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個人投資家が不動産を収益目的で繰り返し売買していると、宅建業法違反に当たるのではないか、という議論になることがある。個人が物件を売買するとき、どこまでならセーフで、どこまでがアウト(宅建業法違反)になるのだろうか。

今回は、元不動産仲介業者である筆者が、宅建業の基礎知識や、不動産投資における免許取得の必要性について紹介していく。

宅建業免許が必要な不動産取引とは

不動産業は大きく分けて「売買」「仲介(媒介)」「賃貸」「管理」などがあり、主に自分で宅地・建物の売買をしたり、売買や賃貸の仲介をしたりすることを「業」として行う場合は宅建業免許が必要になる。

不動産会社は、物件の売買や賃貸借の仲介をするだけではなく、初めから転売する目的で一棟物件や土地を購入することがある。例えば4000万円で中古の一棟アパートを購入し、600万円かけてリフォームを行い、管理会社を変えて満室状態にした後、5800万円で収益物件として売却するようなケースだ。

こうした不動産取引は、宅建業免許を取得している宅建業者であればまったく問題ない。

宅建業者ではない個人でも、相続した不動産や、居住用として使用していた不動産を売却する場合は宅建業にはならない。しかし、収益を得る目的で売買を繰り返した場合、宅建業とみなされて宅建業法違反になってしまう可能性がある。

宅建協会に「密告」されることも

宅建業者ではない投資家が継続して転売を行っていると、それを知った不動産会社が地域の宅建協会や都道府県に報告するケースもあるので注意が必要だ。また、宅建業者ではない投資家が、知人や顧客への「紹介」という形で媒介に近いような不動産取引をしているときも、不動産会社によって宅建協会へ報告が入ることがある。

筆者も実際に宅建協会の事務局担当から、こうした報告のケースを聞いたことがある。

そのケースでは、個人投資家が賃貸経営を目的として収益物件を購入したが、翌年に売却し、売却後に次の物件を買ってまた翌年に売却、というのを3回繰り返した段階で不動産業者から宅建協会へ報告があったという。ただ、この投資家に対して処罰があったとは聞いていない。

こうした行為には明確な線引きがなく、グレーゾーンと言われている。筆者も、これまでに個人が不動産の売買を繰り返したとして宅建業法違反で検挙された事例は聞いたことがない。

しかし、仮に宅建業法違反となった場合は、無免許営業(宅建業法12条)として、懲役3年以下もしくは罰金300万円以下が課せられる(宅建業法79条2項)。

通常の賃貸経営であれば必要ない

不動産売買の「反復継続」に関して、「何回までなら売買しても大丈夫」といった明確な定めはない。収益物件を賃貸しながら数年寝かせておいて転売をするような場合は、宅建業法違反になるのを避けるために、初めから法人を設立して宅建業者として免許を取得している投資家もいる。

筆者の知り合いの投資家も、法人化して宅建業免許を取得しているが、基本的に仲介業は行っておらず、収益物件や土地の賃貸や転売などをメインとして投資を行っている。この場合の宅建業免許は、宅建業法違反に抵触しないための「保険」としての意味合いが強いかもしれない。

収益物件や用地を堂々と転売できる

前述したように、宅建業者としての活動であれば収益目的で堂々と不動産の売買が行える。不動産投資は、賃貸用に物件を購入したからといって、建物の耐用年数以上にその物件を持ち続けるケースは少ない。初めからリフォームやリノベーションを前提とした築古物件への投資であれば話は違ってくるのだが、築古まではいかない一般的な不動産投資は、物件を購入する前から出口(売却)を考えておくことが定石となっている。

築古物件を指値で安く購入できた場合は、建物を解体してマンションやアパートの建設用地として転売できる可能性も出てくるので、宅建業免許があれば、さまざまな投資の方法が考えられる。