PHOTO:jan.SU./PIXTA

不動産オーナーが消費税還付を受ける方法として知られていた、金地金売買によるスキーム。しかし、それも2020年度の税制改正で封じられることが決まった。今後は不動産のオーナーが消費税の課税事業者になることは減っていきそうだ。

ところが、消費税還付スキームを使わない場合でも、「いつの間にか課税事業者になっており、納付の義務が生じるケースもあり得る」と税理士の大野晃男氏は指摘する。場合によっては数百万円の納税義務が課せられることもあるというが、どのような場合にこうした事態が想定されるのか。大野氏に解説してもらった。

大家さんが「課税事業者」になるケース

こんにちは。税理士の大野晃男です。

アパートやマンションなどの大家さんは通常、消費税の免税事業者であることは、以前の記事でも解説してきました。大家さんが住宅から得ている家賃は、社会政策上の理由から消費税が非課税になっており、「課税売上」がほとんどないためです。

課税事業者であれば、消費者から受け取った消費税を税務署に納めなければなりませんが、大家さんは消費税を受け取っていませんから、売上げ(家賃)の中から消費税を納める必要もありません。これについては、こちらの記事で詳しく説明しているので読み返してみてください。

では、大家さんは絶対に「課税事業者」になることはないのでしょうか? ここで一度、大家さんが課税事業者になる条件を確認しておきましょう。次の3つのいずれかに該当した場合です。

会員限定記事です

この記事の続きを読むには、会員登録が必要です
会員登録(無料) ログインする