不動産投資 失敗

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楽待新聞の読者の中には、これから不動産投資を始めようと検討している人もいるだろう。投資の目的や戦略、狙う物件はさまざまでも、その投資で「失敗したくない」という思いだけは共通しているのではないだろうか。

一口に「失敗」といっても、不動産投資の場合は「利益の出ない新築ワンルームを掴んでしまった」「需要のない地方物件を買って出口が見つからない」「手に負えない築古戸建てに苦しんでいる」―など、さまざまなパターンがある。そのため、具体的な失敗のタイプやその原因を正しく理解しておくことは、不動産投資で失敗するリスクをできる限り低くするのに重要といえる。

そこで今回は、約100人の不動産投資家に、これまでの不動産投資で「失敗だった」と感じる経験について聞いてみた。彼らが失敗を通じて得た教訓から学び、同じ轍を踏まないために必要なことを考えるきっかけにしてもらえれば幸いだ。

最多の失敗パターンは「新築区分マンション」

楽待新聞が先日、「失敗だったと思う経験」について読者アンケートを実施したところ、101人から回答があった。回答のあった失敗のパターンを大まかに分類すると、下記のような結果となった。

今回はこの上位5パターンの失敗例について、具体例を交えて紹介していく。

【1】儲からない新築区分マンションを掴んだ

やはり最も多かったのは、儲からない新築ワンルームマンションを買ってしまったという失敗。巧みな営業トークを信じ込み、業者の利益が大きく乗った金額で高値掴みし、高金利ローンの返済を家賃収入で賄えず毎月赤字に苦しむ―。こういった事例の問題点や業者の営業手法などについては、楽待新聞でもこれまでに幾度となく紹介してきた。

※参考
新築ワンルームに人生を狂わされた男たち
編集部は見た! 投資用マンション営業の実態

「しっかり勉強していれば新築ワンルームには手を出していなかったし、売却時期を間違えたことを本当に後悔しています」

青森県のAさん(50代男性)は10年ほど前、業者からの営業電話をきっかけに新築ワンルームマンションを購入。それから6年の間で、立て続けに6戸の新築ワンルームマンションを合計1億2000万円弱で買った。

「最初は職場に『マンション買いませんか』という電話が何度もかかってきて、ずっと断っていたんです。でも、たまたま東京から青森まで説明しに来てくれるという担当者がいて、とりあえず会うことになりました。『都心だから値上がりする』『節税につながる』『老後の年金の足しになる』『生命保険の代わりに』…とまくしたてられ、半ば強引に押し切られて契約したのが1戸目です」

購入したのは東京・中野のワンルームで、価格は約2000万円。メガバンクで金利3.5%30年の融資を受けた。「月の収支はトントンぐらいのシミュレーションだったので、1室ぐらいなら持っていてもいいかな、ぐらいの気持ちでした」

その後、営業マンからは「次買いましょう」と勧誘が続き、1800万~2200万円ほどの新築ワンルームを1年に1戸のペースで買い増していくことになる。

「紹介されたのは東京23区内の物件ばかり。地方に住んでいて土地勘がないので、『5年後には400万ぐらい値上がりしますよ』という言葉も『そうなのかなぁ』と信じました。途中からは『いけるところまでいこうかな』という気持ちで…。6室とも入居は安定していたんですが、新築だったので退去のたびに家賃が下がり、一番苦しい時期は毎月6万円ほどの持ち出しが発生していました」

そんな状況が続き、今から2年前に一括売却を決断した。「当時の残債は8800万円でした。各物件は頭金を50万~100万ほど入れていて、それに毎月の支出を合わせると1500万円ほどのマイナスが発生していたので、それを足した1億300万円で売りたいと思っていたんです。でも結局、売却価格は9300万円ぐらい。トータルで1000万円マイナスの投資として終わったことになります」

悔しさが消えない理由の1つは、売却後に区分マンション価格が高騰したことだ。「いまだに私を所有者だと思って『売りませんか』という営業電話があるんですが、2年前より全然高い2200万、2300万円という価格なんです。そもそも新築区分を買ったことも間違いでしたが、不動産の情勢をしっかり把握して売り時を考えれば損しない終わり方もできたと考えると、非常に後悔の多い投資です」

【2】購入時のシミュレーションが甘かった

次に失敗例として多かったのは、購入時のシミュレーションが甘く、想定通りの収入が得られなかったという事例。見せかけのCFのために融資期間が延ばされている、家賃下落や入居率低下の試算が楽観的すぎる、大規模修繕費や各種税金が考慮されていない―など、不動産会社が提示するシミュレーションには初心者を騙す罠が潜んでいることがある。正しい知識を持たずにそれを信じ、購入した後に「こんなはずではなかった」と後悔する投資家は後を絶たない。

楽待新聞の連載【徹底解説「収支シミュレーション」】では、業者が提示するシミュレーションの甘さや、自らの手で将来収支を試算する際のポイントについて解説している。また、シミュレーション不足が原因で失敗した相談者に、ファイナンシャルプランナーで不動産投資家の五十嵐未帆さんが問題点を指摘しながら改善策を考える【五十嵐未帆の「愛のお説教部屋」】なども参考になるだろう。

【3】手に負えない築古物件を買ってしまった 

安い価格で入手でき、高利回りが狙えることで人気の「築古物件投資」。物件再生や客付けなどのスキルが高ければ、古さというリスクをカバーして高収益を実現できる投資であることも確かだが、自らの手に負えないような築古物件に手を出して八方ふさがりになってしまう事例も少なくない。

現在は一棟アパート、一棟マンション、戸建、区分など56室を所有する楽待コラムニストのゆたちゃんさんが、大家歴14年の中で「一番の失敗」と語る経験について話してくれた。

「10年ほど前に競売で購入した、築65年ぐらいの古家付き土地です。地方都市ですが、駅に近くて国道から50メートルほどと立地が良かったので、どんな用途でも使えるのではないかと。落札価格は88万円でした」

ゆたちゃんさんが購入した古家付き土地

購入してから問題の大きさに気付いた。

「購入前は外観しか見られなかったんですが、中に入ってみて初めて、お風呂もトイレもない物件であることが分かりました。簡単な流し台はあるんですが、排出された水は浄化槽もないまま外に垂れ流しになっていた。それでも倉庫や駐車場なら使えるのかなと思ったんですが、道路から建物の間にかなりの段差があって、100万円ぐらいかけて埋め立てる必要があったんです」

埋め立てても採算が合わないと判断し、購入から数年後に現況のままで買い手を探すことにしたが、反応は薄かった。「20~30万円ぐらいだと引き合いはあるんですが、皆さん現地を見に来ると水回りや段差がネックになって敬遠されるんです」

現在は、タダ同然でも引き取り手があれば…という思いだ。「私が死ぬ前に処分してほしいという家族の意向があるので、ある業者に『1円』で引き取ってもらう予定です。購入時にかかった費用は諸費用込みで100万円ほどで、年間1万5000円ほどの固定資産税と草刈りの費用を払い続けただけ。10年間何一つ収益を生まずに支出だけが発生する、完全なる『負動産』になりました」

ゆたちゃんさんはこの物件について「今だったら絶対に買わない」と断言する。「当時は物件を見極める目もなかったので、単純に立地が良くて価格が安いから入札しよう、という単純な考え。購入後の用途で苦労することは想定していませんでした。都内の好立地であれば別ですが、地方で買い手も借り手もつかないような物件は絶対に買ってはいけない。大きな教訓になった物件でした」