大好評のうちに幕を閉じた「築古戸建再生コンテスト」。これまでいくつかの応募作品を紹介してきましたが、掲載しきれなかった物件はまだまだたくさんあります。

コンテストは終了しましたが…本記事ではさらに5件のリフォーム事例をピックアップしてお届け! これまでに公開した事例と合わせて、お気に入りの作品をぜひ探してみてください。

フルリフォームで差別化、+1.5万円で入居(osomatsu70さん)

塗装だけのリフォームでも雰囲気がガラッと変わった階段。白系で統一しつつ、蹴込み板とウォールステッカーが程よいアクセントに

osomatsu70さんの物件概要

所在地

愛知県名古屋市

購入価格

290万円

築年数

28年

リフォーム費

280万円

賃料(年)

96万円

表面利回り

約17%

<osomatsu70さんのコメント>

以前、戸建てを買った仲介業者さんから紹介されました。外壁はボロボロ、複数の個所で雨漏りがあり(室内に洗面器が置いてある)、室内はカビだらけ、しかも旗竿地という物件でしたが、築28年で新耐震、土地勘のあるエリアであり、間取り変更(5DK→4LDK)すれば需要はあると踏み、購入を決意しました。

480万円の売り出し価格に対し280万円で買い付けを入れましたが、別の方が400万円で買い付けを入れ、一度はお流れに。ところがその方は物件のあまりのボロさに不安になったらしくキャンセルとなり、仲介さんから再度私に声がかかりました。交渉の結果、私が290万円で購入しています。

写真の階段は、今回のリフォームでもこだわったポイント。塗装のみのリフォームですが、蹴込み板(階段の垂直部分)をアクセントとして濃いめの色にし、ウォールステッカーを貼ってフォーカルポイントをつくっています。

大変だったのはベランダです。FRPの防水が割れて内部の木が腐っていました。塗装の職人さんが足場からベランダに飛び降りた際、穴が空いてそのまま下まで落下してしまい、申し訳ないことをしました。これは築古のリスクなので、十分な注意が必要です。ベランダはその後腐ったところを解体し、補修のうえ再度防水工事を行いました。

木が腐り、穴があいてしまったベランダの床。下地を補修し、新たに防水を施して対応

家賃の相場は築年を考えると6万5000円程でした。が、シロアリや雨漏りがあったためフルリフォームした結果、8万円で入居が決まりました

仲介業者さんや内見者からの評判はとてもよかったのですが、たまたま周辺駐車場に空きがなく、その点で苦戦しました。購入時、売主さんの月極駐車上を継承しておくべきだったと勉強になりました。

入居者の方は戸建てを希望していたご夫婦です。同市内で戸建ての賃貸物件は数件ありましたが、いずれもクリーニングのみでの貸出だったので、フルリフォームしたことが差別化になったのだと思います。

水回りのリフォームに注目!(岩橋輝幸さん)

IKEAで購入したキッチンに交換。吊り戸棚の扉は黄色にしてカラーアクセントに

岩橋さんの物件概要

所在地

東京都足立区

購入価格

198万円

築年数

57年

リフォーム費

150万円

賃料(年)

117万6000円

表面利回り

約34%

<岩橋さんのコメント>

インターネットのポータルサイトで見つけた物件です。その日の夜に買い付けを入れるも2番手…。が、1番手の方が決済当日にキャンセルし、購入することができました。リフォームでこだわったポイントはキッチンです。吊り戸棚の扉を黄色にしてアクセントをつけました。

一番大変だったのは、新規に設置した洗面設備の排水管です。何社かに見てもらいましたが、各社とも「排水は取れない」との見解で一致。一度は断念しましたが、床を剥いでお風呂の配管に接続する方法があると分かり、無事設置することができました。

独立した洗面所を新設。洗面の排水は浴室の排水につなげた

現在は9万8000円で賃貸中です。入居者の方からの評判もよいですが、一番褒めてくれたのは客付け会社の方でした。下見に行かれた際、わざわざ「すごいです!」と電話をくださいました。

上下階をセパレートして利回りアップ(おぢぢ718さん)

おぢぢ718さんの物件概要

所在地

大阪府東大阪市

購入価格

180万円

築年数

54年

リフォーム費

650万円

賃料(年)

約163万円

表面利回り

約20%

<おぢぢ718さんのコメント>

前所有者が相続した後、長年空室だった連棟戸建てのうちの1戸です。築54年で見た目もボロく、1戸で募集しても家賃は6万円も取れないだろうと近隣の客付け会社に言われていました。そこで、1階と2階をセパレートして2戸にし、リフォームすることに。外壁と上下階の内装リフォームに加え、2階には給排水、ガス、電気などをすべて新たに引き込みました。

外装・内装デザインは自身で考え、設備機器(便器、システムキッチン、システムバス、洗面台)から内装建具、玄関ドアまで自分で手配し、職人さんには施工のみに徹していただきました。

工夫した点は2階の床です。上下階で遮音性を確保するため、2階にあった既存の畳はあえて撤去せず、その上に下地をつくってクッションフロアを貼って仕上げました。このアイデアは、畳の処分費の節約にもつながっています。

既存の畳はあえて撤去せず、上からクッションフロアを貼った

近隣には築40年~50年ぐらいの空き家が多数あるため賃料では勝負せず、和室をなくすなど新築に見間違えるぐらいまで手を加えることで差別化しています。

2019年5月末にリフォーム完成。2階は工事中に内覧があり入居が決まりました。家賃は6万8000円です。当初は1戸でも6万以下と言われていましたが、2階だけで6万円の家賃を頂くことができています。1階は現在、募集中です(※編集部注:2019年5月時点でのコメントです)。

高級住宅地で家賃30万円の戸建て賃貸(TORAさん)

物件の顔となるアプローチ(玄関までの通路)はタイル張りにして高級感を演出。写真左の奥に見える門扉は、アプローチの入口に移動した

TORAさんの物件概要

所在地

東京都目黒区

購入価格

4000万円

築年数

40年

リフォーム費

350万円

賃料(年)

360万円

表面利回り

約8%

<TORAさんのコメント>

2年前、たまたま当該物件の近くを通りがかり、売り出しの準備をしていた所に出くわしたのがきっかけでした。場所が自宅の近くだったのですぐに見学を申し込みました。

東急東横線自由が丘駅から徒歩7分ほどという立地。レストランが立ち並ぶストリート沿いながら、少し奥まった立地のため喧騒からは隔絶されています。土地は100平方メートル超、延床面積85平方メートルの2LDKです。

話を聞くと元々の所有者は外国の方だったそうで、水廻りやアイランドキッチン、それにウッドデッキ含めて30畳超のLDKはいかにも外人好みでした。ただし問題は、接道が1.8メートルしかなく再建築不可だった点。さすがに躊躇しましたが、業者さんには情報公開を1日だけ待ってもらうことにして、自宅に帰り検討しました。

まず想定賃料について、このエリアは戸建賃貸物件が少なく、マンションがメイン。70平方メートル程度で月額30万円超の募集事例もありました。よってリフォーム次第で30万円の賃料設定も可能と判断。

次にリフォーム費用について、内装・設備関係は、フルリフォームされており、手を加える必要があるのは外構と外壁だと判断。リフォーム費を300万円程度と想定しました。

最後に出口ですが、この物件は通常物件の半値以下であり、建物を適切に維持管理すれば立地からして実需向け出口ありうると判断。また「将来的にここに住みたい」という子供への相続も有力な選択肢になりました。万一に備え、保険には上限額まで加入しています。

これらの検討結果を踏まえ、そして何よりも「自分で住みたい!」という直感を信じて翌日購入申込書を提出、購入に至っています。

リフォームでは、物件の第一印象を決めるエントランス周りにこだわりました。ハイクラス物件にふさわしい外観となるようタイル貼りにし、急だった階段の途中には踊り場を設けて緩やかに。もともと階段を上りきったところにあった門扉はアプローチの入口に移動しました。

戸建住宅ならではの庭をどう作りこむかという点も工夫しています。ここで採用したのは人工芝と白いハイフェンス。朝起きると、1階寝室の窓からの白いフェンスと芝の緑のコントラストが目に映えるはずです。

人工芝と白いフェンスの庭

この物件は再建築不可であることから、必然的に建物の維持が最重要課題となります。そのため、屋根の瓦から床下に至るまであらゆる観点から建物の現状調査を行って問題点を洗い出し、現時点で必要な最善の修繕・補強対策を実施するとともに、将来に向けた劣化予防対策を取ることを心掛けました。

リフォーム後、計画通り30万円/月でハイエンド向け賃貸物件を得意とする仲介業者さんを通じて募集開始。ほどなくその賃料にて成約、現在まで外国の方が入居継続中です。

近所で有名ないわく付きの空き家、実は…(仙台のとしやんさん)

古家付き土地を探していたところ見つけたのは、築古戸建てではなく…

仙台のとしやんさんの物件概要

所在地

宮城県仙台市

購入価格

150万円

築年数

44年

リフォーム費

1150万円

賃料(年)

355万円

表面利回り

約27%

<仙台のとしやんさんのコメント>

古家付きの土地を探していたところ見つけた物件です。売り出し価格は350万円でしたが、部屋を見ることができないため間取りも分かりませんでしたので、指値をして150万円で購入しています。

使われなくなって20年以上放置されており、廃虚のような状態でした。敷地にはススキが生え、切り倒した大木が横たわり、冷蔵庫が数台庭に放置されているという荒れっぷり。さらには室内への侵入を防ぐためか、窓には板が打ち付けられ、厳重に閉ざされていました。

あとで理由が分かったのですが、目の前に中学校があり、不良のたまり場になってボヤ騒ぎが起きたことがあったそうです。近所ではいわくつきの空き家として知られていて、火災が起きないかみんなが心配していたようです。

仲介業者の担当者は「(購入は)やめた方がいい」と強く反対していました。それでも、スーパーが近く交通の便が良かったことなどから、購入を決めました。

購入後に分かったのですが、物件には8部屋+共有部分にトイレが2つ、離れのお風呂場がありました。どうやら学生寮だったようです。

物件外観

2018年6月にリフォームが完了、2019年5月に1部屋月額3万7000円+共有部分光熱費4000円の設定で8部屋満室となりました。1年未満の退去者は3名で、その後2カ月ぐらいで次の入居者が決まっています。

室内までツタが伸びるなど荒れていたが、きれいにリフォーム。1階は男性用、2階は女性用として募集し、内装も女性用と男性用に分けている。写真下は女性向けの2階の部屋。ふすまはピンクに塗った

入居者からは費用面で喜ばれています。初期費用0円、大家が直接募集しているため仲介手数料も0円、家電もそろっているので、所得の問題などで1人暮らしが難しい方に喜ばれています。その反面、洗濯機やシャワールーム、トイレなどは共有なので、トイレの使い方、騒音問題等の苦情があります。これについては物件が自宅から近いためこまめに対処しており、今のところ大ごとにはなっていませんが、通常のアパートより手間がかかると感じています。ただ、表面満室利回り27%だからと思うと頑張れます

過去の記事を含め、これまで応募作品のうち14件のリフォーム事例を紹介しました。残念ながらすべてを紹介することはできませんでしたが、いろいろな物件があり、いろいろな考え方、手法があることがお分かりいただけたと思います。

今回の5作品について、皆さまからのご感想などもコメント欄にてお待ちしております。

(楽待新聞編集部)