コロナ禍で収入が減少し、住宅ローンの返済に苦しむ人が増えている。月々の返済もままならない中、何カ月も滞納が続くと、多額の残債の一括返済を迫られる「住宅ローン破綻」。コロナの影響が長期化する中で、前の所有者が泣く泣く手放す物件が増えていく可能性がある。所有者が住宅ローン返済に行き詰まってしまった後、物件はどのような道をたどるのか。残債を返済するための「任意売却」を選択し、築3年のマイホームを手放すことになった夫婦を追った。
「高齢の親と同居を見据え」オーバーローンで購入
運送会社に勤める40代前半のAさんと30代前半でパートの妻Bさん夫妻は約3年前、東京都内に念願のマイホームを購入した。
現在高校生の長男と3人暮らし。将来的にAさんの親と同居することも想定し、「いずれはマイホームを」と考えていた。
勤務先の家賃補助が手厚かったこともあり、結婚後10年以上にわたって賃貸で暮らしていたが、長期の住宅ローンを組むためAさんの年齢を考慮してマイホームの購入を決断。東京都足立区の閑静な住宅街にある3階建て4LDKの新築戸建てを約2900万円で購入した。
「寝室から東京スカイツリーが見えるところと、静かな近隣環境が気に入っている」とマイホームへの愛着をにじませるAさん。家具の新調費用などで貯金を取り崩していたため、自己資金に余裕がなく、頭金ゼロ、仲介手数料などの諸費用も込みのオーバーローンで借入額は3200万円ほどに膨らんだ。
夫婦で月収25万円に減、ローン返済は20万円
携帯料金の支払い遅延が響き、Aさんの審査が通らなかったため、借り入れは妻名義にした。「フラット35」を利用し金利は1.3%。金利約3%の諸費用ローンと合わせて、毎月の返済額は約13万円に上った。当初のAさんの年収は約600万円。妻のBさんも当時は正社員として夫婦共働きだったため「余裕で払える額」と考えていた。
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