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新型コロナウイルス対策を柱とし、事業者の支援策などを盛り込んだ第2次補正予算が12日午後、参院本会議で可決、成立した。これにより、最大600万円が支給される「特別家賃支援給付金」が正式に創設されることとなる。

休業中の家賃支払いに苦しむ事業者からは、早期の運用が望まれていた同制度。具体的な申請方法などの正式発表はこれからとなるが、現在判明している内容を改めてまとめた。

自粛は一段落も、倒産企業は増加

11日、東京都は都独自の警報情報「東京アラート」を解除した。小池百合子都知事は同日の会見で「新しいフェーズ、ウィズコロナの局面に来ている」と述べ、休業要請などの緩和の段階を「ステップ3」に進める方針を示した。都では今後、原則としてすべての施設で営業が再開となる見込みだ。

一方、長引いた外出自粛や休業で痛手を負い、事業の継続を断念する企業も増えている。

先月、老舗アパレル企業の「レナウン」が民事再生手続きを開始、また今月8日にはファミレス大手の「ジョイフル」が200店舗の閉店を発表した。帝国データバンクの調査によれば、2019年度、業歴100年以上の老舗企業の休廃業件数が過去最多を更新している。

第二次補正予算案が可決・成立し一礼する安倍晋三首相(参議院インターネット審議中継より引用)

事業者に向け、一刻も早い支援策が求められる中、注目されているのが、家賃の一部を国が給付する「特別家賃支援給付金」だ。

「家賃支援給付金」は、先日楽待新聞でも取り上げた通り、新型コロナの影響で売り上げが大幅に落ち込んだ全国の中小企業・個人に、月額最大100万円(個人は50万円)を6カ月間支給する制度である。以下に、改めて制度の概要を紹介しておく。

家賃支援給付金の上限額。給付額は法人が月額最大100万円、個人が50万円となっている。実際の給付額は直近の家賃支払い額などによって変動(経済産業省の資料を基に編集部が作成)

 

「家賃支援給付金」の給付条件や給付額

<給付条件>
中堅企業、中小企業、小規模事業者、個人事業者等であって、5~12月において以下のいずれかに該当する

(1)いずれか1カ月の売上高が前年同月比で50%以上減少
(2)連続する3カ月の売上高が前年同期比で30%以上減少
※2020年3月までの新規創業事業者や、雑所得・給与所得で申告のフリーランスも対象に含めるよう検討中(経産省、6月15日発表

<給付額>
算出給付額の6カ月分

<算出給付額>
法人:直近の支払家賃75万円まで給付率3分の2、超過部分は例外措置として3分の1
個人事業者:直近の支払家賃37万5000円まで給付率3分の2、超過部分は例外措置として3分の1
※複数店舗を運営する事業者は例外措置が適用され、給付金(月額)の上限が法人100万円、個人事業者50万円となる

正式な発表はまだ行われていないが、経済産業省によれば、申請の受付は早ければ6月中、給付時期は7月以降になる見込みだという。また具体的な申請方法について経済産業省に問い合わせたところ、「現在制度の見直しを行っており、正式な回答はできない」という返答だった。

経産省HPで6月15日に更新された情報によると、持続化給付金と同様、「確定申告書類・減収を証明する書類」などに加え、「不動産の賃貸借契約書(家賃額・契約期間等)、賃料の支払い実績を確認できる通帳の写し・賃料の支払い実績を示す書類(支払明細書、領収書など)が必要となる可能性があると示されている。

正しく家賃に使われるのか

同制度について、多くの不動産オーナーにとっての関心事といえば「どのような形で支払われるのか」という点だろう。「住居確保給付金」のように大家に直接給付される制度ならば安心だが、テナントに給付するとなれば、正しく家賃として支払われない可能性もある。

1棟商業ビルを所有・自主管理しているコラムニストの「じゅんじゅん」さんは、コロナの影響で家賃を滞納していたテナントが「持続化給付金」と「休業要請支援金」総額150万円の支給を受けた。滞納した3カ月分の家賃は無事に支払ってもらえたものの、給付金を「臨時ボーナス」のように喜んでいるテナントに対して違和感も覚えたという。

「このテナントさんは、支援金を受け取ってから急に羽振りが良くなったんです。申込をしたコロナ特別貸付も、『借り入れができたら息子の会社の立ち上げ資金を援助したい』とまで言っていて。もし今後、給付金を使いすぎて家賃が支払えないと言われたら、その時は退去してもらうと決めました」

複数の店舗や従業員を抱えるテナントと異なり、小規模な事業者にとって、給付金で思わぬ大金を手にしたと思ってしまうこともあるだろう。しかし、新型コロナウイルスの影響が長引く可能性もある以上、給付金を慎重に使うことがテナントには求められる。給付金や助成金の活用を案内する際は、家賃として支払うよう、オーナーは気を払う必要がありそうだ。

「家賃支援ならば、大家への直接給付を」

持続化給付金は、文字通り「事業の継続を支援する」ことが目的であり、用途は家賃の支払いには限らない。しかし、今回の家賃支援給付金は話が別だ。個人の大家を持続化給付金の対象に含めるよう、署名活動を行う「持続化給付金を求める全国大家さん連盟」代表の久城一鷹氏はこう話す。

「持続化給付金で4月末までの家賃を補填をしてほしいと言われるが、SNSでは『給付金を頭金にして、新しい事業を始めよう』と気持ちが大きくなっている人も見られる。オーナーの立場からすれば、オーナーに直接給付される形が望ましい」

また久城氏は「一部では申請書類に賃貸借契約書の提出が必要になると報道されているが、それならば大家も持っているのだから、大家が申請する形でもよいのでは」と疑問を投げかける。続けて「悪魔の証明じゃないですが、オーナーは入居者に『給付金は入りましたか』と聞くしかなくて、まだだと言われれば正直それまでです。預金通帳をみせてもらうとかしないと、大家としてどうしようもない」と話す。

久城氏自身も3棟の物件を保有する大家であり、営業不振のテナントには、3カ月分の家賃を減免するなどの対応を行っている。「テナントとは良い関係を築けており、給付金がはいったら家賃は支払ってもらえると思っています。しかし、テナントと関係性がない大家は、給付金が正しく使われるか不安だと思います」(久城氏)

雇用調整助成金の上限額引き上げも

さらに今回、社会経済活動の回復を目指すための対策も強化することが決定した。

雇用調整助成金の抜本的拡充をはじめとする生活支援では、楽待新聞でもたびたび報じてきた「雇用調整助成金」の拡充として、助成金の上限を1日1人8330円から1万5000円に引き上げを行う。さらに、6月末までとしていた緊急対応期間を9月まで延長。新型コロナウイルスとの長期戦に備える形だ。

また、新たに「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金(仮称)」を創設。休業期間中に賃金を受け取れなかった中小企業の労働者に対し、支援金を支給する。雇用調整助成金は事業主が申請、支給対象になるが、休業支援金は、労働者自身が申請、支給されるものである。これにより、雇用を守るための支援が更に手厚くなるだろう。

補正予算で成立された新制度の詳細は、これから各省庁のホームページに更新されていくだろう。オーナー目線で気になる点も多数残される新制度。どのような形となるのかは、続報が待たれる。

(楽待新聞編集部)