物件を購入する際、不動産会社の担当者から物件に関するさまざまな説明を受けるだろう。この説明、どのような内容をどの程度までする必要があるのか、ご存じだろうか?
損害を受けた時に「説明を受けていなかった」と主張しても、認められないケースもある。今回は、阿部栄一郎弁護士が不動産会社が負う「説明義務」「調査義務」の内容と、その範囲について解説する。
改めて確認しよう、「仲介契約」とはどんな契約か
今回は仲介業者がどのような説明義務・調査義務を負っているのか説明していきます。
最初に、仲介業者と契約する仲介契約(媒介契約)は、法的にはどのような性質を持っているのでしょうか。
最高裁の判例上、仲介契約は「準委任契約」であると判断されています(最高裁第一小法廷昭和44年6月26日判決)。
準委任契約とは、特定の業務を相手に依頼し、相手がその業務を遂行することを目的とした契約の形のことをいいます。例えば、病院や医師(受任者)と患者(委任者)との間の診療も準委任契約です。
この時、委任を受ける受任者にある程度の裁量があり、
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