元フリーアナウンサーで、現在はブランド品販売の会社を経営する傍ら、新築木造アパート2棟と太陽光3基に約2億円を投資しているchisatoさん。不動産と太陽光を合わせたキャッシュフローは月60万円を超え、今年に入ってサービス付き高齢者住宅を新築する2億円のプロジェクトに着手するなど、「目先の目標は貯金1億円」と夢は大きい。

「顔の見える大家さん」としてSNSを活用した入居者募集の取り組みが話題を呼び、インスタグラムに並んだ華やかな写真の数々で脚光を浴びる「キラキラ系女子大家」だ。

ただ、その輝く笑顔のウラには、今の自分を突き動かす「どん底」の日々があった。

Twitterで出会った女子大生入居者

某地方都市、駅にも近い好立地に、白と茶色を基調とした3階建て木造アパートがある。2017年春、7、8社の不動産会社に当たった末に1億円弱で新築した自身2棟目の物件で、利回りは8%超。地元の大学までは徒歩1分で、全9室の入居者は全員大学生だ。

特徴は、Twitterを活用した入居者募集で満室を実現したこと。

「着工後の2016年12月から募集を開始し、物件が完成する3月中までに満室にすると決めました。もともと学生向けに作った物件だったので、大学生にアピールするためにはTwitterだと思って、わたしの顔と大学名を入れて『新築アパートに住みたい学生さんを大募集しています』とツイートしたんです」

反響は想像以上で、すぐに10件ほどの問い合わせがあった。

現在、1階に入居している大学4年の女性(21)も、1年生の時にツイートを見てダイレクトメッセージを送った。「新築の部屋を探していた時にツイートを見て、『きれいな物件だな』と思ったんです。大家さんと直接連絡を取るのはちょっと不安だったんですが、会ってみたらすごく感じがいい女の人で…。部屋の壁紙がオシャレで、好きなピアノを弾けることも決め手だったんですが、やっぱり大家さんに会えたというのはすごく大きかったです」

計画通り、物件完成前の3月上旬に満室を実現した。入居者の大学生とは「友達の延長のような感じ」という距離感で、困りごとがあればLINEで対応。「いつでも相談できる大家さん」としての取り組みの積み重ねが、長期入居につながっている。

「毎年、感謝の気持ちを込めてカタログギフトを入居者さんのポストにプレゼントしているんですが、『選ぶのが楽しかったからもう1年住むことにしました』と言ってくれた子もいました。今年の2月に卒業で退去した子も、次の新入生に『この物件いいよ』って紹介してくれて、そのまま入居が決まったんです」

1棟目で味わった「眠れない夜」

1棟目の物件を購入したのは2015年。2LDK6室、7000万円の新築木造アパートで、これも利回りは8%超。「知り合いから工務店を紹介してもらったんですが、交通の便もよく、物件の近くに大きな道路ができる都市計画があったことと、所有者の方が安くても手放したいというタイミングだったこともあって、いけると判断して購入しました」

2棟目は順調だった入居付けだが、1棟目では苦しい日々を味わった。

「同時期に近隣で競合物件が建ったこともあり、完成した段階で6室中3室しか入居がないという状況。『新築だから大丈夫だろう』と思っていたら大間違いで、本当に焦りました」

返済のスタートは完成から3カ月後に設定していたが、それまでに半空のままではわずかに持ち出しが発生する。不安から夜も眠れない日々が続き、アナウンサーの仕事にも影響が出るほどだった。

「とにかく返済の期限までに絶対に埋める」―。自分でがむしゃらに動くしか道はなかった。

周辺物件の入居状況を徹底的にリサーチして作戦を練り、毎日客付け会社回りをして頭を下げた。地道な取り組みを続ける中で少しずつ内見は増えてきたが、どうしても入居まで結び付かない。立地もよく家賃設定も妥当で、駐車場も1室2台完備。なぜ埋まらないか頭を悩ませていたとき、ある不動産会社から「内見者は意外と物件の細かい部分まで見ている」とアドバイスされた。

空室の部屋をよく見てみると、室内にホコリが落ちていたり、小さな虫が死んでいたりすることに気づいた。

それ以降、2日に1回は仕事を終えた夜に物件へ行き、懐中電灯を照らしながら共用部と部屋を隅々まで掃除。どんなに小さなゴミも拾い集めた。「仕事の後の作業は大変でしたが、とにかく赤字になるのは嫌だという一心でした」

そういった努力が実り、何とか返済がスタートするまでに満室を実現した。「全部屋埋まった時は本当にホッとして、飛び上がるような気持ちでした。やっぱり満室になった時というのは、大家さんの人生の中で最高潮の瞬間だと思います」

現在も2棟15室は満室だが、入居者の9割は女性だ。「女性に喜んでもらえる物件づくりを考えて、外観もその時のトレンドや普遍性から選び、主婦目線で機能的なキッチンや水回りにしたり…。あとは下着を外干ししたくない学生も多いから、浴室乾燥機は必須。階によってもアクセントクロスを変えていて、ある学生さんから『友達にクロスを自慢したかったから部屋まで呼びました』という言葉を聞いた時はうれしかったです」

トラブルは全て自分で

新築の基本的な投資基準は表面利回り8%以上、税引き後CF3%以上に設定している。少しでもCFを確保するため2棟とも自主管理を選び、トラブルは全て自分で対応してきた。「自主管理の方が不動産をイチから勉強できると思ったことも理由だったんですが、最初は何も分からない状態だったから本当に大変で、困ったらいつも先輩大家さんに相談していました」

シングルマザーの入居者に、17万円ほどの退去費用請求を拒否され続けたのが一番の難題だった。「2カ月ぐらい連絡を続けたんですが、本人も保証人も音信不通になって…。最終的には勤務先に連絡して少額訴訟を検討していることを伝えて解決したんですが、やはり粘り強く会話することで裁判は避けられると知った。管理会社に任せていなかったら学べないことだったと感じます」

「圧迫面談」にも負けず

返済比率を抑えた投資を意識している。1棟目は貯めた貯金から頭金1割を入れ、地元の信金で金利1.7%・23年の融資を受け、現在は1.5%への引き下げに成功。2棟目は地元の地銀で1.5%・30年という条件でほぼフルローンを引いた。

「2棟目は全国的に融資が積極的だった時期なんですが、面談はかなり圧迫で怖かったことを覚えています。『本当にこの事業計画書でうまくいくのか』『自主管理で成功する保証があるのか』という明確な説明を求められて、一生懸命説明してもなかなか首を縦に振ってもらえなかった。最終的には『自分がどれだけこの物件を買いたいか』という熱意が伝わって承認されたような気がしています」