こんにちは、石原博光です。

早いもので、2020年ももう終わろうとしています。今回のコラムでは、今年の動きを振り返っていきたいと思います。

今年は社会的、経済的には大きな変動のあった年です。新型コロナウイルスの猛威が一番影響を及ぼしたのは、旅館業をはじめとするサービス業ではないでしょうか。都内に所有し、以前自宅兼事務所として使用していた建物は、2018年からミニホテルとして運営法人に一括で貸し出していたのですが、コロナショックのあおりを受け、今年の年末で撤退することになってしまいました。

撤退の後押しとなったのは「Go To」キャンペーンだそうです。規模が小さいそのホテルはキャンペーン対象になることができず、そうなればキャンペーン対象のホテルにほとんどのお客さんをとられてしまうので、つぶれるしかありません。1月以降は通常の賃貸物件として貸し出す予定で準備を進めていますが、これまでホテルが順調に運営できていたようなだけに、非常に残念です。

客付けをスムーズに行うための姿勢

一方で、通常の賃貸物件へのコロナの影響はそれほど大きくはありませんでした。僕は北関東に2棟のマンションを所有していますが、客付けのスピードが例年よりも若干遅かったという印象がある程度です。ただ、管理会社に話を聞くと、やはり退去が続出し、入居が決まらない物件もあるようです。

僕は客付けをスムーズに行うため、基本的には何に対しても「いいですよ」と言うようにしています。「フリーレントをつけたい」「入居前に先に鍵だけ預かりたい」「家賃を少し下げたい」…。入居希望者の要望を受けて、仲介会社から相談されたら、僕は基本的には「いいですよ」とOKを出すようにしているのです。

また、「どうせやるなら1日でも早く」が僕の考え方なので、不具合があれば即座に直したり、レスポンスも迅速に行ったりということは心掛けています。地味ではありますが、こうした積み重ねを不動産会社にも評価してもらっているようで、「やりやすい」「安心して取引しやすい」と言っていただけています。

リフォームも「神は細部に宿る」の精神で

また今年は、リフォームに手を抜かずにお金を費やしました。特に大規模リフォームは先送りにしてしまいたくなりがちですが、僕はその時期が来たと思えば確実にきっちりリフォームを行います。室内も、しっかりやると各世帯で120万~130万円くらいはかかってしまうのですが、のちのち収入をもたらしてくれるので、貯金だと思ってリフォームをしています。

床は全て張り替え。天井も、今までは少しごまかしている部分もありましたが、最近はお金をかけて新しくするようにしていて、部屋全体で統一感を出すように心がけています。

リフォームをした部屋

リフォームをした部屋。白で統一させるようにしている

また、押し入れの中も塗装をするなど、細かい部分にも気を配るようにしています。細かい箇所は、オーナーが指示をしないとやってくれない業者も多いです。

しかし、「神は細部に宿る」という考え方は物件でも同じだと思い、スイッチ本体を新しくしてほしいなど、最近は細かく指示をするようにしています。リフォーム時には、業者の提案をただ飲むのではなく、オーナーが主導権を握りつつ、一緒に考えていくようにすべきだと感じています。

職人との付き合い方も変わった

その一方で、業者・職人さんとは気持ちの良いお付き合いができるように心がけています。お金はすぐに振り込みますし、あるいは端数のお金を先方が小さく丸めてくれたら、逆に大きく丸めて振り込むことも多いです。その際は、わざわざ伝えるのも嫌らしい感じがしてしまうのですが、念のため「振り込んだ金額は間違いではないですよ」とお伝えはしています。

皆さん喜んでくれますし、いざという時に優先して対応してくれるような関係性を築けていると思います。

昔は、正直に言うとそれこそ「少しでも安くなれば」というスタンスだったこともあります。僕自身のことばかりを考えすぎていた時代もあるので、その頃お付き合いのあった方にはご迷惑をおかけしたと反省しています。

年を重ねて、不動産投資歴も長くなったからこそ、どういうお付き合いをしていくべきか、改めて考えるようになりました。

立ち退き訴訟禁止…家賃もらえず、最悪刑務所行きも!?

ここまで日本の不動産投資の話をしてきましたが、今僕が住む米国の話もしておきます。米国で賃貸中の戸建て5つのうち、契約終了による退去が1つあったのみで、コロナの影響はほとんどありませんでした。退去のあった物件も、家賃を上げて入居が決まっています。

ところが、ロサンゼルスにいる投資家の友人に話を聞くと、大都市ではコロナの影響をもろに受けているようです。

小売店や飲食店などが閉店するケースが相次いでいますが、そこで働いていた人たちは収入がなくなるので、家賃を支払うことができません。

しかし、カリフォルニア州では来年の1月まで、コロナが原因で起こった家賃滞納による立ち退き訴訟(イビクション訴訟)は禁止。万が一、それでも大家さんが退去の依頼や交渉などを行うと、最悪刑務所に入れられてしまう危険性もあるそうです。家賃ももらえず、出ていってもらうこともできず、困っている大家さんは多いと思います。

こうした大都市から、安価な家賃を求めて、僕が物件を所有するベーカーズフィールドのような郊外の街に流れてくる人は多いです。大都市と郊外では、コロナが及ぼす影響がこんなにも異なるんだと実感しています。そして、基幹産業がしっかりとしている郊外の街の安定性をより感じています。

不動産投資は「自分自身」との戦い

ここまでお話してきた通り、僕自身の投資という点で言えば、増やすことも減らすこともしなかった年となりました。僕は、攻め続けるだけが投資ではないと考えています。

買い続けていると、買わないと不安になってしまうこともあるでしょう。最初は1棟買うだけでも不安になっていたのに、いつのまにか競争のようになってしまっている、という話も耳にします。もちろん、購入できる人はどんどん買い進めていくのも良いですし、無駄に守りに入る必要もありません。

ですが、自身の財政的に今はその時期ではないのに、無理に拡大していく必要もないのです。不動産投資では、人と比べる必要も、焦る必要もないと思います。人は人で、自分自身が納得して、満足する方法で良い。

不動産投資は、誰かとの戦いではなくて、自分自身との戦いですね。僕自身は、細く長くやっていきたいと考えています。

おまけ・石原さんのアメリカこぼれ話

今年もわずかとなりました。例年ですと、博物館の歴史的建造物をクリスマスタウンとして光らせたり、動物園では夜行汽車を走らせたりと、壮大なスケールのイルミネーションイベントがあります。

以前のクリスマスの様子

僕たち家族もいつも楽しみにしていたのですが、今年は博物館のイベントが中止となり、動物園では規模を縮小した専用道を車で通り過ぎるだけという寂しいものとなっています。

報道によると、家にこもる人たちが、せめてモミの木の香りを楽しもうとしているらしく、ツリー用の生木がたくさん売れているそうです。最後まで異例づくしの思い出深い1年となりました。

さて、これで今年最後のコラムとなりましたが、ご覧いただき、たくさんのコメントも本当にありがとうございました! 不肖、楽待特派員として(笑)、地球の裏側から少しでも不動産にまつわる驚きや発見などお届けすることができたのでしたら嬉しく思います。

来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。皆様にとって、より良い未来を築かれますことを祈念いたします!

(石原博光)