元プロ野球選手・G.G.佐藤こと佐藤隆彦氏をご存知だろうか。2003年のドラフトで西武ライオンズから7巡目に指名を受けてプロ入り、2008年のオールスターファン投票では、ダルビッシュ有選手などのスタープレイヤーがいる中で最多票数を獲得するほどファンに愛された人気選手だ。

2014年に現役を引退後、G.G.佐藤氏は地盤調査を行う会社でサラリーマンとして働いている。今回、楽待新聞ではG.G.佐藤氏にインタビューを行い、地盤調査の仕事とはどのようなものなのか、プロ野球時代のエピソードも交えて聞いた。

父親に恩返し

―自己紹介をお願いします

G.G.佐藤です。プロ野球選手として、西武ライオンズで8年、千葉ロッテマリーンズで2年、計10年間プロ野球の世界でプレーしました。今は、父が経営する地盤調査・改良を行う株式会社トラバースでサラリーマンをやっています。プロ野球を辞めてからすぐ働いたので、社会人になって6年ほど経ちますね。

元プロ野球選手のG.G.佐藤さん

―今の会社に入社された経緯を教えてください

現役時代は野球を一生懸命やっていて、会社に入ろうなんて考えていませんでした。ただ、そろそろ引退だなと考えはじめた最後の一年が過ぎていく頃から、将来のことを考えるようになりました。

それで、引退を決めてこれからを考えたとき、僕自身が野球を36歳までやれたのは父の力が大きかったなと、その父への感謝の気持ちをなにかの形で恩返ししたいと思いました。じゃあ父が一番大切なものは何かって考えたときに、その答えが今の会社でした。

それで、父が大好きな会社を守ることを手伝いたいと思い、父である社長にアポイントをとり「会社にはいらせてください」と頭下げてお願いしました。

―お父様の会社のことはご存知でしたか?

起業して会社経営をしていることは知っていましたが、詳しい事業内容は知りませんでした。父からは、「野球を一生懸命やって、野球の世界でお前が生きていけるんだったら、会社に入って継ぐとかは考えなくていい、自分の人生なんだから野球の世界で生きていきなさい」と言われていましたからね。

G.G佐藤さんの父・佐藤克彦社長(写真右)

G.G.の愛称で

―会社について教えてください

測量から地盤調査、地盤改良工事まで手掛ける会社です。家を建てるときって、土地の大きさがわからないとどれくらいの広さの家が建つかわからないですよね。なので、まずは土地の面積を測るために測量を行います。

次に、家を建てようとしている地盤が強いか弱いか、家が本当に建てられる強度なのか調べる必要があるので、それを調査をします。調査の結果、地盤の強度が足りなくて家が建てられないとなったら、杭を打つなどして改良工事を行います。

測量して、地盤調査して、改良工事をする─。こうした家を建てるまでの準備を私達は行っています。

地中の土を採取し、成分を調査する

―地盤調査はどのように行うのですか?

専用の機械を使って調査します。代表的な調査方法として「ボーリング調査」と「スウェーデン式サウンディング試験」があります。ボーリング調査は地盤調査のベースとなるもので、「標準貫入試験」とも呼ばれます。もう1つのスウェーデン式サウンディング試験は、より簡易的な調査方法です。

ボーリング調査は大がかりで、スウェーデン式サウンディング試験に比べて調査費用も高くなるんですね。なので、戸建のような一般住宅ではより手軽で簡易的な調査方法としてスウェーデン式サウンディング試験が採用されています。

ボーリング調査

スウェーデン式サウンディング試験

―G.G.さんはどのようなお仕事をされていますか

最初は現場を覚えながら営業職をやりました。法人営業が中心で、ハウスメーカーさんが主な顧客です。今は、千葉営業所の所長として150名程いる営業所の統括をしています。

―G.G.さんが営業に来たら、お客様は驚きそうですね

そうですね。あえて自分からは言わないですけど、やっぱりG.G.という名前は知られているので、会話に入りやすかったり、アポイントが取りやすいということはあると思います。この名前で野球をやっていてよかったですね。

お客様から佐藤さんと呼ばれることは少なくて、G.G.さんが多いですね。社員からも佐藤ではなく、G.G.さんやG.G.と呼ばれています。

―名刺にはG.G.と書かれていないんですね

あまり前面に出すのもいやらしいので。ただ、メールアドレスにはG.G.って書いてあるので、隠れミッキーみたいに探してもらえると嬉しいかなと思っています(笑)。

会社の会議室にはプロ野球選手時代のポスターが貼られている

お客様を地面のなかで支える

―プロ野球の経験で、今のお仕事に生きていることはありますか?

現役時代、自分の成績以外興味ない時期がありました。野球が上手くできなければ、自分の人生に価値がないし、生きる意味がないと思い込んでいたんですよ。本当にマシンのように毎日野球をやっていた時で、怪我も多くて2軍に行ったり、心も身体もボロボロだった時がありました。

そんなとき、真夏の暑い2軍の試合に女性2人が見に来ていました。こんな暑い中、なんで見に来ているのかと思って、話を聞いてみたんですね。そしたら、女性2人は「こんなに暑い中、プロ野球選手が一生懸命プレーをしている姿を見て私たちは元気をもらえて、明日から仕事を頑張ろうと思えるんです」と答えてくれました。

じゃあ、選手が三振してもいいのかと聞いたら、「三振しても一生懸命トライをして、帰ってくる姿を見るだけで、元気をもらえるんです」って。ああ、俺達にはそういう力があるんだと感じましたし、別にホームラン打たなきゃ価値がないわけではないと感じさせられました。

だから、もっとファンの方や応援してくれる方に力を与えるよう頑張らなきゃだめだ、一生懸命プレーしようと思いました。それからは、人を喜ばせることや感動を与えることを意識して取り組むようになって、今でも意識しています。

現役時代は強打者として活躍

―今のお仕事のやりがいは?

地盤調査や地盤改良は裏方の仕事ですから、なかなかやりがいを感じづらいんですけど…やっぱりお客様に喜ばれたときですね。地盤調査や改良をやって、ハウスメーカーの設計の方や営業の方に「助かったよ」とか、「ありがとう」と言われたときは嬉しいです。地盤改良をした土地の家を購入した方が喜んで住まわれている姿を見たりとか、「私の家もトラバースさんに地盤改良をやってもらいました」とか、言ってもらったりしたら嬉しいですね。

自分たちの作品は地面に埋まっていますけど、お客様を地面のなかで支えているんだなってね。

落球営業

―今も野球をされているそうですね

会社に草野球チームがあり、そこで野球を続けています。3チームもあって1軍、2軍、3軍があるんですよ。社長がプロ野球選手の引退後の就職支援を積極的に行っていて、元プロ野球選手が6名も会社にいます。営業先のハウスメーカーさんにも野球チームを持っているところがあって、一緒に野球をしたりもしますね。

―野球がお仕事につながることもありますか

そうですね。2008年に日本代表として出場した北京オリンピック野球の準決勝で、平凡なフライを落球するというエラーをしました。それが得点につながり試合に負けてしまったので、当時すごく話題になったんですね。

当時は、妻に「死にたい」とメールを送るほど落ち込んでいたんですけど、時間も経って大分落ち着きました。最近は、フライが上がったときに落球するとお客様にも喜んでもらえるので、わざと落球しています。

落とし営業、接待落球営業ですね。野球好きな方も多いので、使えるものは使っています(笑)。

現在も会社のチームで野球を続けている

―最後に、G.G.さんのいつものをお願いしていいですか?笑

えー、やるんですか。勘弁してくださいよ!(笑)

―いやいや、なんとかお願いします!

…わかりました。1回だけですからね?

「地盤調査と地盤改良で、皆様を幸せにすることを願って…。からの、キモティーー!」。

現役時代のヒーローインタビューでおなじみだった「キモティーー!」と叫ぶパフォーマンスを披露してくれた

(楽待新聞編集部・藤江良)