「不動産投資」の形はさまざま。アパートやマンションを購入して賃料を得る方法が一般的ですが、店舗や施設、駐車場など、住居以外の不動産にも投資するオーナーがいます。

この企画では、アパートやマンション「以外」の物件オーナーを楽待スタッフが直撃し、その実態を調査! あなたの周りの「○○投資」に動画で迫ります。

 

太陽光パネルをじっくり見学

今回取材したのは千葉県にある「太陽光発電投資」の設備。住宅の屋根に載せるものとは違い、空地などの地面に設置する「野立て」と呼ばれるタイプです。こうした野立ての太陽光発電設備は、2012年に電力の「固定価格買取制度(FIT)」が始まったことをきっかけに広く普及しました。

オーナーは千葉県鴨川市を中心に複数の物件を所有する投資家の須田厚さん。1989年から不動産投資を始め、リスク分散の観点から1棟アパートや戸建て、区分、店舗、貸し駐車場などさまざまな物件を購入してきました。この太陽光発電設備も分散投資の一環で購入したもので、土地代が500万円、パネル代を含む工事費が950万円、総額1450万円の投資です。

さっそく設備を見学させてもらうと、まず目に付いたのはパネルの周囲にずらりと並ぶフェンス。これは2017年の「改正FIT法」で、感電などの事故防止、またパネルを保護して安定的な発電を維持するために設置が義務づけられたもの。フェンスの出入り口には南京錠もかかっていました。

鋼製でしっかりしたつくりのフェンス。改正FIT法によって設置が義務づけられた

パネルの表面積のほとんどを占める黒っぽい部分は、太陽光を吸収して電力に変える「セル」と呼ばれるもの。その後、電力は格子状に走る白い線(電極)を通って「パワーコンディショナー(パワコン)」に送られ、家庭で使える電流へと変換・送電される仕組みになっています。

電力を直流から交流に変換する装置「パワーコンディショナー(パワコン)」。「1台あたり30万円」(須田さん)と高額な機器だ

さらにパネルをよく見てみると、表面にヒビが入っている箇所が見つかりました。台風などにより飛来物が当たり、割れてしまったのではないかと須田さんは推測。「この程度のヒビなら発電量に影響はない」(須田さん)とのこと。保険で修理が可能で、現在メーカーに手配しているそうです。

パネルの表面に飛来物が当たるとこのように割れてしまうことも

野立ての大敵、「雑草」と「汚れ」対策

野立て太陽光パネルの大敵といえば、やはり雑草。背の高い草が生い茂ってしまうとパネルが日陰になり、発電量が落ちて収益に影響が出てしまいます。須田さんが取った対策は「防草ゴムシート」を敷設すること。須田さんいわく、「ビニールシートだと破れた箇所から雑草が飛び出してくる」のだそうで、万全を期してゴムシートを採用しています。

草が生えてパネルが陰ってしまうのを防ぐゴムシート。右奥に見えるのは架台を設置するための基礎コンクリート

また、強風や地震でパネルを載せる架台が崩れてしまわないよう、コンクリートの基礎にしっかりと固定しているのもポイント。野立てのパネルで多く見られる「スクリュー杭(大きなネジ状の杭)」で固定するよりも安全だという考えから採用しているそうです。

鳥のフンなどパネルの汚れも発電効率に影響します。須田さんの物件では、パネルの清掃や機器のチェックなどの管理業務を外部に委託しています。現地での作業は年に4回実施。パネル表面の汚れを手作業で拭き取るほか、年に1回は防草ゴムシートを高圧洗浄機で清掃しています。

パネル表面の汚れは手作業で拭き取る。清掃などの管理業務は外部に委託している

太陽光発電投資は管理に手間がかからないイメージもありますが、安定した発電を継続するためには保守・点検が欠かせないようです。

気になる収支を大公開

最後に、気になる収支についてオーナーの須田さんに聞いてみました。

まず売電による収入はいくらになるのでしょうか。固定価格買取制度による買い取り価格は参入時期によって異なります。須田さんの場合は1kWhあたり32円+税が適用されており、昨年の売り上げは約170万円。そこからローン返済を含むさまざまな経費、約155万円が差し引かれ、手残りは年間で10万円程度になるそうです。

須田さんの設備で年間にかかる諸経費の内訳

電力の買い取り価格は下のグラフのように年々下落しています。たとえば今年から新たに始める場合、1kWhあたりの買い取り価格は14円。制度が始まった当初は40円であったことを考えると大きな違いです。

固定価格買取制度は、環境汚染への対策、そして多様なエネルギー源を確保することを目的にスタートした制度です。しかしその後、太陽光発電投資がブームとなり参入者が激増、買取価格は右肩下がりに低下し、投資妙味が薄れていきました。

一方、動画で須田さんが指摘する通り、現在はパネル代や工事費が大幅に下がっていることから、初期費用を抑えることができればまだ参入の余地がある、という見方もできるでしょう。その場合は、事前にしっかりとシミュレーションをし、また収入の基礎となる固定価格買取制度の動向も把握しておく必要があります。

 

(楽待新聞編集部)