コロナショック 日経平均 ダウ平均 暴落 不景気 ダウ

新型コロナウイルスの感染拡大による景気の先行き不透明感から、世界中の金融市場が大荒れの展開となっている。

米国株式市場ではダウ工業株30種平均が約3年ぶりに2万ドル台を割り込み、国内でも年始に2万4000円台をつけていた日経平均株価が3年4カ月ぶりに1万6000円台まで急落。REIT(不動産投資信託)の総合的な値動きを示す東証REIT指数は、2月後半からのわずか1カ月で半値まで暴落した。その後は米経済対策への期待感などからダウ平均が急騰し、日経平均やREITも反発するなど、世界中のマーケットが短期間に乱高下する状況だ。

激動の「コロナ相場」は今後どのような道筋をたどり、不動産価格はどのように推移するのか? 先の読めない相場の中で、不動産投資家はどのような投資戦略を描くべきなのか?

今回は、1990年代半ばから中古ワンルームの現金買いに絞って59室を所有し、無借金で家賃年収3600万円を実現した「区分のプロ」芦沢晃さんを直撃。平成バブルからリーマンショックを経て、「不動産バブル」と呼ばれた近年までコンスタントに物件を購入し、国内外の株式にも投資を続けている芦沢さんが今回の「コロナ相場」をどう見ているのか、インタビューした。(取材日:3月23日)

「ロボット相場」の衝撃

芦沢晃
1990年代半ばから中古区分マンションの現金買いを進め、都心や京浜地区の中古ワンルームを中心に58棟・59室を所有。無借金で総投資額は約3億円、家賃年収は3600万円に上る。
今も個人で技術士業エンジニアを続ける兼業大家で、現物の不動産以外に国内外の株式やREIT、ETFなど幅広く投資をしている。

――新型コロナウイルスの影響で世界的に株価が下落していますが、どのようにみていますか?

平成バブルなんかと一番違うのは、人工知能(AI)によるアルゴリズム取引の発展で相場の変動スピードがすさまじく速くなっていることですね。AIに「怖い」「恐ろしい」といった感情はなく、トレンドに応じて売買注文を乱発するので、当時に比べて何十倍も速いスピードで価格が上下する。NYダウや日経平均の激しい値動きを見ると、市場が「ロボット相場」になっていることを実感します。

――平成バブルやリーマンショックなどの暴落相場も経験してきたと思いますが、今回の「コロナ相場」との違いは感じますか?

今回はリーマンショックのような金融危機ではなく「リアル世界」の話であって、結局はコロナの動向次第なので将来予想が非常に難しいと感じます。奇跡的に特効薬が開発されたら大暴騰するかもしれないし、アメリカ全土で外出禁止令が出たりしたらもっと大暴落するかもしれない。個人的には「分からない」からこそ、下がったら少し買って、配当を再投資して、また下がったら少し買って、を繰り返すしかできないと思っています。

分散投資の強み

――あらためてご自身の区分マンション投資の現状について教えてください。

私は区分の現金買いを25年ぐらい続けていて、今月2室買ったので58棟・59室になります。表面の家賃収入が3600万ぐらいで、管積(管理費・修繕積立金)を差し引くと2900万ぐらい。そこから税金や経費を引くと、毎年最終的なCFは2000万円前後で推移しています。

――現物の不動産以外にも分散投資をしていますが、トータルのポートフォリオに関する考え方は?

区分のCFのみだと3カ月に1室ずつぐらい買える感じなんですが、紙の資産の方もバランスさせていった方がいいかなと思っているので、今は区分のCFを使って配当狙いの株に投資しています。区分は家賃収入をもらいながら物件の評価は下がっていくわけで、同じように株の方も株価の動きに固執せず、とにかく配当で元を取るぐらいの気持ちでやっています。得た現金配当と家賃を合わせて、またそれを再投資して、という流れですね。

――株式は具体的にどのような銘柄に投資していますか?

アメリカ株は個別銘柄とETFが半々ぐらいで、個別銘柄はコカ・コーラやP&Gなど50、60年配当を出し続けている安定企業。アメリカのETFは日本に比べると手数料が安くて、例えばVOOというS&P500(*1)連動のETFは0.03%なんですが、そういった素人が見ても確実なものを少しずつ買っています。日本株の方はもう成長が止まってしまっているので、財務諸表を見たり専門家の先生の発言などを参考にしたりして、配当期待で選りすぐりの個別銘柄を買っています。

(*1)S&P500:アメリカの代表的な株価指数

あとは外貨ですね。売買で利益を上げる目的ではなく、日本の財政破綻リスクも考えてニュージーランドドルやオーストラリアドルに逃がしています。日本に比べればまだまだ利息がつくので、下がったら買い増して、という感じで。金・銀にも実験的に投資しています。

暴落相場でナンピン買い

――この暴落相場で含み損が広がっていると思いますが、焦りはありませんか?

株式は1000万ぐらい含み損がありますが、しょうがないなと思っています。リーマンショックの時も数千万円の含み損があったんですが、サラリーマンの給料と家賃収入、中国株の配当など毎月確実なCFが入ってきていたので、下がったら買い、下がったら買いというナンピン投資(*2)を永久に続けていこうと思って買っていました。その気持ちは今もあります。

(*2)ナンピン投資:保有銘柄の株価が値下がりしたときに、同じ銘柄を買い増して平均取得単価を下げる手法

地球上の資本主義が残る限り、いつか反転するというのは過去の歴史が証明しています。1929年の世界恐慌も、平成バブルも、アジア通貨危機も、リーマンショックも、どれだけ暴落しても長い目で見れば必ず戻っている。とにかく安定して湧いてくるCFを使って少しずつ、自分が底かなと思ったタイミングで永久に買い続けていく考えです。

――リーマンショックの時は、芦沢さんが持っている都心の区分はどう値動きしたんですか?

現金区分投資家の視点でリーマンショックを振り返ってみると、実際はほとんど記憶にないというか、関係なかったんです。家賃が5万から4万に下がってもCFは十分出ますし、物件価格が500万から400万に下がっても持っている分には関係ないですし、入居率が多少落ちても自分で努力すれば埋まってしまいますので。だから、リーマンショックは横目でみながら淡々と家賃をもらい続けていた感じですね。

――リーマンショックで不動産価格が暴落した時期でも、売却は考えず持ち続けていた?

そうですね。今では家賃も物件価格も購入時より上がっています。例えば墨田区のスカイツリー近くに私が持っている物件なんかは、前回5万円前半ぐらいで入居した物件が、相場を見ると6万以上でどんどん入居がついていますから。価格も500万台前半で買ったのが、現在は650万とか600万円台後半で取引されています。やはり都心好立地であれば家賃も価格も上がっていくんですね。

――リーマンショック当時は株の方も損切りは考えずナンピン買いを続けていたんですか?

不動産については影響がない一方で、紙系の投資の方は大暴落していました。それでもいつかは必ず戻るだろうから、下がっても気にせず、不動産からのCFでどんどん(全世界株式対象の)ワールドストックインデックスを買い続けていく状況でした。その後、トランプ相場で戻ったんです。

――暴落相場の時は、そういった指数系の投信やETFに投資すべきだと考えますか?

私ども素人の個人投資家にできることは限られていますので、そういった全世界株式か、あるいはアメリカなど経済力のしっかりした国の指数をナンピンで、底かなと思ったタイミングでコツコツ買っていった方が、パフォーマンスは出ないものの堅実かなと個人的には思っています。

J-REITの暴落に思うこと

――東証REIT指数はこの1カ月で半値ほどまで暴落しましたが、どのようにご覧になっていますか?

私は現物の区分専門なのでなんとも言えませんが、REITはロットが大きいので我々個人投資家が注目しているような物件よりも株や証券に近いと思います。AIによるアルゴリズム取引もREITに組み込まれていると思いますので、リーマンショックの時より暴落のスピードが圧倒的に速い。機械的な判断でどんどん空売りによって利益を取っていた形だと思います。

――REITの動きは現物の先行指標とみられることもありますが、ここ数年の値動きについてはいかがですか?

REITは物件の規模が大きくて敏感に動くので、現物の不動産の値動きとは少し違うと思います。ただREITも現物不動産も、結局は融資の動向によって相場が動いていくので、スピードや値動きの幅に違いはあってもある程度は連動していますね。

――暴落相場では分配金の利回りが上がるので買い場という見方もできますか?

そうですね。株と違ってREITは分配金が命だと思いますし、ホテル系やオフィス系に比べれば住居系は安定しています。J-REITの銘柄はリーマンショックの頃にいくつか買って放置していたんですが、これだけ下がってもまだ含み益があります。仮に含み損が出ても売る気はなくて、底かなと思ったら多少損してでも少額買い足して持ちっぱなしにしようと考えています。