「私、働きたくないんですよね」。あっけらかんとした笑顔で話すのは、ブロガーでもあり、千葉県を中心に戸建て投資を行う大家でもある「エリック」さん(33)。大学在学中に転売業を起業、2017年には会社をたたんで、かねてから始めていた不動産賃貸業に専念したため、いわゆる「サラリーマン」とは無縁の生活を送ってきた。
家賃収入を柱に、「好きなことだけをする」生活を送る33歳のエリックさん。「イマドキ」の不動産投資家の思考に迫った。
■動画(前編・ゆるニート大家「エリック」って何者!?)
※動画の後編は本文の最後にありますので、あわせてご覧ください!
「5万円」のボロ物件、実質利回りで140%
エリックさんの不動産投資スタンスは、「無借金で戸建て投資」。現在は千葉、群馬、茨城、栃木に計5軒の戸建て物件を所有している。
「戸建ては(入居付けに)優位性があると思っています。戸建てはそもそも賃貸仲介サイトに載る数が少ないので、選んでもらいやすいですし、3月などの繁忙期じゃなくても入ってもらいやすい。一気に稼げるわけではないですが、リスクは少ないと考えています。地道に戸建てだけを買っていく手法をとっていきたいですね」
直近で購入したのは、千葉県富津市にある築約50年の戸建てで、価格はなんと5万円だ。2019年に相次いで日本列島を襲った大型台風の被害を受け、窓ガラスが破損。足腰の悪かった元所有者が、それを機に売りに出した物件だという。寝起きしたままの布団や、家財道具などもすべて残されたままだったが、約230坪の敷地内には農作のできるスペースもあり、倉庫にはまだ新しい草刈り機や耕運機、高圧洗浄機なども眠っていた。
取材日には、「『すぐに農業ができる家』として貸し出そうと思っています」と話していたエリックさん。「お金をかけたところで(家賃は)上がらないですからね」と、リフォームも残置物の撤去や外壁の補修、窓ガラスの修理を行うだけにとどめる計画だった。
後日、近況を聞いてみると「月2万8000円で入居者が決まりました」という。リフォームは窓ガラスの修理のみで、約1万8000円を支出。計画どおりに「すぐに農業ができる」ほか、大型家具は残したままで「家具付き」や「DIY可」を打ち出した結果、その条件に惹かれた入居者が借りてくれることになったそうだ。
物件の価格は5万円だが、諸費用などを含めると総額は約24万円。それでも、140%を超える高利回りを実現させている。
「就職したら、負けだと思ったんですよ」
自身の性格は「心配性」だという。「借金をしたら眠れなくなるかもしれない」ため、所有物件はすべて現金で買い進めてきた。
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