iStock.com/undefined undefined

不動産賃貸業を成功させるためには、よい物件を選ぶことはもちろんだが、その物件をよい状態に保ち、正しい募集方法で入居率を高めていくことが必要になってくる。

そこで大切なのが、「よい管理会社」と上手に付き合うこと。今回は物件オーナーからの相談を数多く受け付ける不動産コンサルタントの秋津智幸氏が、管理会社との付き合い方について基本的な考え方や注意点を説明していく。

「客付け力」と「報・連・相」

先日、楽待編集部が実施したアンケートで、管理会社に関する投資家の意見が紹介されていた。これによると、賃貸経営において投資家が管理会社に求めるものは、総じて「客付け力」と「報・連・相」という結果だった。

楽待新聞の読者はオーナーとしての意識も高く、知識が豊富で行動力に優れた人が多いので、すでに実行している人も多いと思うが、今回はあえて基本的なことから管理会社との付き合い方について述べてみたい。筆者も区分マンションと一棟のアパートを所有しており、数は少ないが一応オーナーの端くれでもある。自らの経験と、オーナーからの相談事例などを参考に記していきたい。

募集を任せきりにしていないか

普段オーナーからの相談を受けていると、賃貸管理会社に募集力や客付け力を求めている一方で、管理会社に募集のすべてを任せきりにしているオーナーが多いと感じる。オーナーの知らないところで、入居者に選んでもらいにくい賃貸物件となって募集されていることが多々あるのだ。

不動産会社が作成する募集図面(マイソク)には物件概要や間取図、募集条件などが記されているが、オーナー自身が決めた募集条件がきちんと記載されていることはもちろん、入居を検討している人が物件を見てみたいと思う内容になっているかもチェックしておきたい。

筆者もこれまで数えきれないほどのマイソクを見ているが、本当に募集する気があるのか疑問を感じるものも多い。例えば、物件の間取りや地図、階数、面積という基本情報が欠落していたり、電話で問い合わせてはじめて分かる費用があったりする場合だ。これでは、立地や賃料などの条件で物件に興味があったとしても、図面にない情報の入手が面倒になり、早々に検討物件から外れてしまう。

ただ情報が記載されていればよいというものでもなく、当然だが見やすい内容の方が入居希望者に検討してもらいやすい。その物件のメリットやアピールポイントが分かりやすいマイソクであるべきだと考える。

募集の弱い不動産会社の場合、賃貸募集の担当者が募集している物件を見たことがないということもよくあるから、驚くばかりである。そういった管理会社に委託している場合は、オーナー自らマイソクを作る、その管理会社を教育する、管理会社を変える、といった対応策を取る必要が出てくる。

勝手な募集条件は許さない

最近の賃貸募集において、さまざまなイニシャルコストを要求するケースが多いのはご存じのことだと思う。首都圏でも入居時に礼金、敷金とも不要という物件が目立つ一方で、「消毒料」や「24時間サポート料」「鍵交換費用」「設備利用料」など、本当に必要か入居者が悩むイニシャルコストを求める物件が増えてきている。

問題は、こうした一見不要なイニシャルコストが募集時に必要になっているという事実を、オーナーが認識しているかどうかという点だ。

実際、筆者の物件でも「24時間サポート料」なる管理会社独自の費用が募集図面に記載されていた。「その他必要な費用」の欄に記載されていたので、このまま読むと「必須」の費用に思えるものとなっていた。すぐに募集している元付(管理)会社に連絡し、「この費用の説明は受けていないが、勝手に付帯させたのはなぜか」と問いただした。

「鍵の紛失時や設備の緊急対応などの費用」だというが、オーナーである筆者が聞いていないものを勝手に付帯させたことが問題だ、と説明を求めた。

オーナーは賃貸募集にあたり、礼金や敷金を不要にしたり、AD(広告料)を支払ったりすることで何とか入居者を確保しようとしている。特に礼金、敷金を不要にする理由は、イニシャルコストを下げて入居者が入りやすくしようというオーナー側の配慮だ。そうしたオーナー側の努力を無視するかのように、勝手にイニシャルコストを管理会社に増やされたのでは、何をしているのかわからない。

筆者の場合は、そうしたよくわからない費用については少なくとも自分の物件では入居者から取ることを禁じ、入居者によっては利用したいケースも想定されるものには必ず「任意」と記載するようにさせている。

「消毒料」は妥当なのか

「消毒料」は入居の前に消毒液で室内を消毒施工する為の費用だが、ルームクリーニングをきちんとしているなら不要なはず。ワンルームのルームクリーニングが2万円程度にもかかわらず、消毒料が1万円程度というのはあきらかにおかしい費用で、不動産会社がオーナーの物件を利用して少しでも多く収入を得ようとしているだけのものだ。

これもオーナーのイニシャルコストを下げる努力を無にするものといっていい。その他の費用でも「鍵交換費用」を必須としておきながらその費用が高額だったり、よくわからない名目の費用が発生していたりする賃貸物件も見かける。

連帯保証人の必要性

また、大手の管理会社に多いのだが、「保証会社の利用」と「連帯保証人」の2つを入居者に求めるケースもオーナーからすれば気を付けたい。筆者がオーナーから相談されたのがこのケースで、オーナーとしては保証会社が通ったなら問題ないと判断していたが、管理会社の決まりで連帯保証人も取らないと入居審査上入居させられないというのである。

もちろん、保証会社に加えて連帯保証人がついていれば、最悪のケースでも安心感はある。しかし、保証会社が誕生した理由は連帯保証人が立てられない入居者を入居しやすくするためであり、保証会社に加入していれば一定期間家賃が保証され、商品によっては無断退去の場合も一部費用が認められる。管理会社の決まりのために、入居者が入れられないというのはおかしな話である。

結局、このオーナーは連帯保証人が立てられなかった2組の入居者に断られ、管理会社に対して猛烈に抗議。いずれか一方でもオーナーが認めたら入居させることを自分の物件では認めさせ、6カ月後にようやく保証会社のみを使用して入居者が決まった。なんとも無駄な6カ月だったと、そのオーナーは憤慨していた。

こうした管理会社の身勝手な募集条件の設定によって、入居者が入りにくくなっている賃貸物件は非常に多い。ただ、こうした弊害に気づいていない、あるいはわかっていながら平然と行っている管理会社が多いのである。こうした実態にオーナーは気づき、自分の物件ではそうしたことがないよう「管理会社を管理すること」が不可欠である。