収益物件は、できるだけ安く買いたいものだ。だが、安い物件には問題がつきもの。「残置物」が大量に残されている、というのもそのうちの1つだろう。

千葉県を中心に戸建てを8戸所有する不動産投資家・エリックさんが7月、5万円で買ったのもそんな物件だった。残置物どころか、自分の背丈を超えるほどにゴミが積まれているのが物件の外からでも見てとれる「ゴミ屋敷」。そのゴミ屋敷物件を自分たちの手で片付けることにしたと聞き、その模様に密着させてもらった。

 

 

5万円で買った物件は、玄関からゴミの山

千葉県某所にある築約35年で、約50平米という平屋。この物件を買った不動産投資家のエリックさんは、「ネット上に掲載されていたのですが、『土地』として50万円で売られていたものを指値して、建物ごと5万円で購入しました」と話す。汲み取り式トイレであるなどのデメリットはあるものの、駅から徒歩数分で、かつ小学校も近い好立地ということもあり、「スペックはなかなか悪くないと思いました」。

エリックさんが今回購入した平屋物件。正面の窓から、ゴミが積まれている様子がうかがえる

だが、ライバルが現れることもなく、その安さで買えたのにはもちろん理由がある。この物件、近所でも有名な「ゴミ屋敷」だったのだ。居住者はすでにいない空き家だが、ゴミに阻まれて中を見ることができなかったため、そのまま決済を迎えたというエリックさん。無事に引き渡しを終えたその日、物件に初めて足を踏み入れることに。

「ゴミ屋敷だということはわかっていたけど…これはヤバい」

入口をふさいでいたベニヤ板をインパクトドライバーを使って外すと、そこにあったのはゴミの山だった。まずこのゴミを片付けなければ、物件に入ることもままならないようだ。

玄関に積まれたゴミの山で、室内にも入れない

売り主は「相続財産管理人」

近所に住む人の話によると、この物件の前の居住者は、60代くらいの男性。1人暮らしだったが、数年前に交通事故で亡くなったという。その前からゴミ屋敷状態が続いていたというが、近隣住民が何を言っても状況は改善しなかった。そのうち、建物からゴミがあふれて道路の真ん中あたりまで散乱するようになったため、近隣住民がベニヤ板で入り口をふさいだのだそうだ。

男性に身寄りがなかったのか、あるいは相続人が相続放棄をしてしまったのか、この物件は男性の死後、「相続財産管理人」として選定された弁護士が処分を請け負うことに。弁護士が売却先を探していたところ、エリックさんが5万円で購入したという流れだ。

なお、相続財産管理人が物件を売却する際には、その取引が適正であるかどうかを確認するため、家庭裁判所の許可が必要となる。エリックさんも、購入を決めてから家庭裁判所の許可を得るまで、2週間ほど待たされたと話す。結局は、ゴミ屋敷であることや、長期間買い手が見つからなかったことも考慮されたのか、無事に5万円で購入することができた。

大量の楽器に空き缶、五月人形…日本刀も発見

今回、エリックさんは友人らに手伝ってもらい、ゴミ屋敷を片付けていくという。ビニール手袋や防塵マスクなどを身に着けると、物件に入ってゴミをかきだしていくチームと、自治体のルールに則って分別するチームに分かれて、作業を開始した。

ゴミの中でも多かったのは、アルコール類の空き缶や空き瓶。大量の古いレコードのほか、ギターやアンプもいくつも見つかり、ドラムセットも出てきた。作業を見ていた近所の人が、「(前の住人は)昔バンドマンだったという話を聞いた」と教えてくれた。ベビーバスや五月人形などもあったが、長いこと放置されたためか、人形の首は取れてしまっていた。

室内からはギターが少なくとも7本以上見つかった

首の取れてしまった人形に、片付けを手伝っていた女性からは悲鳴も

作業開始から少し経った時、真贋はわからないものの、日本刀が見つかった。捨てるわけにもいかず、いったんゴミとは別の場所へよけておく。後日、警察に届けたそうだ。エリックさんは「真贋問わず、刀類は警察に届ける必要があるそうです。事前に交番に『警察に届け出るために持ち歩く場合は、銃刀法違反にならない』とは聞いていましたが、ちょっとびくびくしながら警察署に持ち込みました」と話した。

発見された日本刀。鑑定にもお金がかかるため、警察に届けた