PHOTO:Hiroko /PIXTA

昨年12月に、令和2年度(2020年度)の税制改正大綱が発表された。海外不動産を使った節税スキームが封じられるという内容についてはこちらの記事ですでに紹介したが、今回の改正には消費税還付の封じ込めも盛り込まれている。どういった規制が入るのか、またすでに消費税還付を受けている人はどう対処すればよいのか、税理士の大野氏に解説してもらった。

なお本記事は、消費税還付の仕組みや、金地金を使った還付スキームの仕組みに関する知識を前提としている。本記事を読む前に、ぜひ連載の第1回第2回の記事にも目を通しておいていただきたい。

住宅用建物での消費税還付は一切できなくなる

連載第1回目の記事では、「金地金売買スキーム」が規制され、消費税還付スキームが封じられることになりそうだ、とお伝えしました。ところが実際の改正では「大家さんの消費税還付そのものを認めない」という内容となりました。国税庁の「意見」とは異なり、予想外に厳しい改正になったと言えます。

さて、そもそも大家さんが消費税還付を受けられない理由の1つは「家賃収入は非課税である」ためでしたね。大家さんの収入である家賃収入が非課税なのだから、下図の「仕入れにかかる消費税」として計上することはできず、消費税還付が受けられない、ということです。

ただし、これには例外がありました。全体の売上の中に占める課税売上の比率を高めれば、購入時の消費税を差し引くことができ(仕入税額控除)、還付を受けることができたのです。この課税売上を高めるために利用されていたのが「金地金の売買」でしたね。以前から国税庁が出していた「意見」では、この「金地金の売買」を課税売上とは認めないようにする、という内容でしたから、消費税還付が封じられるとしたら、「この金地金売買をできなくする」ということだろうと考えられていました。

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