PHOTO:bee/PIXTA

新型コロナウイルスによる影響が拡大している。

毎日のように新たな感染者情報が公開され、マスクは今もなお品薄の状態。テレワークや時差通勤を導入する企業が相次ぎ、大型テーマパークも休園を決定、政府が全国の学校に臨時休校を求めるという異例の要請も行われた。

そうした状況下、株価の下落や企業の経営破綻など経済へのダメージも顕在化し始めているが、不動産業界にはどのような影響が考えられるだろうか?

楽待新聞編集部では、不動産投資家約500人と不動産会社70社にアンケートを実施。現在、不動産の現場にどのような影響が出ているのか、あるいは出ていないのか、リアルな声をお届けする。

 

※実施概要
調査時期:2020年2月28日~3月2日
有効回答数:498(個人投資家)/71(不動産会社)

部品供給ストップで「リフォームができない」

まずは、不動産投資家約500人への「現在、不動産投資や不動産賃貸業への影響があるか」という質問。これについては、以下のグラフの通り回答が割れる結果となった。

(n=498)

最も多かったのが「影響はない」で217人(44%)。次いで「影響はある」が171人(34%)、「どちらともいえない」が110人(22%)であった。

続いて、それぞれの回答の理由を紹介していこう。まず「影響はある」と回答した理由としては、主に以下のようなものが挙げられていた。

「影響はある」と回答した理由

・新築した物件のキッチン、浴槽、トイレなどの入荷が遅れている。でも返済はしなければならないので、資金をショートさせないように尽力している。
(千葉県/50代/男性)

・部品の一部が中国で作られているようで、洗面台や流し台、ユニットバスなどが入荷されずリフォームがストップ。この春に募集開始予定の新築物件も、水回りの設備が入ってこないので募集ができません。供給の正常化には3カ月以上かかると聞きました。(長野県/50代/男性)

内覧の予約が入っていたが、コロナウイルスの影響でキャンセルになった。
(千葉県/30代/男性)

・騒動が長期化すると派遣切りや雇い止めが起こる可能性があるので、積極的に物件を購入する気が起きない。(岐阜県/40代/男性)

 ・子供の学校が休校になり、物件を見に行ったり打ち合わせに行ったりできない。また所有するテナント物件の飲食店は貸し切りパーティーなどで使われているところなので、売上げの減少が気になる。(福岡県/30代/女性)

・アパートの購入を買付直前で見合わせました。今後日本が急激に不景気になり、地価がかなり下落することを懸念したためです。(東京都/40代/男性)

・簡易宿所を営業しているが、2月は売り上げが50%ダウン、3月の予約はゼロです。(東京都/50代/女性)

・賃貸不動産以外で、昨年旅館業を取得して始めたホテル形式物件の売上が全くなくなってしまった。もはや一種の不良債権。(千葉県/男性)

・北海道の所有物件の賃貸仲介店が休業となり、空室の入居募集が停止してしまった。(東京都/60代/男性)

特に目立ったのは、トイレやユニットバスなど、水回り関連設備の不足による影響だ。ちょうどリフォームや新築の工事が進んでいたところにこの騒動が重なり、大幅な工期の遅れが出ているという声が多数聞かれた。

住宅設備の納期が遅れている背景には、製品によってはそのほとんどが中国で生産されている、という事情がある。不動産投資家で、住宅建築などを手がける工務店に勤務する「ポンカン大家」さんによると「特にトイレの納品遅れが深刻」だという。

「トイレは、日本の大手メーカー3社が国内のシェアを9割握っていると言われますが、その3社に部品を提供する中国の工場がすべてストップしている。再稼働の見込みも立っていないようです」(ポンカン大家さん)

同様の品不足は東日本大震災でも経験した、と話すポンカン大家さん。しかし、コロナウイルスによる影響は当時よりも深刻だという。「震災で被害を受けたのは、東北や茨城県などの工場が中心。関西のメーカーに発注すれば不足分がなんとか補えましたが、今回は日本国内の全エリアで製品や部品が不足している。おそらくあと半年くらいは品薄状態が続くのではないか」とみている。

こうした設備の納品遅れ以外にも、「内見がキャンセルになった」「入居者からの問い合わせが減った」といった直接的な影響を訴える声もあった。民泊や簡易宿所などを運営する投資家からは、「インバウンド需要の減少により大ダメージを受けた」といった悲痛な声も聞かれた。

一方、新型コロナウイルスによって不動産価格が下落する、と見る投資家も少数ながらいるようで、「コロナショックから世界的な景気悪化が進み、不動産価格の下落につながると思われる」(東京都/30代/男性)、「消費増税にコロナショックでデフレ経済が深刻化する可能性がある。良い物件が市場に出てきそうなので、投資チャンスが期待できる」(千葉県/40代/男性)といった回答もあった。

「不動産賃貸業とは無関係」の声も

続いては、「影響はない」(217人、44%)という回答の理由を一部紹介する。

「影響はない」と回答した理由

・今のところCOVID-19(新型コロナ)を理由に退去、といった直接的なダメージがないから。(東京都/30代/男性)

・賃貸需要は変わることはなく、不動産賃貸業と全く関係しないものだと思うから。(埼玉県/40代/男性)

内見数に変化なし。例年並みの繁忙期です。心配事といえば、民法改正直前のセミナーが中止になったので知識と実務面で不安が残るくらい。
(沖縄県/40代/男性)

・影響があるとすれば、もっと後になると思う。(宮崎県/60代/男性)

・価格等にも下落は見られず、影響は外国人向け賃貸や民泊用戸建物件に限定的に見られる程度だと思います。(愛知県/40代/男性)

・中国人留学生をメインターゲットに賃貸業を行なっているが、今現在はなんの影響もありません。ただ、春節の時期に大半が帰国する彼らが、皆日本にと留まっています。日本人以上に中国人はコロナに危機感を感じているように感じます。(栃木県/40代/男性)

回答の理由としては、「今のところ実害が出ていない」というものが最も多かった。また「賃貸需要はなくなることはない」といった意見も複数見られた。

「どちらともいえない」(110人、22%)の回答理由も、「現状では直接的な影響が出ていない」ことを挙げる人が多かったが、今後の先行きに何らかの不安を感じている人が多いようだった。以下に回答の一部を紹介する。

「どちらともいえない」と回答した理由

・賃借人が飲食店勤務なので、家賃滞納などの心配はある。貸し倉庫も所有していて、そちらは大丈夫だと思うが長期化すると分からない。
(兵庫県/30代/女性)

・まだよくわからない。ただ、転勤などの引っ越しは減るのではないかと思います。(東京都/50代/男性)

・まだ影響は出ていないが、今後リフォームなどの部材が買えなくなる可能性がありそうに思う。(北海道/30代/男性)

・公庫に融資を申し込んでいるが、コロナウイルス関連の融資申込みが優先されて、面談までに時間がかかりそうでそうで怖い。
(千葉県/40代/女性)

内見する人が減りそうな気がする。当方所有アパートは満室だからいいが、空室がある人は不安だと思う。(東京都/50代/女性)

・実際の収入には影響はない。ただ、先日参加したセミナー会社の物件ツアーは、コロナが怖いのでキャンセルした。(大阪府/40代/女性)

・コロナウイルスの影響で解約、ということはなさそうだが、新たな入居者募集に関しては動きがにぶくなるかもしれない(埼玉県/50代/男性)

・企業がコロナ対応で在宅勤務や一時休業に追われているが、不動産貸付業は現段階では他の事業に比べて影響はないと感じる。ただし今後、物件を任せている管理会社がウイルスの影響で休業になってしまったら頭が痛くなってしまう。(長野県/30代/男性)

今後については「拡大していく」が約半数

新型コロナウイルスによる影響は、今後どうなっていくのか。アンケートでは、今後の見通しについても聞いた。回答結果は以下の通りで、半数の人が「拡大していくと思う」と回答している。

(n=498)

「拡大していくと思う」と答えた人の多くは、新型コロナウイルスの感染者数がいまだはっきりしていないことを理由に挙げていた。今後、感染がさらに拡大すれば、「行動や経済活動が停滞し、賃貸需要が低下する」、あるいは「家賃を支払えない入居者が増える」といった意見が見られた。

一方「縮小していくと思う」の回答理由としては「政府が対策に本腰を入れ始めた」「これから気温が上がれば感染は減っていく」「そもそもこれまでが騒ぎすぎだと思う」などの回答があった。