東京・水道橋の住宅金融支援機構本店(soraneko / PIXTA)

住宅金融支援機構が提供する低金利の住宅ローン「フラット35」を不動産投資に不正利用していたオーナー約150人が、契約違反として機構から残債の一括返済を求められ、一部が自己破産に追い込まれていることが分かった。オーナーからの相談を受けている加藤博太郎弁護士によると、相談者9人のうちすでに2人が自己破産の申し立て手続き中で、残りもほぼ全員が自己破産を避けられない見通しだという。

オーナーのほとんどは実勢価格を大きく上回る価格で物件を購入しており、競売にかけられたとしても多額の債務が残る状況で、サブリース契約を打ち切られて家賃収入が途絶えているケースも少なくない。加藤弁護士は「購入者は年収の低い若年層も多く、売却後に1000万円近い負債が残れば持ちこたえられない。自己破産者はこれから100人を超える可能性がある」とみている。

自己居住用と偽って投資物件を購入する行為は「なんちゃって」と呼ばれ、業界では古くから横行していた手口だ。今回、調査を進めていくと、業者側が巧みな営業トークで投資家にフラット35のローンを組ませ、さらに二重売買契約や架空のリフォームローン契約などによって組織的に金をむしり取るスキームの実態が浮かび上がってきた。フラット35販売首位のアルヒ(東京都)による審査の甘さも問題視されている。

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