クソ物件オブザイヤーの部門賞のひとつ「出血多量賞」は、Twitterなどでコインランドリー経営の厳しい実態を発信し、楽待新聞にも登場した「アイン@コインランドリー大家」(@ainecoinlaundry)さんが受賞した。

参考:1年目から「即死攻撃」、コインランドリー投資で見た地獄

日夜楽待パトロールを欠かさない不動産投資家・どエンド君さんからの短評を紹介する。

「アインさんのブログにも書かれていましたが、コインランドリー投資は完全に事業投資ですよね。不動産投資はうまくいかなくても土地などの不動産価値が残ります、たぶん。一方で事業の価値は収益で決まるので、赤字になったらマイナス価値じゃないですか。儲からなくなってやめたいときほど値段がつかないから、逃げ場がなくなるんです。

そんな元本がゼロになることもある事業投資であれば不動産投資より求められる収益性もずっと高いと思うので、なんだか『不動産・太陽光・コインランドリー!』みたいにセット販売されているのはどうかと思います。ぼくはコインランドリービジネスについて何か言えるほど、この事業について知見も経験もないので、もちろん投資もしていません」

インド発、不動産業界の黒船OYO

「不動産テック賞」はインド発の不動産ユニコーン・OYOが受賞した。

「旅するように暮らす」をコンセプトに初期費用不要、スマホで完結する手続きを強みとし、日本市場で賃貸事業を展開している。「業界の黒船」と形容され、鳴り物入りで登場したOYOに対し、主催団体の見方は?

「『うまくいくわけねーじゃん』というのが、最初にOYOのビジネスモデルを聞いたときの感想ですね」

こう語るのは、全宅ツイの「かずお君」(@kazuo57)。

「物件を相場でマスターリースして、初期費用無し家具付きで相場の1.5倍の賃料で貸し出す。田舎ならレオパレス、都心ならサービスアパートメントがすでにやってます。出涸らしのビジネスモデルを既存の不動産屋さん抜きでやったら、まともな物件集められないでしょ」

当初、「画期的な賃貸ビジネスモデル」との声もあり、かずお君も「インドから来た天才転校生だし、IoTを駆使して僕らには想像できないようなすごい事をするのかもしれない」と期待する部分があったが、実際には問題点も多いようだ。

「プライバシーポリシーも掲載していないサイトで個人情報集めてたり、入居者いる部屋に内見の人がいっちゃったりと無茶苦茶です。さすがインド流。社長も日本の不動産の契約形態理解してなかったし。相場の1.5倍の賃料なのに家具はペラペラのニトリだし。これからどうなっちゃうのかな」

手厳しい見方をしているものの、OYOの大胆な方針転換や日本市場への適応スピードには一定の評価も。

「でも、OYOってやり方がIT企業なんですよね。リーンスタートアップ。とりあえずベースのプロダクトを作って走り出す。やりながら高速PDCA回して改善していく。それが成功への近道だ! 流石です。ターバンかぶって教室の隅でヒンディー語でブツブツ言ってたインド人の転校生、1年経ったらすっかり日本に馴染んでました」

<テクノロジーに頼ることなく、地道な営業活動をしている>
 
「最初に絶叫してたビジネスモデルはどこ行っちゃったんだよ!!! SBは難しいことをするより、普通に資本の暴力で不動産業やったほうがうまくいくんじゃないかな……。これからの貴社のご発展と皆様のご健勝をお祈り申し上げます」

※この授賞式の後、OYO LIFE運営会社がヤフーを傘下に持つZホールディングスとの合弁解消を発表した

ツームストーンに込められた思い

クソ物件オブザイヤー2019最優秀賞に贈られたツームストーン

クソ物件オブザイヤーでは、大賞受賞者に不動産格言を刻んだツームストーンを贈るのが恒例となっている。2019年の不動産格言は「向こうからくる物件は全部クソ」。

全宅ツイ創設者である「全宅ツイのグル」(@emoyino)氏に、どのようなメッセージが込められているのか聞いた。

「楽待を閲覧しているみなさんならすでにご理解されているかとは思いますが、これまで貴方が仲介業者に支払った仲介手数料の金額、貴方の与信(資金力)、売買条件の柔軟さ、投資判断の速さとその揺るがなさ、そのような項目をもとに仲介業者が貴方に下した『不動産投資家としての評価』こそが、あなたのもとにやってきた物件概要書といえます」

物件概要書はいわば「投資家の写し鏡」だという指摘だ。

「つまり、クソみたいな物件ばかり紹介されるのは、仲介業者から見た貴方が不動産投資家としてクソなのです。わかります。お金持ちのお家に生まれてない限り、貴方は手ぶらの不動産投資家で、集まるのは向こうからやってくるクソ物件ばっかりです。『最初の物件買うの、どうすりゃいいのよ?』というお気持ちは。だからこそ、自分から行動しましょう。痛い目みて学びましょう」

漠然と物件を待つのではなく、自分から動いて掴みに行く姿勢は、不動産市場への参加者として業者にもエンドにも必要という考えだ。

「楽待で日々掲載される物件を眺め、コラムを読んで学ぶみなさんへ、不動産ツイッター世界に伝わる素晴らしいお言葉…クソ物件オブザイヤー2017のツームストーンにも刻まれた次の格言をお送りしたいと思います」

『おまえ、画面見てるだけで、金増えるとでも思ってんのか?』

そのエキセントリックさから「不動産業界の奇祭」と呼ばれながらも、中身は意外と真面目で学ぶべき点もあるクソ物件オブザイヤー。ネットの集合知として興味深い不動産事例が多数アーカイブされている公式サイトを覗いてみてはいかがだろうか。

(栗林篤)