※楽待チャンネル上で公開されている「ぼくのブツブツ物件見学記(2話)」を小説化したものです。物語形式で不動産投資を学ぶ内容になっています。
◇
セミの声がジリジリと響く。この音を聞くと、夏がやってきたという感慨深さを覚えるとともに、暑さもいっそう増すような気がしてしまう。それでも今日は少し風もあって、まだ過ごしやすいな…。
そんなことを思いながら、俺はスマホで地図を確認しつつ、神奈川県横須賀市のとある道を歩いていた。
不動産会社「2ndエモーション」で働く俺は、売り主からの依頼があれば(そして、上司からの指示があれば)どこにだって出かける。そして、この10年間ずっとやってきたように、売りに出された物件の「マイソク」を作成するのだ。
マイソク。物件の間取りや所在地、築年数、利回りに価格…さまざまな情報をまとめたこの資料作りは、地味な作業だと思う人も多いだろう。だが、自分でも不動産投資をやってみたいと思う俺にとっては、いろいろな物件と出合え、かつ収支を計算して「俺が不動産投資家だったら」と妄想を繰り広げられる時間でもあるのだ。
そのひと時こそ、俺にとっての「人生最高の時間」である。
◇
今回の物件があるのは、神奈川県横須賀市。横須賀中央駅から歩いて少し行った場所だ。横須賀は山や坂が多いのが特徴で、丘陵地に建っていて、入口まで何段もの階段を上らないといけない戸建ての物件も少なくない。
これまで俺が見てきたマイソクによれば、そうした「階段物件」の家賃相場は、間取りや築年数にもよるがだいたい5万円。入居者は、単身だが広い物件に住みたいという人がターゲットになりやすいが、やはり客付けに苦労しやすいとも聞く。
今回の物件は、果たして―。
この連載について
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不動産会社でマイソクを作り続けて10年。そんな主人公が、マイソク作りのために訪れた投資用物件で、不動産投資家目線で「勝手に」物件をチェックする。果たして自分が投資家だったら、この物件は「買い」か、「見送りか」。
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