2019年5月29日、「レオパレス21」の施工不備問題に関して、外部の調査委員会が最終報告書を公表した。

調査委は、「90%を超える物件で界壁が施工されていなかったにもかかわらず、全社的に虚偽の建築確認申請を行わせ、確認済証をだまし取った」などと指摘。問題の起きた背景としては「業績を回復、拡大することを最優先としていた。建築関係法令に対する遵法意識の低さもある」などとして再発防止を求めた。

レオパレス21は同日、深山英世社長ら7人の役員の退任を発表。5月30日付で、取締役常務執行役員の宮尾文也氏が代表取締役に就任する。

発覚した問題は

ここで、これまでに明らかとなった問題点を整理しておこう。

一連の施工不備が発覚する発端となったのは、2018年5月ごろに明るみに出た「小屋裏界壁問題」である。同社が開発・販売する「ネイルシリーズ」において、住戸間を区切る壁である「界壁(かいへき)」に不具合が見つかった問題だ。

どのような不具合だったのか。

界壁には、遮音・防火性能をもつ材料が使用される。各住戸を界壁で区切るのは、生活音などを遮断、また火災が発生した際に他の住戸へ炎が及ぶのを食い止めるためだ。

界壁のイメージ図

したがって界壁は、建物の小屋裏(天井裏)にまで達していなければその役割を果たせない。建築基準法でも、界壁は小屋裏や天井裏まで達していなければならないと定めている。

ところが前述のレオパレス物件では、小屋裏に界壁が施工されていないことが確認され、基準法の規定を満たしていないことが分かった。これが「小屋裏界壁問題」の概要である。これを受けてレオパレス21は2018年5月、全棟調査の実施を発表、調査は現在も進んでいる。

なお、レオパレス21が4月に公表した資料によると、対象となる物件約3万9000棟のうち、半数の約2万1000棟で調査が終了。そのうち1万5000棟あまりで不備が発見されている。

ところが2019年2月、その調査過程において、別の新たな施工不備が見つかったことが判明する。新たに見つかった施工不備は以下の3点だ。

・界壁発泡ウレタン問題

界壁内に施工される「断熱材」に関連する問題。建築基準法では、界壁の遮音性を確保するために「グラスウール」または「ロックウール」と呼ばれる断熱材を使用するよう定めており、同社の設計図面でもその仕様とすることが記載されていた。

しかし実際には、「発泡ウレタン」と呼ばれる別の材料が使われていたことが発覚。レオパレス21によると、作業効率向上のために独自に製作した「発泡パネル」を界壁に採用したものの、このパネルが基準法の規定を満たしていなかったことが原因だという。

・外壁仕様問題

施工された外壁の仕様が、大臣認定(建築基準法などに基づき、国土交通大臣が認めた個別の施工方法や材料)の仕様に適合していなかった問題。外壁のサイディングを留め付ける下地の数が不足しているなど、大臣認定の仕様と異なっていた。レオパレス21は界壁と同様、独自に製造したパネルを使用したことが原因だとしている。

・天井部問題

天井部分の仕上げが、設計図面に記載された告示(建築基準法で定められた内容をさらに細かく規定したもの)に適合していなかった問題。告示で定められた「ロックウール吸音板」ではなく、「化粧石膏ボード」が張られていた。

なお5月29日、レオパレス21は、上記の他に界壁に関する新たな施工不備が見つかったと発表した。界壁の仕様について大臣認定と異なる部分があったという内容だが、現時点では原因の特定には至っておらず、現在同社による調査が進んでいるという。

本質的な原因の第1は「業績拡大を優先」

調査委は、報告書で「本質的な原因・背景」として3点を挙げている。

1点目は「経営危機からの脱却と請負建築事業の拡大が最優先とされてしまったこと」だ。

バブル崩壊後の不動産不況による経営危機に陥ったレオパレス21は、その危機から脱するため、「プラモデル」のようにパーツを規格化することでコスト削減・工期短縮を実現した「ゴールドネイル」シリーズなどの新シリーズを次々に開発。こうした開発によって、物件数などの業績を回復、拡大しようと急ぐあまり、建築基準法などの法令に適合させたり、品質を検証したりという作業をおろそかにしたという。

調査委によるレオパレス21の役職員へのヒアリングでは「『走りながら考える』状況だった」という声が上がっている。

「特級建築士」を自称…創業者の「ワンマン」ぶり

原因の2点目として、調査委はレオパレス21の創業者である深山祐助元社長のワンマン体制に陥っていたことだと指摘する。報告書中では、「建築士の資格を有していないながら、次々と新たなアイデアを着想することから、(深山元社長が)『特級建築士』を自称していた」などとも紹介されている。

しかし、そんな深山元社長の姿勢が問題の原因となってしまった。報告書では「進言しにくい雰囲気であった」「当時のレオパレス21には深山元社長とそれ以外の社員という区別しかなかった」「深山元社長に気に入られた営業部門の役職員ばかりが登用され、イエスマンのような彼らに対しても意見を言えるような雰囲気ではなかった」など、そのワンマンぶりを示す役職員の声が紹介されている。

一方で、一連の問題に関する深山元社長の関与については、「同氏が法令に違反して界壁などを施工しなくてよい旨指示・命令した事実までは認められない」「界壁発泡ウレタン問題・外壁仕様問題についても、疑いは残るが、発泡パネルを使用するよう指示・命令したとまでは認定できない」などと述べるにとどめている。

「足場はいらない」、低い遵法意識の衝撃

3点目として挙げられた原因は「建築関係法令に対する遵法意識・リスク感度が低く、品質問題に対する当事者意識が欠如していたこと」である。

調査委は、レオパレス21がネイルシリーズは界壁の施工は不要と考えていたにもかかわらず、建築申請図において「便宜的に」界壁を施工するかのような記載をしたとして、この行為を「建築主事から確認済証を、いわばだまし取る行為」と言及している。

さらに、報告書では深山元社長の遵法意識の低さも指摘した。例えばそれを示すエピソードとして、「足場を組まなくてはならないのに、深山元社長は足場がパネル搬入の邪魔となることを理由に、足場を組まずに作業するよう指示した」などの役職員の声が紹介されている。

深山元社長は調査委のヒアリングにおいて、営業部門を「我々」、開発・設計・工事部門を「彼ら」と呼んでおり、こうした事実を調査委は「役職員において、請負建築事業を営む組織の一翼を担う者としての品質問題に対する当事者意識が乏しかったものと思われる」などと断罪。「当事者意識の欠如も、建築基準法などの法令適合性や品質の検証がおろそかになった要因の1つ」と述べた。

「創業者らの落ち度が主たる要因」

問題の原因・背景を整理した上で調査委は、一連の問題の責任の所在を「深山元社長および当時の経営陣、ならびに商品開発担当部署の役職員の落ち度が主たる要因」と断じる。

一方で、支店の設計担当部署や工事担当部署の役職員らの中にも事実ではない建築確認申請を行ったり、確認申請図と施工図の内容の齟齬を放置したりと、全社的な関与があることも示した。

また、界壁問題においては、歴代の経営陣および担当部署役職員らについて、「早期発見・対応が可能だったにもかかわらず、『ことなかれ意識』が故に、リスク感知能力が足りず、問題を矮小化し、早期発見・対応を怠った」と述べた。

こうした外部調査委による最終報告書を受け、深山英世社長らが出席した記者会見で、同社長は「関係各位に大変なご迷惑をおかけしており、改めてお詫び申し上げる」と陳謝。「経営の刷新を図ることを最優先する」として、辞任を発表した。

レオパレス21は「根本的な原因を踏まえ」て、今後に向けた再発防止策も公表。企業風土を抜本的に改革するため、例えば、コンプライアンスへの取り組み姿勢を人事評価に反映する仕組みの導入の検討や、法令違反の報告体制を整備していくという。

さらに、従来は設計段階で各種図面を別々に作成していたために齟齬が生じていたことから、今後は「BIM(Building Information Modeling)」と呼ばれるシステムを導入し、それぞれ整合性のとれた図面を同時に作成できるようにするという。

だが、これらの再発防止策を打ち出しても、表面上機能しているように見えるだけでは意味はない。経営陣の刷新も行われるが、企業風土はいかに変わるのか、オーナーとの信頼関係構築をどのように行っていくのか、注目される。

(楽待新聞編集部)

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