不動産投資歴20年の不動産投資家「テリー隊長」全面協力のもと、「初心者が必ず知っておきたいシミュレーションのすべて」をテーマに基礎知識を学んでいくこの連載。
第2話となる今回は、シミュレーションを行う上で大切になる「会計」と「キャッシュフロー」の違いを理解する。
<登場人物紹介>
テリーさん
50代半ばの不動産投資家。IT企業A社の元社員。20年前に不動産投資を始めた。50歳で会社を早期退社し、不動産賃貸経営を行いながら、悠々自適の生活を送っている。
楽太君
30歳のサラリーマン。A社に勤務し、以前テリーさんの下で働いていた。素直で好奇心旺盛な性格。将来になんとなく不安を覚えて、不動産投資に興味を持ち始めた。数字は少し苦手。
◇
(第1話から続く)
不動産投資に興味を持ち始めたサラリーマン・楽太。前回、不動産会社から紹介を受けている物件について、会社の大先輩で不動産投資家のテリーさんに相談したところ、自分の無知さを指摘されてしまう。
テリーさんは「『会計』と『お財布』は別物」と楽太に話し、不動産投資における「儲け」の考え方について、講義を始めるのだった。
会計と財布の違いとは?
「さて楽太君。昔から『勘定合って、銭足らず』ということが起こる、と話したけど、この意味はわかったかな?」
「全然わからないですよ。頭がもやもやします。なんで計算は合っているのに、お金が足りないなんてことが起こるんですか?」
「きっと君は『勘定』と『銭』の違いがわかっていないんだと思うよ。『勘定』は帳簿(会計)上の『儲け・利益』のことを指しているんだ」
「…?」
「そして、『銭』は実際のお金、君のお財布の中に入っているリアルなお金のことだと思ってもらえばいいんだけど…」
(今、僕のお財布、3000円くらいしか入ってないぞ…)
「…詳しいことは後から説明することにしよう。まずは、『会計上のお金』(勘定)と『お財布のお金』(銭)は似ているようで違うものだということを覚えておいてほしい」
「会計とお財布は違う、と」
「その通り。ざっくり言えば、それぞれ同じ『収入(売り上げ)』からそれぞれ支出項目を引いていくことで求められるんだけど、その引いていく項目が異なるんだ」
「なるほど?」
「さらに、この計算には大きく税金がかかわってくる、ということも覚えておいてね」
「うーん。まだよくわからないけど、とりあえず税金が関係していて、会計と財布が違うということはわかりました!」
「今はそれでいいよ。じゃあ、1つ問題だ。君のサラリーマンとしてのお給料。ここから毎月『所得税』が引かれていることは知っていると思うけど、この額はどのように決まっているでしょう?」
「えっ、いきなりだなあ…。所得税ですか? えーと、毎月の給与明細から引かれていることは知ってたけど、どういう風に計算されているかなんて知らないですよ」
「その考え方は、これから不動産投資をしようという人にしては大問題だなあ。給与も不動産も、所得税の計算は基本的には同じだからね。シミュレーションでも、所得税の計算は必ず行わないと」
「へえ~」
「へえ~じゃないよ。まずは、所得税の計算方法から教えよう。これがなんとなく理解できれば、『会計』と『お財布』の違いもわかりやすくなる。…君の苦手な算数が出てくるけど、逃げない約束だよね?」
「うっ、頑張ります…」
サラリーマンの場合、所得税は以下のように計算されます。図に示しましょう。
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