難しいのではないでしょうか」

こうした意見も参考に、物件探しの一助にしてほしい。

(楽待新聞編集部)