PHOTO: アオサン/PIXTA

貸している物件の中で入居者が亡くなった時、その入居者の残置物をどのように処理するか、ということは大家にとっての悩みの1つです。こうした問題を受けて、先日国土交通省が、「残置物の処理等に関するモデル契約条項案」を発表しました。

これは、特に高齢単身者を念頭に、入居者が死亡した際、賃貸借契約の解除や残置物処理を円滑に進めるための契約を普及させることで、オーナーの不安を払しょくすることが狙いとなっています。

今回は、このモデル契約条項案について、概要を解説したいと思います。オーナー側もこうした動きを知っておくことは、非常に重要です。残置物処理といっても、入居者死亡時の賃貸借契約解除などにも話が及んでいますので、ご参考ください。

モデル契約条項案とは? どうして作るの?

例えば不動産オーナーの中には、単身高齢者への賃貸物件の賃貸に躊躇したり、断ったりした経験がある人もいるでしょう。

単身高齢者との賃貸借契約の場合、ほかの入居者に比べて、もし賃貸物件の中で孤独死してしまったらどうしようという不安がよぎりやすいと思います。入居者が孤独死した場合に備えて、いわゆる孤独死保険という保険商品も販売されているものの、孤独死保険の対象は基本的に原状回復費用(特殊清掃費用、消毒費用など)です。

それに対し、入居者の死後は、その残置物は入居者の相続人の財産となるため、賃貸人である不動産オーナーが勝手に処分するわけにはいきません。

もし相続人がいなくても、相続財産管理人と呼ばれる人が裁判所によって選任され、その管理人が残置物を管理します。入居者が天涯孤独の身の上であるような場合でも、法律上は、オーナーが勝手に残置物を処分することはできないのです。

そこで、残置物に関する契約をどうするかが問題となります。

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