これまで、多数の不動産投資家が、自身の経験や不動産投資に関する考え方などをコラムニストとして執筆してきた「楽待実践大家コラム」。今回から新連載として、そんなコラムニストを1人ずつ紹介し、実績や手法、不動産投資の魅力をインタビューしていく。

実践大家コラムニストがどんな人で、どんな考え方、手法で不動産投資を行っているのか、どのようなメッセージを伝えたいのか、改めてお伝えしたい。

第1回目となる今回、話を聞いたのは「埼玉サラリーマン大家」さん。独自の手法で資産を築いた経験とともに、初心者にもわかりやすく、不動産投資の魅力やリスクを1200本以上のコラムで伝えてきた「古参」の1人だ。

言わずと知れた存在の埼玉サラリーマン大家さんの手法や考え方に、改めて迫った。

「繰り上げ返済」駆使する独自手法

―埼玉サラリーマン大家さんは、独自の手法で不動産投資を行っていますよね。

基本的には、「1棟ごとに繰り上げ返済を行い、完済後に次の物件を買う」というやり方をしています。もちろん、返済と購入が多少かぶっていることもありますが。

でも、これが不動産投資の手法だと思ってやってきてないんですよ。私は不動産投資の本を読んだこともなかったし、セミナーにも行ったことがない。大家の会にも参加してきませんでした。ただ「大家になりたい」と思っていたので、1棟買って、返済して、お金ができたから次の物件を買おうと。絶対に破綻しないようなやり方をとってきただけです。

―大家になりたい、という思いがあったんですね。

大家さんにあこがれがありました。幼少期はすごく貧乏な生活を送っていたんですが、その時からの夢だったんです。

それとは別に、就職してからは企業ホームページを作ったりというネット系の副業も始めたんですが、その分の稼ぎを不動産に転換したいと思いました。もし副業がだめになっても、稼いでくれるものが残るので。

―1棟目を買ったのはいつですか?

今から18年ほど前です。今みたいにポータルサイトがないので、不動産会社さんをまわって物件を探して、やり取りも電話とFAXで。大変ではありましたが、その分安い物件も多かったと思います。

4000万円の中古アパートで夢の大家に

―コラムでは、1棟目を「難あり物件」と紹介されていますね。

4000万円くらいの、木造中古アパートです。お墓の隣という立地の単身者向け物件でした。運が良かったのか、ほとんど満室経営が続いていますが、客付けする側に言わせると「なんで満室なのかわからない」らしいです(笑)。

―4000万円は1棟目としてはなかなかの金額ですね。どきどきしませんでしたか?

したと思いますよ。でも、当時は勝負に出たんでしょうね。1棟目は一番リスクが高い時です。失敗したらヤバい。

もし、今自分が読者さんから相談に乗っていたとしたら、「最初は1500万円のアパートとか、500万円の戸建てとかの方がいいんじゃないですか」って答えると思います。いきなり4000万円はちょっと高すぎたと自分でも思います。

―1棟目を買って、ようやく夢がかなった時には、どのような気持ちでしたか?

いえ、借金を返し終えるまでは夢がかなったとは思っていませんでした。だから、頑張って返済をしたんです。

―完済までにはどのくらいかかりましたか?

4、5年だったと思います。

―その時、ようやく夢がかなったと言えたわけですね。どんな気持ちでしたか?

(返済が)終わった、という感じですね(笑)。

繰り上げ返済は金融機関に嫌われる

―基本的には、自己資金を2~3割入れて融資を引いていらっしゃるんですよね?

そうですね。ただ、そうすると貯金する期間が必要になります。例えば、今この時が買い時の相場で、5年後には買い時ではないかもしれない。だから今すぐ買いたい…と言う人には、ちょっと難しい。

―1棟目の時に、融資を引くのに苦労はされなかったですか?

もちろん融資には困りましたよ。何行もまわって、話を聞いてくれて、信じてくれたところと今もお付き合いをしています。基本的には、地元の信用金庫にお願いをしています。

―1棟目の時から、繰り上げ返済をするつもりだと明らかにしていたんですか?

きちんと話していました。都銀には全然相手にされませんでしたね。

―繰り上げ返済は金融機関に嫌われると聞きますが…。

嫌いだと思いますよ。いつも謝りながら返済しています。「これを返したらまた次買うので、ごめんなさい」と言いながら、関係を維持してもらっていますね。

―融資付けに困っている方は多いと思うんですが、どうしたら融資が引けるんですか?

私は皆さんが望むようなフルローンを引いているわけではないから、あまり参考にならないと思いますが…(笑)。

私がやっていたのは、貸してくれそうな金融機関が見つかったら、そこで積立預金を申し込んで、「一見さん」ではなく、関係性をコツコツ作ることでしょうか。毎月貯金をして、その実績を見せるという当たり前のことをやってきただけです。

9月某日、埼玉サラリーマン大家さんに話を聞いた

勝負に出た5棟目

―今の所有物件数や、年間家賃収入を教えてください。

今買う寸前の物件もありますが、今(2019年9月末現在)は、7棟65室です。年間家賃収入だと、3000万円くらいになります。手残りは、税引き前で2400万円くらいです。繰り上げ返済のおかげで、今の7棟は完全無借金になっています。あ、でも最近は大規模修繕で毎年200万円くらい使っているので、2200万円くらいかな。

―所有物件の平均的な利回りはどのくらいなんでしょうか?

最初の4棟目までは、13~15%くらいで見てきました。そうじゃないと、お金がないのでまわらないんです。5棟目からは資産性を重視して、利回り10%でもいいのかな、と思い始めましたね。

―5棟目というと、都内の物件ですね。初めて1億円を超えた物件だとか…。

そうです。実は、5棟目からはずっと都内の物件を買っていこうと思っていたくらいなんですが、ちょうど高騰相場が来て、都内の物件は諦めざるを得ず…6、7棟目は埼玉に戻ってしまいました(笑)。基本的には、東京に近い埼玉県の物件を検討しています。

―これから高騰相場が来る、というところで1億円の物件を買ったんですね。

だからこその勝負でした。買うチャンスは今しかない、と思ったので、確かにリスクもありましたが、結局は4年で完済できました。

「買わなきゃよかった」とは思わない

―7棟の中で、一番思い出深い物件はありますか?

東京の物件(5棟目)は、やっぱりうれしかったですね。ここまで来たのか、と感慨深いものがありました。ちょうどその頃に楽待のコラムも書き始めましたね。でも、どれも印象深くて、売りたくなくなっちゃうからダメですね(笑)。

―売却は考えていないんですか?

基本的にはしないです。ただ、資産の入れ替えをしたほうがいいのかな、と悩んで、2棟目の物件を売ったらいくらになるかな、と検討はしています。今は切羽詰まっていないので、すぐに、というわけではないですが。もっと大きな勝負をしたくなった時に、売却して現金を作るかもしれません。

―いちばん失敗したな、という経験はありますか?

買わなきゃよかった、という物件はないです。そういう意味での失敗はありません。確かに、今のスキルを持ったまま当時に戻ったら、あの1棟目の物件は買っていないと思いますが(笑)、1棟目も2棟目も、買った金額以上にお金を稼いでくれているので、失敗ではないと思いますね。

小さい失敗ならいくつもありますよ。手付金の800万円をファミレスに置いてきちゃったとか。あれはめちゃくちゃ焦りました。

―えっ! それは見つかったんですか?

見つかりました。見つかったから、「小さい」失敗なんです。無くなっていたらヤバかったです(笑)。

満室経営のための立地選び

―ほとんど満室を維持できているんですよね?

そうですね。ちょっとボロボロで、3点ユニットで、狭い単身者向けという物件が多いながら、空室率5%以下がずっと続いています。こういうあんまりイケてない物件にしては、そこそこではないでしょうか。

―すごいと思います! 秘訣はなんでしょうか?

やはり立地は重視しています。とりあえずがんばれば需要がある、というエリアなら努力もできますが、どうがんばっても…という難しい場所も存在するので、努力で埋められそうなエリアに買うというのは前提です。あとは、力の強い管理会社を探してお願いしています。

だから、自分の力で埋めているなんて言いません。私にできるのは、共用部を綺麗にしたり、内装をある程度おしゃれにしたりということだけ。少しホームステージングもしますが、それで客付けできている、と胸を張って言うほどではありません。

―立地の需要は、どのように把握しているんでしょうか?

自分の土地勘が第一。あとは人口予測と、人が歩いている数と、お店が撤退した後にすぐに次の店が決まる地域がどうかは見ていますね。例えばコンビニが撤退して、ずっと空いたままなのか、それとも1カ月以内に新しい店が入るような賑わいのあるエリアなのか。それと、子供向けのチェーン店があるかどうかも確認します。子供がいるエリアは、おそらく発展するので。

でも、結局は感覚ですね。私が買うのは土地値か土地値以下のアパートばかりなので、10年持っていれば大丈夫なんです。最悪でも10年持てる自信がある場所なら負けません。