大家さんが「法人化」を決めたとき、最初に迷うのが法人の種類ではないでしょうか。通常は「合同会社」か「株式会社」を選ぶと思いますが、最近は比較的手軽に設立できる合同会社を選ぶ大家さんが多いようです。
しかし、手軽さだけで決めてしまっては、あとで思わぬ事態に陥り、後悔する可能性もあります。今回は、大家さんが合同会社を設立する際のメリットと、そこに潜む落とし穴についてお話したいと思います。
合同会社のメリットと注意点
合同会社は、2006年の「会社法」施行と同時に新設された会社の一形態です。後述する通り、手軽に設立ができるうえ経営の自由度も高いことなどから、設立件数は年々増加傾向にあります。
東京商工リサーチの調査によると、2020年に新設された法人約13万件のうち、8万6000件が株式会社、3万3000件が合同会社だそうですので、新設される法人の4社に1社が合同会社ということになります。
そんな合同会社のメリットについて、まずは順番に見ていきたいと思います。
メリット1「設立費用が安い」
合同会社の最大のメリットは、設立費用が安いことです。会社を設立する際は登記を行わなければなりませんが、このときに支払いが必要な登録免許税は、合同会社の場合「資本金の額×0.7%(最低6万円)」です。つまり資本金が少なければ、6万円で会社が設立できるということになります(この他、定款に貼る印紙代が必要な場合もあります)。
一方、株式会社の場合は登録免許税が「資本金の額×0.7%(最低15万円)」必要になります。資本金が少なければ15万円で設立できますが、株式会社の場合、これに加えて「定款の認証」(公証人に証明してもらうこと)に約5万円の申請料が必要となるため、最低でも20万円の費用がかかります。
ちなみに定款とは、会社の名称、設立の目的など基本原則を定めたもので、会社設立時に必ず作成しなければならないものです。合同会社でも定款は必要ですが、認証は不要なため5万円の申請料もかかりません。したがって、合同会社は株式会社に比べて、約14万円安く設立できることになります。
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