「将来のために不動産投資を始めたいけど、私の年収でどんな物件を買ったらいいの?」「どのようにリフォームすれば、家賃アップできるの?」「低い金利で融資を受けるコツが知りたい!」
――このように、不動産投資を行っていくと、さまざまな悩みが出てきませんか? そんな悩みを持つ方に、『まずはアパート一棟、買いなさい!』の著者で、不動産投資家の石原博光さんがアドバイスを送る企画が帰ってきました!
不動産投資歴20年、現在アメリカに住みながら、日本に43世帯、アメリカに6世帯の物件を保有する石原さん。これまで数々の経験をされてきた石原さんが、不動産投資の悩みにアドバイスを送ります。
今回の相談者は、千葉県在住のミッフィーさんです。2年前、都内に1億3000万円の費用をかけて1棟マンションを建設。建設会社の倒産や入居者の家賃滞納などに悩まされながらも、現在は満室経営で自主管理を行っています。
「2棟目の物件へ」と思った矢先に…
ミッフィーさん
物件を購入したのち、消費税還付に関する話を知りました。「数百万円が手元に戻ってくるならぜひやりたい!」と思って、税理士と相談して手続きを行いました。
石原さん
消費税還付ですね。税制改正により、現在居住用物件ではこの手法は使えません。一般的に消費税還付を受けた場合、税制上の縛りの関係で3年間は新しい物件が買いにくくなると言われていますよ。ミッフィーさんは現在、1棟目の物件を購入した法人では、3年間物件の買い増しがしにくい状況にあるということですね。
ミッフィーさん
詳しく知らずに申請してしまったんです。でも、できれば大きい物件を3棟くらい所有して、規模を拡大していきたいと思っています。
石原さん
そうなんですね。大きい物件を今後も購入していきたいと。
ミッフィーさん
せっかく不動産投資をやっているので、見える形でキャッシュが欲しいなと思っています。3年間何もできないのはもったいなくて。石原さんのご意見を聞きたいです。
石原博光流アドバイス
石原さん
3年間、現在の満室経営をできるだけ維持させて、良い決算書を作っていく。ミッフィーさんの場合は、自己資金を貯めながら、情報収集の期間に充てるのがいいと思います。
ミッフィーさん
3年間は物件の買い増しを我慢したほうがいいと。
石原さん
どうしても買いたい物件があるということあれば、新しい法人を設立して、買いたいと思う物件にチャレンジするというのも1つのやり方かなと思いました。
ミッフィーさん
複数の法人を作ることは問題ないのでしょうか?
石原さん
よく言われているのが、「多法人スキーム」と呼ばれるものですよね。法人をたくさん持っているからよくない、危ないというわけではないです。勘違いしている方もいると思うんですが、あくまでもほかの法人で物件を所有して借金を背負っていることを隠しながら、別法人で融資を受けようとすることが問題だ、ということです。別法人の情報を金融機関にきちんと開示しながら融資を受けることは問題ではありません。
ミッフィーさん
そうなんですね。ちょっと勘違いしていました。
石原さん
物件を買い増すために別法人を設立して、金融機関を開拓することは問題ないですが、もちろんリスクはあります。法人の新設や維持にはお金がかかりますし、必ずしも融資が通るわけではありません。リスクも知った上で物件を買いたいのであれば、別法人を作ることも1つの手段かなと思いました。
金融機関開拓で、時間の有効活用を
ミッフィーさん
物件の買い増しがしにくい状況でも、金融機関の開拓はコツコツと進めていったほうがいいのでしょうか?
石原さん
そうですね。今後大きい物件を2~3棟購入したというのであれば、金融機関の開拓に時間を充てるというのは良い案だと思います。ご自身の属性や1棟目を満室経営にするまでの努力などを丁寧に伝えて、次回融資をしてもらえる金融機関を探すというのは、時間を有効活用できておすすめです。
融資を受けて不動産投資を行うやり方には大きく2通りあると思います。1つは、既に関係性のできた金融機関があったうえで、その金融機関に融資を出してもらえるような物件を探す方法です。ミッフィーさんが行っているやり方で、王道のやり方だと思います。
ミッフィーさん
なるほど。一般的なやり方なんですね。
石原さん
一方、私のやり方は、想定利回りが高い築古や地方の物件を先に見つけ、その物件に対して融資を出してもらえる金融機関を探す方法です。かなり力技に近いですね。
サラリーマンをしている方は不動産投資に費やせる時間が多くないと思います。まずは金融機関で、自分の属性で融資が通る物件がどのような物件なのかを押さえる。それから条件に合った物件を探すことが定石だと思います。
ミッフィーさん
私の場合は、先に金融機関を開拓するほうがいいということですね。
石原さん
ミッフィーさんの場合は世帯年収が高く、金融機関が融資をしたいと思える属性の方なので、積極的に金融機関の開拓を行っていくと良いと思いますよ。
石原さん
また、海外の物件を購入することも1つの方法だと思います。
ミッフィーさん
海外の物件良いですね! おすすめの国はどちらでしょうか?
石原さん
私がアメリカのカリフォルニア州で投資を行っているので、そこの情報しかわからないのですが、カリフォルニア州は良いですよ。常に新築物件の供給が足りない状態なので、不動産価格は年々上昇しています。私が投資した物件も価格が倍近くになっています。
ミッフィーさん
それは興味深いですね。いつか海外移住もしたいと考えていたので、検討してみます。
築古物件はホームインスペクションの検討も
ミッフィーさん
もう1つ質問があります。今、2棟目の物件として築49年の鉄骨造の物件を検討しています。ただ、かなり築年数が経過している点が不安で、どうしたらいいでしょうか?
石原さん
もし心配な場合は、ホームインスペクションという「住宅のお医者さん」のような専門業者に調査を依頼するのが良いと思います。住宅に精通したホームインスペクターの方が、第3者の立場から、住宅の劣化状況や欠陥の有無、改修すべき箇所とおおよその費用を診断してもらえます。
鉄骨造は躯体が錆びていたら危ないですので、物件自体に問題がないか、専門家に見極めてもらうことも必要かなと思います。
相談を振り返って
不動産投資を進めていくうえでは、まずゴールを明確にすることが大事だと思います。ミッフィーさんは将来的に、大きい物件を3棟ほど欲しいとおっしゃっていましたので、3年間は決算書の内容を良くすることに注力し、蓄えた資金で新たな物件を買い進めていくといいのかなと思います。もちろん正解はありませんので、ゴールを明確にし、そこから逆算して、ご自身に合った方法を組み立てていくことをおすすめしたいですね。
◇
「今日いただいたアドバイスをもとに、さっそく来週から金融機関の開拓などを実践していきたい」と前向きに話すミッフィーさん。3年間は物件の買い増しがしにくいながらも、時間を無駄にしないようできることをやっていこうと奮起している様子でした。
「石原博光のお悩み相談室」では、不動産投資に関する悩みをお持ちの方を募集しています。家賃アップの方法や管理会社の選定方法など、具体的にアドバイスします。悩みや疑問を解決しませんか?
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(楽待新聞編集部)
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