賃貸経営をしていれば、入居者が家賃滞納を長期間繰り返すなどして、賃貸借契約の解除を求めざるを得ないケースに出くわすこともあるでしょう。
しかし、退去を求める=建物の明け渡しを求めるとき、どのような段階を踏んで入居者に退去してもらうのでしょうか。阿部栄一郎弁護士が建物の明け渡しまでのフローや注意すべきポイントを解説します。
「建物の明け渡し」は、金銭損得を判断軸に
不動産オーナーが「建物の明け渡し」を考えるのは、多くの場合、家賃の滞納が続いたときだと思われます。つまり、入居者が家賃を滞納し続けているから、「出ていってほしい」ということです。
最近では保証会社を利用していることも多く、家賃滞納がすぐさまオーナーの減収につながらないこともあります。しかし、家賃滞納は不動産オーナーにとって大きなリスクです。
仮に、こうした入居者を相手に訴訟を提起して判決を得て、強制執行に至っても、思っている以上に時間がかかります。その間、物件は収益を生み出しません。状況によっては、早期に元賃借人に退去してもらうために、未払い賃料や原状回復費用を免除したり、逆に引っ越し代を支払ったりという場面も出てきます。
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