「YouTuber(ユーチューバー)」が人気を博している。YouTuberとは、動画共有サービス「YouTube」に動画を公開し、そこから得られる収益で生活する人のこと。最近ではTVに出演するYouTuberもいるなど、世間一般の認知度は非常に高まっている。

国内最多となる800万人のチャンネル登録者を抱えるのが、人気YouTuberの「はじめしゃちょー」。「コーラ風呂に体中メントスで入ってみた」「スライムで風呂作ってみた」などのユニークな動画で注目を集め、YouTuberとしての年収は数億円に上るとの噂もある。

動画の多くは自宅マンションで撮影されており、熱心なファンが押し掛けるなど一部では有名スポットにもなっている。そういった点でトラブルもありそうなYouTuberだが、彼らが住むマンションの大家さんは、彼らの活動をどのように考えているのだろうか。はじめしゃちょーが住むマンションの「大家さん」に、入居審査時のエピソードや彼との関係、起きたトラブルなど、赤裸々に語ってもらった。

脱サラ後、地元企業の経営をサポート

─これまでの経歴を教えてください

大手生命保険会社で23年ほどサラリーマンとして働いた後、企業再生などの経験を活かして経営が困難になった地元企業の再生をお手伝いしながら、2社ほど経営を任されております。不動産部で不動産関連の仕事もしましたし、営業部長として最前線でやっていた時期もあります。24時間働きまくる企業戦士、という感じでしょうか(笑)

─大家業はいつごろから始めたのでしょうか?

独立した後に大家業を始め、現在はマンションを3棟保有しています。1棟の一部を老人ホームに貸し出していますが、それ以外はすべて居住用です。以前は自主管理で運営していたのですが、コンサルタント業の方もあるため、今はすべて管理会社に任せています。

人気YouTuber「はじめしゃちょー」が住むマンションのオーナー、服部徳昭さん

─文化的な活動もされているそうですね

数年前、カンヌ市(フランス)に民間親善団の団長として訪問し、音楽交流を行いました。また、サンマリノ共和国大使の日本文化支援の会を、ボランティア活動を通じてサポートさせていただいております。

はじめしゃちょーとの出会い

─はじめしゃちょーから入居希望が来たときはどんな印象でしたか?

特に何も思いませんでした(笑)。入居希望が来たのは2015年ごろでしたが、当時はYouTuberという職業を知りませんでしたから。入居審査が進む中で、彼がYouTuberという活動をやっていて、とても有名な方だと知りました。今いるアパートにはファンの子どもたちが来て困るから、住むところを探しているという話だったと思います。

─入居審査では特別に何かされましたか?

特別に審査を厳しくしてはいません。ただ、YouTuberという職業柄、保証会社の審査が厳しかったことを覚えています。保証会社の方から聞いた話ですが、YouTuberという職業は、たとえ年収が数千万円あったとしても、それは「宝くじに当たったようなもの」だとみなされるようです。つまり、安定した収入だとは見てもらえず、厳しく審査されるということのようです。

そういえば、はじめしゃちょー本人と入居前に面談しましたね。普段はこのような面談をしないので、これは特別といえば特別でしょうか。面談は彼から強く希望されたので、今思うと、大家がどんな方なのかを見極めたいという思いがあったのかもしれません。

入居者がYouTuberならではのトラブル

─YouTuberならではのトラブルはありましたか?

YouTuberならではという訳ではないと思いますが、はじめしゃちょー目当てのストーカーがマンションに侵入してしまう事件がありました。そこで、はじめしゃちょーと私と警察の三者で対策を練り、監視カメラをつけることにしました。

─カメラ代は大家さんが負担したんですか?

いいえ、はじめしゃちょーに負担してもらっています(笑)。良さそうなカメラを私が選び、彼におすすめしました。事件後は地域の警察がこのマンションを注視してくれるようになり、監視カメラの設置と合わせてマンションのセキュリティが上がって良かったなと思っています。

─入居者がYouTuberで困ったことはありますか?

特に困っていることはありませんが、私がはじめしゃちょーとかなり親しいと勘違いしたファンの親御さんからサインをせがまれたり、会わせてほしいと言われたりすることがあります。基本的には断るようにしていて、彼に迷惑がかからないよう配慮しています。

─YouTuberならではの相談を持ちかけられたことはありますか?

一般の入居者からは受けないものとしては、壁を壊して良いかという相談がありました。きちんと理由を説明したうえで、それはできないと伝えました。そのやり取りは、はじめしゃちょーの動画で公開されていたと思います。

また、接着剤を壁に使ってもよいかと聞かれたこともあり、それはいいよと答えました。使用する接着剤についてもアドバイスをしたところ、彼は素直に聞き入れてくれました。普通の大家さんなら嫌がると思いますので、私は変わっているかもしれませんね(笑)。

はじめしゃちょーと大家さんの関係性

─はじめしゃちょーにはどんな印象をお持ちですか?

謙虚で、腰が低くて、クレバーだという印象を持っています。ただ、ユニークでアーティスト的な面もあります。はじめしゃちょーのお母様から、「うちのはじめは、変わっていますから頼みます」とのお話が度々あり、出会った当初は全く気にもとめず、感じもしなかったのですが、ほんの時折、こういうことかと感じることがありますね。お母様からのコメントがなければ、困惑していたかもしれません。

─やはり、はじめしゃちょーは特別な入居者なのでしょうか?

特別だと思ったことはありません。たくさんいる入居者の中の一人として接しています。今回、楽待さんからこうやってインタビューを受けて、あらためて彼はYouTuberなんだなと思いました。

世間一般的にYouTuberは周囲に迷惑をかけることが多い職種だと思われているかもしれませんが、私自身は彼にそんな印象はないし、全く困っていない。とても良い入居者で、これからも良好な関係を維持し続けたいと思っています。

大家業で心がけていること

─最後に、大家業をするうえで大切にしていることを教えて下さい

「まじめに 楽しく 地域と人のため」です。まず、人として真摯に人に接すること。そして、マンションに住んでいる方や、マンション周辺に住む人にとって良い物件だと思ってもらえるようにすること。当たり前のことをまじめにコツコツやっていくことが大切だと考えています。

世間から注目を集め、活躍の場を拡げているYouTuber。しかし、人気商売だからこそ住環境に悩みを抱え、安心できる住まいを求めていることがわかった。YouTuber人口は年々増加しており、いつか自分のマンションに入居希望が来るかもしれない。その時は、大家として一人の入居者希望者と真摯に向き合ってほしい。

 (楽待新聞編集部)