収益物件の購入検討にあたり、重視される指標の1つに「積算評価」がある。積算評価とは、土地と建物の価値を別々に評価し、合算する評価方法。

計算方法としては、「全国地価マップ」などの専用WEBサイトで物件近くの土地1平米あたりの価格を調べ、後述する公式にあてはめるのが一般的だ。しかし、気になる物件を都度このような方法で計算していては、時間がかかりすぎてしまう。

この積算評価を数秒で自動計算できるのが、楽待の「積算価格シミュレーション」機能。掲載物件の積算評価額をわずか3ステップでチェックできるツールだ。この機能は今までPC版にのみ対応していたが、このたび楽待アプリでもできるように。今後はスマートフォンさえあれば、外出先からも簡単に、気になる物件の積算評価額を調べられるようになる。

以降では、積算価格について簡単に振り返りながら、新機能の活用方法を紹介していく。

3分で振り返る積算評価

収益物件の評価方法には大きく分けて「積算評価」と「収益還元評価」の2種類がある。積算評価とは、土地と建物の価値を別々に評価し、足し合わせる方法。一方、収益還元評価とは、その不動産が将来どれぐらい収益を生み出せるのか、収益力をもとに現在の価値を測る方法だ。

金融機関が物件を評価するときは、「積算評価」と「収益還元評価」の両方を用いる場合もあれば、いずれか片方のみを用いる場合もある。ただし金融機関にとっては「投資家が債務不履行になった場合、担保不動産の売却価格がいくらになるか」がポイントになるため、積算評価額の方を借り入れ上限の目安とすることも多い。

一般的に、積算評価額は以下の計算式で求められる。

積算評価額=建物評価額+土地評価額

建物評価額=再調達価格×延床面積×(耐用年数-築年数)÷法定耐用年数
※再調達価格:対象物件を現時点でもう一度新築する場合にかかるとされる金額。建物構造により、1平米あたりの基準単価が定められている(木造・軽量鉄骨造は約15万円/平米、重量鉄骨造は約18万円/平米、鉄筋コンクリート造は約20万円/平米)

土地評価額=路線価×土地面積
※路線価:道路に面する宅地1平米あたりの評価額のこと。国税庁によって定められており、国税庁ホームページ内の「路線価図」や「全国地価マップ」などから調べることができる

計算式からわかるように、建物評価額は築年数が経過することで減少し、法定耐用年数を過ぎればその価値はほとんどゼロとされる。一方、土地は建物のように、築年数の経過で評価額が減少することはない。つまり、物件の販売価格が土地評価額に近いほど、出口の取りやすい物件ということになる。また、販売価格よりも積算評価額が高い場合、金融機関からの担保評価が出やすいのでフルローンを引きやすく、購入しやすい物件と言える。このように、積算評価額を販売価格と比較することで、購入・売却しやすい物件を見つけることもできる。

ここで、物件の資産価値は積算評価だけで決まらないという点に注意しておきたい。例えば都心部などでは、路線価よりも土地の実勢価格が高くなっていることがあるが、人口が多く入居付けしやすいため家賃収入を確保しやすい。このような場合、積算評価は低いものの、今後の収益性を考えて都心の物件購入を検討するという選択肢もあるだろう。

投資家にとっては、その不動産にどれぐらいの価値があるのか客観的に判断するための基準であり、金融機関にとっては不動産の担保価値を算定するための指標でもある積算評価額だが、よほど慣れていない限り、計算には手間を要する。前述の通り、積算評価額を出すには路線価を調べる必要があるためだ。数々の物件情報に目を通し、専用のWEBサイトで路線価を調べ、都度積算評価額を計算するのはそれなりに時間がかかる。

こうした時間を削減するのが「積算価格シミュレーション」。楽待会員なら、掲載物件の積算評価額を数秒で確認できる機能だ。アプリ版では、場所や利用シーンを問わず、スマートフォンから積算評価額をチェックできるように。以降で具体的な使い方を見ていこう。

アプリ版「積算価格シミュレーション」の使い方

積算評価額はアプリ上から3ステップで確認できる。掲載物件の詳細画面から「路線価を調べる」をタップし、表示された周辺路線価の中からシミュレーションに用いるものを選択。すると、建物評価額と土地評価額が自動で計算され、推定の積算評価額が表示される。

物件一覧から気になる物件を選択し、物件詳細画面「路線価を調べる」をタップしてシミュレーションを開始する ※クリックして拡大

路線価を選択するだけで積算価格が算出されるので、初めての人も簡単に利用できるだろう。また、積算評価額のすぐ下に販売価格が表示されるため、販売価格と積算評価額の間にどれだけ乖離があるかをひと目でチェックできる。

画像の例の場合、物件の築年数が法定耐用年数を超えていることから、建物評価額はゼロという結果に。土地評価額がほぼそのまま積算評価額として表示されている。積算評価額894万円というシミュレーション結果に対し、販売価格は2600万円。約1700万円乖離していることがわかる。

積算評価額はこう見る

そもそも融資を引いて物件購入する場合、金融機関は積算評価をどれだけ重視するのだろうか。銀行員として仕事をする傍ら、楽待でコラムを執筆するFP大家さんは次のように話す。

「金融機関にとっては、担保不動産の売却時に損失を出さないことが重要。だから路線価ベースの積算価格で、保守的に物件を評価します。ただ、商業地で建物のボリュームがある収益物件などは、積算価格だと建物の再調達価格が実勢の建築価格に対して低いので、建物にボリュームがあるほど積算割れを起こし、適正な物件評価として機能しません。こういった場合、収益還元評価をすることになります」

FP大家さんは積算価格シミュレーション機能を、物件を検討の土台に上げるかどうか一次評価するためのツールとして活用しているようだ。路線価をベースに土地値を概算してある程度資産性を把握した上で現地調査を実施。現地調査の際には実勢価格も確認する。路線価と実勢価格の差を明確にし、損しない取引を心がけていると言う。

コラムニストの感想は

では、アプリ版の積算価格シミュレーション機能はPC版とどこが違うのだろうか。アパート・戸建て・区分マンションなど幅広く投資を手掛ける楽待コラムニストのジュニアさんに感想を聞いてみた。

「アプリ版は片手で積算評価をチェックできるから楽ですね。PC版を上回る便利さだと思います。隙間時間にシミュレーションができれば、物件の良し悪しを判断して資料請求するまでのスピードが上がるので、非常に助かります。ただ、その分競争も激しくなるので、投資家としては複雑な心境です」

その他今後欲しい機能などについて、ジュニアさんは「路線価を正確に選定してほしい」と話す。物件紹介画面上の住所が町名なのか、番地までなのかによって同じ物件でも表示される路線価や積算シミュレーション結果が大きく変わってくる。経験上わかっていても、ぬか喜びになってしまうことがあると言う。

ジュニアさんはさらに、借地権物件でも積算価格シミュレーションを使えるようにしてほしいとも付け加える。もし借地権割合が出せなければ、積算評価を出さず、路線価を表示させるだけでも十分だと話した。

現時点では、本機能は所有権物件のみ積算価格のシミュレーションが可能だが、今後はこうしたユーザーの要望も踏まえ、改善を進めていく予定だ。

最後になるが、金融機関が物件の担保価値を評価する際は、積算評価のほか立地や土地の形状なども加味される。積算評価が物件の資産価値を正確に示すものではないことに注意してほしい。シミュレーション結果は、物件の検討を進めるかどうか判断するための目安にしてもらえれば幸いだ。

なお、スマートフォンから掲載物件の積算評価額をチェックするには、楽待アプリをインストールし、会員登録する必要がある。まだの方はこの機会に、下記QRコードからアプリをインストールしてほしい。

  

※当社は、積算価格シミュレーションに関し、いかなる保証もいたしません。シミュレーションの結果は、あくまでも目安としてご利用下さい。
※周辺の路線価または想定路線価は、物件所在地から近い地点の相続税路線価、または公示地価・基準地価に0.8を乗じた値を表示しています。シミュレーションに用いる想定路線価のご参考の一助としてご利用頂くために表示しているもので、物件所在地の実際の相続税路線価を示したものではありません。
※区分マンションなど、一部の物件では積算価格シミュレーションは利用できません。

(楽待広報部)