不動産投資歴20年の不動産投資家「テリー隊長」全面協力のもと、「初心者が必ず知っておきたいシミュレーションのすべて」をテーマに基礎知識を学んでいくこの連載。

第3話となる今回は、不動産投資における「収入」と「経費」を正しく理解し、それをもとに2つのステップで実際のシミュレーションの手順を学ぶ。

<登場人物紹介>

 テリーさん
50代半ばの不動産投資家。IT企業A社の元社員。20年前に不動産投資を始めた。50歳で会社を早期退社し、不動産賃貸経営を行いながら、悠々自適の生活を送っている。

 楽太君
30歳のサラリーマン。A社に勤務し、以前テリーさんの下で働いていた。素直で好奇心旺盛な性格。将来になんとなく不安を覚えて、不動産投資に興味を持ち始めた。数字は少し苦手。

第2話から続く)

不動産投資に興味を持ち始めたものの、どうにも知識が乏しいサラリーマン・楽太。そこで、会社の大先輩で、不動産投資家のテリーさんに教えを請いながら、不動産投資で失敗をしないためのシミュレーションを学ぶことになった。

前回、テリーさんに「税務会計上の儲けを算出する所得計算と、最終的な手残りを求めるキャッシュフロー計算」の違いを教わり、少しずつは理解してきたが、まだちょっと頼りないようで…。 

アメリカに○○がないのはナゼ?


「前回は、会計とお財布について話したね」

 


「はい。それで、最後にテリーさんが謎のアメリカクイズを出してきました」


「クイズの答え合わせから始めるよ。源泉徴収、年末調整、確定申告のうち、アメリカでも行われているのはどれでしょうか?」

 


「わかんなかったんで、ネットで調べちゃいました。アメリカも源泉徴収はあるけど、会社が年末調整をしないので、サラリーマン全員が確定申告をしなくてはいけないんですね」

 


「その通り。アメリカの確定申告は、Tax Returnといって、アメリカで働いている人全員がやる一大イベントなんだ」

 


「なんでアメリカの会社は、年末調整をしないんですか?」

 


「アメリカの税金は州ごとに大きく違うから、まとめてやるには会社の負担が大きすぎる。逆に日本の場合、税金の仕組みは国で統一されているから、年末調整も可能なんだ」

 


「なるほど、日本は便利でいいですね」

 


「まあ、確定申告で税金の知識も学べるし、税負担に対する意識も高まって、社会的にはいいことも多いんだけどね」

 


「確かに、ただのサラリーマンだと税金をそこまで意識することはないです」

 


「所得の控除が減ったりしているんだけど、知らない人も多いからね」

不動産の「収入」と「経費」


「さて楽太君、この前は『会計(所得)とお財布(キャッシュフロー)は別のもの』という話をしたけど、まだ覚えてる?」

 


「えっと、所得は税金を計算するバーチャルな儲け、キャッシュフローは実際に出入りした結果のリアルな儲け、ですよね?」

 


「うんうん。所得を求めれば、それに税率をかけて所得税が出せるんだったね。では、不動産所得を求めるのに必要な不動産の『収入』と『経費』には、どんなものがあるでしょう?」

 

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