PHOTO:jessie / PIXTA(ピクスタ)

不動産会社の広告を見て問合せを行うと、「その物件は成約済みでもう案内することはできません。その代わり、こちらの物件はご案内可能です」などと言われた経験はないでしょうか。

長年、不動産業界では、不動産業者が契約済みや架空の物件情報を掲載して集客を行う「おとり広告」が問題視され続けてきました。販売中のように見せかけ、営業活動を続けるおとり広告は、違法となる可能性があります。今回は、おとり広告に関して、法律的な観点から解説を行い、どのように対処するべきかお伝えしていきます。

おとり広告とは

まず、おとり広告とはどのようなものか、整理していきます。

不当景品類及び不当表示防止法(以下「景表法」)第5条第3号の規定に基づく告示にある「不動産のおとり広告に関する告示」では、おとり広告は以下3つの類型が定められています。順番に見ていきましょう。

1.不動産が存在しないために、実際に取引することができない不動産の広告

架空の物件を作り出し、あたかも販売中かのように広告をするものです。そもそも物件自体が存在していないため、物件がないと発覚した際のリスクが大きいことから、実際に起こる可能性は低いと考えられます。

2.不動産は存在するが、実際には取引の対象になりえない不動産の広告

おとり広告で最も発生頻度が多い事例です。具体的には、既に他の顧客で成約済みになっている物件を、成約後も広告掲載し続けるものです。そしてその物件の広告に問合せをしてきた顧客に対して、自社で案内している他の物件を紹介して成約を目指します。

3.不動産は存在するが、実際には取引する意思がない不動産の広告

例えば、事故物件であるにもかかわらずその事実を隠し、良い物件のように見せる広告をするような場合です。結局のところ、事故物件であるという事実を顧客に開示した段階で、成約する可能性は低くなります。事実を全て開示した状態で取引する意思がない広告と言い換えることができます。

おとり広告は、広告する不動産会社が悪意をもってする場合と、たまたまおとり広告として掲載してしまっている場合があります。前者は既に成約済みで、他の顧客に物件を紹介できないことを不動産会社が知っていながら広告活動を続けているということです。

対して後者は、

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