楽待で実践大家コラムを執筆し、日々読者に「不動産投資家」のリアルな声を発信しているコラムニスト。彼らがどんな考えや手法で投資活動を行っていくのか改めて迫りたい。

第2回目となる今回は、楽待で最も多くのコラムを執筆し、公開している「ストレージ大家ひら」さんを紹介する。これまでに著したコラム、その数なんと1300以上。自身のことを「雑食系」であり、また「失敗を繰り返してきた」投資家だというが、どのような思いでコラムを書き続けているのだろうか?

大家デビューから半年で専業大家に

―ストレージ大家ひらさんは、不動産投資を始めてわずか半年で専業大家になったんですよね。

もし私に奥さんや子供がいたら、(サラリーマンを辞めることを)決断できなかったと思います(笑)。もともと私は、就職した当初から「サラリーマン志向」ではありませんでした。それに、半年間サラリーマンと不動産投資を行う生活を続けて、ほとんどプライベートがなく、息が詰まるような感覚だったんです。時間ができれば不動産投資に専念できるし、時間給に換算すれば割に合うのでは? と思い、辞めてしまいましたね。

気になったのは融資が出なくなることでしたが、付き合っている銀行の担当者に「実は退職を考えている…」と真面目に相談したところ、「(家賃年収が)サラリーマンの年収くらいあれば、大丈夫だ」と言ってくれました。その当時はすでに不動産投資で同額程度に稼げていたので、それなら満室経営をしていけば大丈夫だと。

この担当者は本当に凄腕の人で、私が不動産投資に注力するようになったのは、この人との出会いも理由の1つですね。今は異動でお付き合いが無くなってしまいましたが、かなり出世されています。

―そもそも、不動産投資を始めたきっかけはなんだったんですか?

もともと投資には興味があったんですが、その入りは競馬からです。父の影響なんですが、競馬というのはパチンコなどのギャンブルとは違って、確率論ではありません。評価が高く、人気の集中しすぎている馬、人気はないけど強い馬など、オッズと勝率には「歪み」が生じます。この歪みをついていけば、収益を上げることができるんです。

サラリーマンをしながら、こんな風にちょこちょこ投資をしていました。その流れというか、自然な成り行きで不動産投資に行きついた、という感じです。だから、今でも不動産投資は投資の中の1つで、主力ではありますが不動産一本、というわけではないんです。

―大家デビューは、2011年12月ですね。2物件を同日決済したとか。

サラリーマンだったので、決済を同じ日に合わせてもらいました。千葉・八街(やちまた)の戸建てと東京・池袋のアパートです。八街の戸建ては、インターネットで「任意売却」を調べて行きついた会社から取得しました。すでに入居者がいたので、オーナーチェンジの形です。やっぱり最初の物件ということで不安はあって、金額にしたら諸費用込みで600万円弱だったんですが、本当に回収できるのかな、と。自宅から八街までアクセスも良くないんですが、最初のころは頑張って通いながら、入居者の方とコミュニケーションもとっていましたね。

池袋のアパートはポータルサイト経由で見つけました。再建築不可物件で売り出し価格は1800万円、表面利回りは16.8%。池袋駅から徒歩圏内だし、現地見学に行ってみたら、もともともらっていたレントロールに書かれていたよりも実際は1室多くて、計算し直すと利回りが18、19%くらいになる物件だとわかって、購入を決めましたね。

任意売却で購入した戸建て物件

もともとは「借金嫌い」

―これらの物件では、融資を引いたんですか?

この2物件は、現金購入です。もともと私は借金が大嫌いな人間で、カードも使わないで生活していたくらいでした。それで物件を買うとなった時に、ローンか現金かという選択を迫られたわけですが、とりあえず現金で買っちゃえと。規模拡大するつもりはあまりなく、筋肉質な物件を買って、その収益が生活の足しになれば、という考えだったので。

でも、やっぱり現金買いではすぐに行き詰ってしまいます。次の物件からは融資を引いて、そこからは借金漬けです(笑)。

―借金嫌いから、ローンを組んで不動産投資をするようになったんですね。

利回りが低い不動産投資の、その弱点を補えるのが融資だと思っています。だから今は、借金自体は肯定派です。何があってもつぶれない範囲の借金は問題ないです。ただ、何かあった時に返せなくなってしまう借金の仕方は、本当に危険だと思います。

―その後物件を買い増して、半年で専業大家になられた。

確かに半年という期間だけを見ればちょっと早いかもしれませんが、大型マンションを購入できたのが大きなきっかけです。これもやっぱり銀行融資のおかげですね。

―どんな物件なんですか?

関東地方にある、築22年ファミリータイプのRCマンションです。売値は8000万円、利回りは12.4%でした。土地も広くて260坪程度あり、出口が見えやすい物件です。一気に10人以上の買い付けが入ったそうで、私は二番手だったんですが、一番手の方の融資がつかず、融資承認が下りていた私が購入できることになりました。この物件は、今も順調に収益を上げています。

でも、私は決して物件を見つけるのが人に比べて特段うまい、ということではないと思います。もちろんお付き合いのある不動産会社さんから情報ももらいますが、ポータルサイトでも物件は探しますし、その物件に指値を入れたり、そこで知り合った不動産会社に似たような物件がないか聞いたり…。

「キャピタルロスが出ない」物件にこだわる

―物件を選ぶ際には、どのように探しているんですか?

キャピタルロスが出るような物件は絶対に買わないと決めています。そこだけは守ってきました。

―キャピタルロスが出ないかどうかは、どのように判断しているんですか?

実は指標はありません。よく言われるのは「土地値」を基準にする考え方ですね。解体費も込みで土地値以下で買っておけば、よほどのことがない限り損はありません。一方で、土地値をまったく度外視して、建物の価値だけで購入判断をする人もいます。土地値だけに縛られてしまえば新築物件とかは入ってこなくなってしまいますしね。

どの考え方が正しいというのはないと思います。土地値であっても、建物の価値であっても、それ以外にも、とにかく物件選びにおいて、別の指標を設けている投資家を否定するのは視野が狭い。私は、あくまで流通価格をもとに5年、10年というスパンでシミュレーションを組んでその試算で判断します。

物件を選ぶ際に利回りは重視しますが、立地によってもその数値に対する考え方も変わりますから、地域を見て、利回りを見て、指値をしないことを前提にした売値でふるいにかけています。

―売却も肯定されていますね。

不動産投資で複利効果が出せるのは、唯一、売却だと思います。私の場合は不動産大好き人間というよりも、投資としてどうか、という考え方をするので。例えば3000万円の含み益がある物件で、その3000万円をインカムゲインで取り出すには時間がかかってしまいますし、万が一何か問題が起こってしまえばその3000万円はおじゃんになる可能性だってある。しかも、その間にキャピタルゲインは減少していく。であれば、その3000万円を売却で取り出して、違う物件を買ってさらに収益を上げていくというのが、正しい複利効果ではないかと思うんです。

「5000万円の損失」も覚悟した大型物件

―これまで所有してきた物件で、印象深い物件はありますか?

私は、失敗を繰り返してきた投資家でもあります。いろいろと思い出深いエピソードはありますが、そのうちの1つは、1億5000万円で某地方都市に購入した、ファミリータイプ70戸の大型マンションです。これのおかげで自分の投資規模は一時すごく大きくなったのですが、実は問題だらけの物件でした。私の中で唯一キャピタルロスを覚悟した物件でもあります…。

―どんな問題があったんでしょうか。

まず、この物件は全空の状態で買いました。ただし、サブリースがついていたんですが、買ったとたんにそのサブリースが勝手に外されてしまったんです。当然契約違反だと言ったんですが、まったく取り合ってもらえず。提訴も考えましたが、時間と手間がかかる割にリターンが少ないので、とてもじゃないけれど見合わないと思い諦めました。

こうした事情から、融資を受けたメガバンクからも貸し剥がしにあってしまった上、法人の一括借り需要のあるエリアだったのですがなかなか入居が決まらず…。結局半年間、ほぼ全空のまま運営するはめになってしまいました。

ともかく苦しかったので売却を考えたんですが、全空なので融資が付きづらく、現金で買う人しかいない。値が付いた時には1億円で、これでは5000万円の損害になってしまう。それだけはやりたくなかったので、そこでは売らないことにして、自分で入居付けを始めました。そうしたら、半年で半分埋めることができたんです。そうこうしているうちに融資がついて、最終的には1億6200万円で購入してもらえました。

こうした物件は、買うのも大変だけど、売るのも大変だな、と実感した出来事でしたね…。

―自分で入居付けとは、どのようなことを行ったんですか?

皆さんがされていることではありますが、例えば、最寄り駅の不動産会社だけではなく、50キロほど離れたターミナル駅を全部まわって、仲介会社さんに客付けをお願いしていました。もちろん門前払いのところも多かったんですが、中にはそれだけ距離が離れていても入居を決めてくれたり、ネット掲載をしてくれたり。そういう場合には、自分で内見案内もしました。大家自身が内見案内をすると、結構決まりやすいんです。大家ならではのプレゼントとかもできるし、判断も早いし。家賃も下げましたね。月に5件くらいのペースで埋められました。