新型コロナウイルスの感染拡大防止が求められる中、孤独死などの現場で、日々除染や消臭などを行う「特殊清掃会社」が注目を集めている。今回は、日本全国に特殊清掃のサービス網を持つ「一般社団法人日本特殊清掃隊」のウイルス除去作業の様子を密着取材しつつ、一般家庭でもできる除去作業や作業時の注意点を紹介していく。
3月下旬から「1日数百件の問合せ」
普段は孤独死があった部屋や、火災現場などの除菌消臭が主な業務となる特殊清掃会社に、3月下旬からは新型コロナウイルス関連の問合せが激増している。除菌に必要な薬剤の適切な使用方法など「感染予防」を熟知している特殊清掃会社の技術はコロナウイルスの除去にも役立つとされ、船内で「感染爆発」が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の除染・消毒作業にも彼ら特殊清掃会社が参加した。
現在の問合せ状況について、日本特殊清掃隊に加盟する「家財整理会社エバーグリーン」代表の大邑政勝氏は「3月の終わりから4月の頭にかけては1日数百件もの問い合わせがきていました」と述べる。感染予防のためのウイルス除去作業から、「実際に感染者が発生したため今すぐ来てほしい」とひっ迫した状況での依頼までさまざまな問合せが届いているという。
ちなみに、新型コロナウイルス除去作業の費用は1平米1000円~6000円ほどで、建物の広さなどの諸条件で金額は変動する。賃貸住宅のオーナーからの依頼は今のところ来ていないが、依頼があれば対応は可能だそうだ。
プロのウイルス除去作業は
除菌消毒のプロはどんなふうにコロナウイルスの除去作業にあたるのだろうか。楽待編集部は、日本特殊清掃隊の作業に密着させてもらった。作業現場は、東京のとあるオフィスビルのワンフロア。依頼主からは「感染者はまだ出ていないが、予防のためにウイルス除去作業を依頼したい」と連絡があった。
早速、マスクを装着し、ゴム手袋をつけて、作業に入っていく。使い捨てのカウンタークロス(不織布でできた衛生ふきん)に、ウイルス除去作用があるとされる「次亜塩素酸ナトリウム」を希釈した液を染み込ませ、人が頻繁に触るところを中心に拭いていくのが主な作業だ。床は、薬剤を吹き付けながら吸い上げる掃除機のような機械を使い、除去をしていく。

ノズルで薬剤を吹き付け、ヘッド部分で吸い上げていく
頻繁に触れるPCのマウスやキーボードはもちろん、椅子を引くときに手が触れることが多い背もたれや、机の縁までしっかりと拭いていく。取材中、目に付いたのはその拭き方だ。ゴシゴシとこするのではなく、全員上から下へと一方向に、一気に拭いている。
エバーグリーンの長谷川昌彦氏は「せっかく拭いた箇所も、ウイルスが付着した布で往復するように拭くとまたウイルスがついてしまいます。基本的に一方向に拭くのが我々の原則です」。良かれと思ってゴシゴシとこすってしまっては効果がなくなってしまう可能性があるため、要注意だ。

椅子の座面も一方向に拭いていく
一般家庭でできることは
一般家庭でできることはあるのだろうか。前述の大邑氏と長谷川氏に聞いたところ、以下の道具があれば実践できるそうだ。
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