不動産投資向けの融資が厳しい状況が続く中、賃貸経営に興味のある初心者が、参入しやすい別の事業を始めるケースが目立つ。「グループホーム投資」もその1つだ。実際にグループホームを17棟所有する投資家は「国の認可事業で、収益が安定しているし、融資も引きやすい。初心者こそ参入しやすく、その上、社会的貢献もできる」とそのメリットを強調する。

だが、グループホーム運営にあたって、専門的知識は必要にならないのだろうか。本当に収益は安定しているのだろうか。自身でも複数のグループホームを運営しつつ、開業・運営支援を行っているという「一般社団法人福祉事業相談センター」の西川・大堀両理事に、グループホーム投資のメリットや実際の収益、そして運営にあたっての注意点を聞いた。

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「グループホーム投資」とは

「グループホーム」と言っても、実はその形態には2種類ある。認知症高齢者などを対象とした介護事業としてのグループホームと、軽度の精神障害(うつ病、適応障害など)者や知的障害者を対象に、社会復帰を目指すための福祉事業としてのグループホームである。一般社団法人福祉事業相談センターが取り扱っているのは、後者。軽度の精神・知的障害者の方を対象とした福祉事業のグループホームだ。

同センターで理事を務める大堀氏は、自身でも7棟のグループホームを所有。同じく理事の西川氏は、17棟ものグループホームを運営している。「17棟といっても、1棟あたりお住まいになっている入居者さんは4、5人ほどですから、そんなに大きな規模ではありません」と西川氏は話す。

グループホームと聞くと、大規模なRC造などの物件が必要になるようなイメージもあるが、「実際に稼働しているグループホームは、木造のアパートもあれば、戸建て物件もあります」と大堀氏。

実際に運用しているグループホーム

「普通に人が住める物件であれば、グループホームとして問題なく運営できる可能性はあります。『入居がつきにくくなったアパートの空室をグループホームにできるか』と相談いただくケースもありますが、こちらも問題ありません」。アパートの場合は、一棟まるごとグループホームにするのではなく、空室だけを提供することも可能なのだという。

収益の柱は国からの「自立支援給付金」

グループホームの運営が賃貸経営と大きく異なるのは、運営者の収益が入居者から徴収する入居費ではなく、国からの給付金であるという点だ。「自立支援給付金」として、毎月一定額が支払われる。

一方、グループホームの運営となると、部屋を貸すというサービスだけでは済まない。入居者のケアも必要になってくる。こうしたケアを担うため、「サービス管理責任者」の資格を所有するスタッフを必ず配置しなくてはならないという。

また、大堀氏は「グループホームの入居者は主に軽度の精神障害者で、自立まであと一歩という方たちばかり。ですが、食事作りや掃除などの日常生活への支援、買い物などの手伝いなどは必要です」とこうした作業を行う「世話役」のスタッフも雇い入れる(あるいはオーナー自身が担う)必要があると話す。

こうした人件費を含め、運営における支出はどの程度なのだろうか。西川氏によれば、前述の有資格者の人件費として月に約25万円、世話役のスタッフの人件費で月に約39万円がかかるという。一方、そのほかにかかる入居者の食費や光熱費は、入居者が支払う「入居費」で賄われる。なお、この入居費には、物件の修繕費などを含めて設定することができる。

入居者「4人」で黒字化

このように、グループホームを運営する場合、入居者からの入居費は実費扱いであり、収益を上げてはならないという決まりだ。だが、前述の通り、これとは別に国からの給付金が毎月支払われる。これが収益の柱となっている。4人の入居者がいるグループホームの場合、月に約65万~70万円が支払われるのだという。

「つまり、グループホーム1棟あたり4人の入居者を確保できれば、人件費分を差し引いて、単月での黒字化が可能という計算になります。その上、有資格スタッフは、1人につき30人の入居者まで対応可能というルールです。2棟目、3棟目では世話役のスタッフの人件費だけを支払えばよいということになり、規模を拡大することで収益をより増やすことができるのです」(西川氏)

実際、7棟を所有する大堀氏は、1カ月あたり入居費を除いて約630万円の売り上げがあり、人件費などを支払った後の手残りは、約230万円。17棟を運営する西川氏は、入居費を除く月の売り上げが約1500万円。手残りは、現在スタッフ研修に力を入れていることから、500万円ほどになっているという。

また、西川氏が所有する中には、「80万円で購入した築古物件を100万円で修繕、1人あたり月12万円の入居費を得ているケースもある」そうだ。ちなみにこのグループホームは、現在「900万円で買いたい」という人も現れていると話す。

「国の認可を受けたグループホーム物件であり、しかも入居者が付いている法人物件となりますので、すぐに黒字化ができ、買い手が付きやすい」(西川氏)と、出口にも問題がないという。

国の認可事業であるメリット

こうしてみると、確かにグループホーム投資の収益的なメリットは大きいように思える。だが、誰しもが参入できるわけではない。グループホームを開業するにあたっては、法人を立ち上げた上で、グループホーム向けに消防設備や共用の家具などを整え、国の認可を得なくてはならない。物件の購入費用以外にも、設備の導入には約100万円がかかってしまう上、法人設立、書類の提出なども必要になってくるのだ。

グループホームの内部

だが、国の認可事業であるからこそのメリットも大きいと大堀氏は語る。

「国が認可をするということは、過度な供給状態にはならないということです。国からの給付金が収入ですから、安定性もあります。通常の賃貸経営に比べて黒字化もしやすいので、継続性も高いと考えています」

また、金融機関から融資を引く場合でも、国の推進する事業であることから高い評価を得やすいと西川氏は話す。さらに各エリアのグループホームの供給数は調べることが可能で、そのエリア内の知的・精神障害者の数も人口から推計することができるため、「金融機関に対して、説得力を持って需要のある事業だと示すことができる」という。

需要の高さも魅力

実際、障害者向けのグループホームの需要は高いと2人は話す。「最近は、うつ病や適応障害を患う方が増えており、年間40万人ずつ増えています」(大堀氏)。内閣府の最新の「障害者白書」によれば、現在の精神障害者は約419万人だ。

「そのうち入院している人が約30万人で、それ以外の外来患者と呼ばれる方が389万人います。この外来患者のうち、9割の方が社会復帰を目指していると考えられています。知的障害のある方も含めて、こうした方々の復帰の足がかりとなるグループホームが今、求められているのです」(大堀氏)

2、3年前に比べるとグループホームの数自体は増えてきたが、それでも今なお入居者はすぐ見つかるような状況だと話す両氏。入居付けの際は、地域の社会福祉協議会などに出向いて関係性を構築し、協議会の担当者から紹介してもらうケースが多いという。

グループホーム投資を実践している大堀氏(同氏提供)

「初心者こそ参入しやすい」

融資がつきやすく、需要が高く、収入も安定しているなどのメリットから、西川氏は「初めて不動産投資をする人こそ、グループホームの運営に参入しやすいのでは」と語る。

「すでに不動産投資をしている方はいろいろとリスクヘッジができますが、初めての不動産投資となると『どうしたらいいのか』と思い切れないところがあると思います。それなら、このグループホーム事業を始めるために物件を購入し、ここで収益を安定的に上げられるようになってから、不動産投資の手を広げていくというやり方もありではないでしょうか」

一方、グループホーム運営においては気を付けるべき点も。

「事業者には、入居者に対する配慮をしっかりする責任があります。例えば、スタッフによる虐待は絶対にあってはなりません。通常は虐待にならないと思われることも、社会的弱者の方に対する場合はそれが虐待になることもあります。私の場合は、スタッフ研修を毎月行うなど、いろいろな対策をとっています。この事業では、ここだけはナーバスになるべきところです」(西川氏)

同じく、西川氏(同氏提供)

重要なのは参入時期

未経験者であっても参入が可能なグループホーム投資。西川氏は、「どんな事業も、いかに需要が成長しているときに入るかという参入時期は重要です。私たちが今やっているグループホーム事業は、今が一番良いタイミングだと思っています。やる気があれば、ほぼうまくいくでしょう。しかし、これが5年後の参入となると、うまくいくかはわからない。そういう時期にいると思っています」と話す。

また、大堀氏は「国の法律で成り立っている事業ですから、その仕組みの中でやれば経営が成り立つようにできています。その上で、入居者を紹介してくれる方やスタッフなど、周囲の協力者・関係者との信頼関係構築が重要になってくると思っています」と話した。

「社会貢献をしながらも、安定的な収益を上げられ、規模を拡大するごとにそのスケールメリットを享受できる」―。2人は、グループホーム投資の魅力をそう話す。福祉マインドを持ちながらも、事業家としてグループホームを運営したい、収益を上げたいと強く思う、熱意ある新たなチャレンジャーを待っていると語った。

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