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「ドローン(小型無人機)」は不動産投資に生かせるだろうかー。技術の進歩により、数年前から一般人でも手に入れられるようになって話題を集めたことは記憶にも新しい。趣味としてだけでなくビジネス展開も増えつつあるドローンだが、不動産投資家にとっては物件の現地調査や修繕箇所の確認、あるいは新築物件のイメージ写真撮影などと幅広い活用の可能性も秘めている。

その一方で、航空法などによって厳しい制限がかかっているため、誤った知識のまま飛ばすことは非常に危険だ。

ドローン活用のメリットや規制について、正しい知識を身に着けたい。

もともと投資に生かそうと思ったわけではないが…

不動産投資家のKさんは、自身が所有する物件や、購入を検討している物件の屋根・屋上を確認するためなど、これまで何度もドローンを使用してきた。「数年前、ドローンが話題となった時に購入し、ドローン飛行に関する民間資格も取りました」と言う。

「もともと、不動産投資に生かそうと思ったわけではないんです。ただ、戸建てやアパートなどで屋上防水の状態を確認しようとしても上に登れないケースもあり、そういった時に使えると思って使用し始めました」

Kさんが持つドローンは約15万円。搭載されたカメラで動画を撮影し、撮影された動画を家でゆっくり確認することができることが大きなメリットだと話す。

Kさんは物件をドローンで撮影し、後でパソコンで見返すと言う(写真は動画を切り出したもの)

また、「野立て」の太陽光発電投資も行っているKさん。太陽光パネルを設置している土地の周辺地形や、設置後のパネルの状況確認のためにも、ドローンによる撮影を行っている。

簡単に手に入るが、飛行には厳しい制限

そもそもドローンとは、人が搭乗しない航空機のことを指す。最近のドローンにはGPSや電子コンパスなどが搭載されているものも多く、操縦・飛行にはさまざまな技術と知識が必要だ。

ドローン飛行のための申請代行などを行う行政書士で、自らもドローン操縦士である吉田智恵さんは、「今や誰にでも簡単に手に入るものですが、実際には多くのリスクが伴います。認識が誤っている人も多く見られるので、しっかりと知識をつけてほしい」と警鐘を鳴らす。

ドローンの飛行は、航空法や小型無人機等飛行禁止法、道路交通法や各自治体の条例といった法例によって厳しく制限されている。罰則も設けられており、例えば航空法に違反した場合、最高50万円以下の罰金刑に処される。

例えば、人口集中地区では、管轄の航空局の許可を事前に得なくてはドローンを飛行させることはできない。また、日没後に飛行させる場合や、第三者または第三者物件(電線、電柱などを含む)との間に30メートル以上の距離を保てない場合なども、航空局の承認が必要だ。

※ただし、機体の総重量が200グラム未満の場合には航空法に関する規制は受けない。また、屋内での飛行は規制の対象外。

ドローン飛行の際、許可が必要となる空域(出典:国土交通省ホームページ

ドローン飛行の際、承認が必要となる飛行の方法(出典:国土交通省ホームページ

上記の制限がかかったエリア、あるいは制限のかかった飛行方法でドローンを飛ばしたいと思えば、管轄の航空局の許可・承認を得なくてはならないのだ。人口集中地区は国土地理院の地図などで確認することができる。

赤い部分が人口集中地区。緑の円は空港などの周辺空域にあたるため、こちらも許可が必要(出典:地理院地図

「『うちは田舎で、人口集中地区じゃないから申請をしなくてもドローンを自由に飛ばすことができる』という認識の方も多いのですが、電柱や街灯も含めて第三者の物件が30メートル以内にある場合には承認申請が必要です」(吉田さん)

ドローンの離発着場についても細かな規定があるため、申請を出す際はこうした条件を細かく読み込み、規定に引っかかる場合には自分が行う安全対策などを付記しなくてはならない。

吉田さんは、「どこならドローンを飛ばせるんですか、とよく聞かれますが、むしろ自分が飛ばしたい場所はどういう許可・承認が必要なのか、どういう手続きを行えば法令上クリアすることができるのか、ということを考える必要があるんです」と解説する。

許可・承認を得る手続きには時間がかかる

こうした許可・承認を得るための申請は、基本的には国土交通省のホームページからオンラインでできるほか、申請書をホームページから入手して記入し、郵送、または窓口に持参することでできる。

申請後、許可・承認が下りるまでには時間を要するため、申請は「飛行開始予定日の少なくとも10開庁日前まで」(国土交通省)に行う必要がある。ただ、申請に不備があった場合には、指摘事項を修正する必要があるため、より余裕を持って申請を行わなくてはならない。

操縦者が同じ場合で、かつ業務として一定期間内に繰り返しドローンを飛行させる場合には、「包括申請」を行えば、特定の日時や場所を指定することなく、最長1年間まで許可・承認を得ることもできる。

ただし、訓練や趣味のために包括申請を行うことはできない。不動産投資家が所有する物件の点検や購入前の物件を、売り主の許可を得て撮影する場合は「おそらく、業務とみなされる可能性が高い」(吉田さん)そうだ。包括申請で許可・承認を得た場合には、3カ月ごとに飛行実績を報告する義務が生じる。

ドローンによる物件点検は「難度が高い」

制限の厳しいドローンも、許可・承認を得ることができれば飛行は可能。だが、誰にでも申請ができるわけではない。申請のためには(1)GPSを切った状態で上昇やホバリング(停止飛行)、前後・水平方向への移動などができる、(2)10時間以上の飛行実績がある、(3)航空法や気象、電波などに関する知識を有している―といった条件を兼ね備えていることが前提だ。

「ドローン操縦には、十分な技量と幅広い知識が重要です。電波があるからこそドローンはその場で飛行をすることができますが、これがきちんとわかっていなければ本当にリスキーで、人や不動産を損傷させてしまう恐れもあります。ドローンを使用した物件点検は、難度が高いと思います。屋根などを撮影する際には、多少の費用をかけてでもきちんとした技術を持つ業者に依頼するか、あるいは棒などにカメラをつけて撮る、といった方法が安全だと思います」(吉田さん)