書籍転売、不動産投資

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不動産投資を始めるにあたり、どの程度の自己資金を貯めておくべきなのだろうか?

不動産投資のノウハウといえば、「物件選びのポイント」「融資獲得のテクニック」「売却のコツ」といった内容が多く、「自己資金の貯め方」に関する話は投資家同士でもされることが少ないかもしれない。

しかし、近年は以前のようにフルローン・オーバーローンで物件を買うことが難しく、物件価格の2、3割の頭金を求める金融機関も多い。これから不動産投資を始めようとする人にとっては、実際にどのぐらいの自己資金が必要なのか、投資家たちがどのように種銭を用意したのか、といった点も気になるところだろう。

今回は、不動産投資家たちが収益物件の購入にあたり、自己資金をどのように貯めたかについて調査した。投資を始めた時代や本人の属性、投資戦略などが異なるため参考にしにくい面もあるかもしれないが、収益物件の購入を検討している人たちにとって少しでもヒントになれば幸いだ。

1億円の物件なら1600万円?

そもそも、不動産投資に必要な自己資金はどれぐらいなのだろうか。

まず、物件購入にあたっては不動産登記費用や火災保険料、収入印紙代といった初期費用がかかる。これら購入時諸費用の目安は、おおよそ売買価格の3~5%程度。さらに、仲介会社を通じて物件を購入した場合は「仲介手数料」がかかり、売買価格400万円を超える場合の上限額は「売買価格×3%+6万円+消費税」という計算になる。

仮に頭金1割、購入時諸費用3%として考えてみると、2000万円の物件であれば、購入時諸費用(2000万円×3%)+仲介手数料{(2000万円×3%+6万円)+消費税}+頭金(2000万円×10%)=332万6000円。同様に、1億円の物件を買う場合は1636万6000円が必要という試算になる。

当然だが、収益物件は購入時だけでなく、運営を進めていく中で固定資産税や都市計画税、大規模修繕費、広告料といった経費がかかってくる。手元資金を残しておかなければキャッシュアウトによって運営が難しくなる可能性も出てくるため、基本的にはある程度の自己資金を蓄えたうえで不動産投資を始めたほうが安全だといえる。

平均1459万円

楽待新聞では1月、楽待会員を対象に自己資金の貯め方に関するアンケートを実施。不動産投資を始めた際の自己資金の金額については79人から回答があり、平均金額は「1459万円」だった。最も高かったのは1億円で、「0円」という回答は10人。前述の通り、始めた時代や本人の属性、狙う物件などが異なるため一概には判断できないが、300万円以上の自己資金を有して不動産投資を始めたケースが4分の3を占める結果となった。

「自己資金をどうやって貯めたか」という質問には、169人中95人(56%)が「給与の貯蓄」と回答。以降は、株式投資17人、持ち家の売却4人、遺産相続4人、退職金3人、副業3人、などと続いた。

自己資金の具体的な貯め方について、何人かに話を聞いてみた。まずは、最も多かった「給与をコツコツ貯めた」という回答から。

飲み会拒否、60円の水で

「不動産投資をすると決意してからは、とにかく節約して支出を減らしました」

大阪府の会社員Aさん(46)は昨年末、念願だったという不動産投資を始め、1棟目として9300万円の物件をフルローンで購入。諸費用分350万円ほどを貯金から工面した。

当時の貯金は800万円ほどだったが、大半をこの1、2年で貯めたという。「これまでは給与が入っても趣味に使ったり旅行に行ったり、なかなか貯めることができなかった。でも、昔から興味があった不動産投資にチャレンジしようという目標ができて、欲しいものも我慢できるようになったんです」

まずは日々の自分の行動を検証することから始めた。「何を買っているのか、どういう遊びをしているのか。それを自己反省して、いらないものを削るだけでだいぶ変わりました。外食は控えて、飲み会の誘いもできるだけ断り、新しい洋服は買わない。飲み物は絶対に自販機やコンビニでは買わず、通販で1本60円ぐらいのキャンペーン時に水やお茶のペットボトルを買うようにしました。残業を増やし、車も売却して、去年は400万円ほど貯金できました」

実家暮らしで3000万

「これから不動産投資を始める予定」という愛知県の会社員Bさん(41)は、実家暮らしで固定費を抑えながら無駄な支出を減らし、23歳から41歳までの18年間で約3000万円を貯めたという。「28歳までは1人暮らししていたんですが、それから実家に戻ったんです。家賃や食費、水道光熱費、インターネット代などが節約できるので、年間200万円ほど貯金できました」

その後、34歳の時に転勤で1人暮らしとなったが、「支出を増やさないように、当時は毎月レシートを勘定科目ごとに仕分けして、どこに無駄が多いか検証して対策していました」。37歳で転職し、再び実家に戻ったが、無駄な支出を抑える努力は続けている。「車のタイヤやバッテリーの交換など、自分でできることは自分でする。普段着はもっぱらオークションで。今は毎年300万円貯められるようになりました」

危機的状況を救った銘柄

株式投資や投資信託によって自己資金を貯めたという人も多かった。

2015年から不動産投資を始め、現在4棟を所有している愛知県の会社員Cさん(51)は「始めた当時は株式が7000万ほど、現金と債券が2000万ほどありました」と語る。

株式投資歴は約20年。「2006年から3年ぐらいは会社を辞めて専業でやっていました。決算で上がりそうな株を調べて決算発表直前に仕込む短期売買と、売上や自己資本比率など複数の指数から上がりそうな株を機械的に抽出して長期保有する戦略の組み合わせ。当時は年間300万~500万のプラスを出せていました」

その後、リーマンショックの影響で500万円ほどの損を出し、日本株に見切りをつけて3000万円ほどの株式を一気に外国株へシフトした。「香港証券取引所を中心に11銘柄購入したんですが、旅行、鉄鋼、食品など9銘柄は全てマイナスになってしまったんです。でも、あるネット企業が30倍に上がって1億円を超えたので、トータルではプラス。この銘柄も一時期下がった時に売りに動いたんですが、持ち続けてよかった。これを買ってなかったらヤバかったです」

こうして潤沢な自己資金を用意したことは、不動産投資にプラスに働いたとCさんは言う。

「1、2棟目はともに7500万円ほどで買ったんですが、頭金を1割しか入れていないので返済比率が60%ぐらいと高く、毎月のCFは満室でも1棟10万円ほどしか残りません。3、4棟目はともに1億3000万円ぐらいなんですが、頭金を4500万円ずつ入れたので、融資期間28年で返済比率は38%。満室時の月間CFは35万円になっている。リスクを抑えた投資にするためには、やはりある程度頭金を入れることが必要かなと思います」

リーマンショックで暴落

逆に、投資で自己資金を増やすという目論見が失敗に終わったケースもある。

東京都の会社員Dさん(56)は「2008年に、それまで貯めた有り金2500万円を1つの投資信託に突っ込んだら、リーマンショックの影響で一気に800万円まで下がってしまって…。焦りましたが、しばらく我慢して、2年後に1600万円まで戻った段階で損切りしました。資産運用で自己資金を貯めようとして、逆に減らすことになるとは…という感じでしたが」

この自己資金を頭金に1棟目を買い、今では不動産投資歴10年、総投資額は14億円となった。現在は一棟物件9棟、戸建2戸を所有し、年間家賃収入は1億2000万円。貯まったCFを次の物件の頭金に充てながら規模を拡大してきた。「自分には投信や株より不動産投資の方が合っていたということでしょうね。やはり、ボラティリティが低いことが不動産投資の何よりもの魅力です」

海外ファンドの値上がり益で

「貯めた貯金で海外の有力な高利回りファンドを買い、その値上がり益で不動産投資に参入しました」と語るのは、東京都の会社員Eさん(51)。

「20年ほど前は金融ビッグバンの頃で、10年で40倍に上がったクォンタム・ファンドなど海外ファンドが話題になっていたんですよね。自分も元本保証で利回り12~15%のヘッジファンドを10万ドル買ってほったらかしにして、5年後に25万ドルで売却しました。円高になったので実質は2倍ぐらいですが」

2008年に購入した1棟目のRCは頭金に貯金を充てたが、翌年購入した2棟目のRCはファンド25万ドルのうち半分を解約して充てた。その後、売却益を元手に規模を拡大し、現在は総投資額4億円ほどになったという。ファンドの半分は昨年、IPO株の購入に充てた。

「当時買ったヘッジファンドも、もともとは書籍で勉強して、その著者の投資クラブに入って、参加費1万円ぐらいのセミナーに参加し、有力なファンドを紹介してもらったんです。不動産でも株でもファンドでも、まずは情報を調べて勉強し、少額でもいいから試してみて、相性がよくて長く付き合えそうなものに大きくかけたらいいんだと思います。基本的に、よい投資案件は決して向こうからは売り込みに来ないですから」

続いて、一風変わった方法で資金を貯めた人たちの事例も紹介したい。