PHOTO: hellohello/ PIXTA

不動産投資に興味はあるけれども「どんなリスクがあるのかわからない」「失敗するのではないかと不安」という初心者の方も多いと思います。

不動産投資は、うまくいけば安定した家賃収入が得られるなどのメリットがある反面、さまざまなリスクをはらんでいます。

不動産投資で失敗しないためには、不動産投資初心者が陥りやすい失敗例と、それを避けるための方法を事前に学んでおくことが大切です。この記事では、「よくある不動産投資の失敗例」として9つのパターンをご紹介します。

 

よくある不動産投資の失敗9パターン

1)空室が埋まらない

不動産投資で購入した物件が新築や入居者が退去した後の中古の場合、すぐに入居者が見つかると思って物件を購入したのに、なかなか入居者が見つからないケースもあります。

空室期間が長引いてしまうと、入居者がいる状態で不動産投資用の物件を購入した場合でも、退去後に次の入居者が見つからないケースもあるでしょう。

 

長期化で利回り悪化も

せっかく不動産投資用の収益物件を買っても、入居者がいないのでは家賃収入が入ってきません。不動産投資用の物件情報に記載されている「表面利回り」は、あくまでも満室で稼働した場合の数字です。

空室期間が長引いたり、一棟もので空室の割合が高かったりした場合、不動産投資の利回りは想定よりも大幅に下がってしまうでしょう。

また、複数の部屋がある一棟ものの場合は一部の部屋が空室になってもある程度の家賃収入は得られますが、区分マンションや戸建ての不動産投資をする場合、空室期間の家賃収入はゼロとなってしまいます。

 

購入前に賃貸需要チェックを

このような場合、周辺の同じスペックの賃貸物件と比べて賃料が高い、そもそも賃貸需要に対して供給が過剰気味である、立地が悪い、などさまざまな要因が考えられます。

不動産投資で物件を購入する前に、入居付けがしやすいかどうかをしっかり調べるとともに、空室期間が長引く場合はリフォームを実施するなど、工夫をしていく必要があるでしょう。

【関連記事】2年間空室が増え続けた1棟目、「失敗」覚悟から逆転できたワケ

Taro / PIXTA

 2)想定していたより家賃が下がってしまった

賃貸物件の家賃は、新築時が最も高く、その後は減少していくのが一般的です。不動産投資では、契約更新時に入居者から値下げを求められることもあるでしょう。退去が発生した後に新たな入居者がなかなか見つからず、募集賃料を下げざるを得ない場合もあるでしょう。

また、不動産管理会社が不動産投資用の物件を借り上げ、空室の有無にかかわらず一定の家賃を保証するサブリース物件の場合、契約更新時に保証賃料が減額される可能性もあります。

 

下落率の平均は年1%

いずれにしても、不動産投資で物件購入時の家賃水準がずっと続くと考えるのは、危険です。家賃の下落率は、一般的に1年で1%前後といわれています。10年後には1割、20年後には2割下がる計算になります。

家賃の下落を織り込んだ上で、不動産投資の中長期的な収支シミュレーションを立てる必要があります。

3)家賃の滞納が発生してしまった

不動産投資ですでに入居者がいる物件を購入した場合でも、何らかの事情により入居者が家賃を滞納してしまうケースがあります。この場合も、空室と同様に家賃収入が途絶えてしまいます。

入居者に支払い能力や支払いの意思がない場合、何カ月も滞納した末に、最悪は夜逃げをされて滞納分を回収できないといった事態も想定されます。

不動産投資を始めてこのようなことにならないためにも、賃貸借契約を結ぶ際には、家賃保証会社を利用したり、連帯保証人を付けたりしておくのが賢明でしょう

【関連記事】「滞納盗電男」vs.「お人よし大家さん」9カ月の闘いの記録

4)リフォームや大規模修繕に多額の費用がかかってしまった

築30年以上の築古物件や、中古物件を不動産投資で購入する場合、老朽化によりリフォームや大規模修繕に思わぬ費用がかかってしまう可能性があります。

大規模修繕は、経年劣化による建物のダメージを軽減することを目的に行われる大がかりな工事です。代表的なものでは外壁塗装屋上防水などがあり、一般的な周期は12年といわれています。

工事費用は建物の規模にもよりますが、国土交通省が実施した調査によると、1戸あたり100万円前後のケースが多いようです。大規模なマンションの場合、数千万円以上のコストがかかることもあります。

 

エレベーターは維持管理コストがかかる

不動産投資でエレベーターがあるマンションなどを購入した場合、メンテナンス費用や修繕費用がかさむ可能性があるため、特に注意が必要です。また、不動産投資で築古物件を購入して新たに貸し出す場合、室内の壁や床などのリフォームは必須と言えるでしょう。

思ったよりも建物や設備が老朽化していて、多額の修繕費用がかかってしまうと、せっかく安く物件を仕入れることができたのに、不動産投資で期待した利回りが出せないということになりかねません。

papilio / PIXTA

5)大学の撤退などにより周辺環境が変化してしまった

特定の大学や企業、病院などが賃貸需要を支えているエリアで不動産投資をする場合、こうした大規模な施設が移転したり、撤退したりする可能性もあります。そうなると、賃貸物件を運営する環境が大きく左右されてしまいます

大学生や病院職員らの賃貸需要を見込んで物件を購入していたら、不動産投資の計画が狂ってしまうでしょう。特定の施設に依存した不動産投資はこうしたリスクを伴います。不動産投資で物件を購入するエリアを選ぶ際は、中長期的な視点を持っておくとよいでしょう。

6)家賃収入を得るどころか、持ち出しが発生してしまった

不動産投資は安定した家賃収入を得られることがメリットの1つですが、空室期間が長引いたり、家賃が下落したりすることで、収支がマイナスになってしまう場合もあります

不動産投資では金融機関から融資を受けて物件を購入する人が多いです。家賃収入が減ってしまうと、毎月の返済に行き詰まってしまうリスクもあります。

副収入を得ることや、老後の蓄えを増やすために始めた不動産投資が重荷になってしまわないためにも、多少のリスクを織り込んで余裕を持った不動産投資の計画を立てたいです。

【関連記事】「30年後」は赤字のリスクも? CFが激減するワケ

7)売るに売れない物件だった

不動産投資で家賃収入を得るだけでなく、最終的には購入した以上の値段で売却して売却益を得られる収益物件もあります。一方で、売却が難しい物件もあります。

法律で定められた要件を満たしていないために、いったん解体すると新しい建物を建てることができない「再建築不可」の物件や、本来は宅地として開発が認められていない「市街化調整区域」にある物件などが一例として挙げられます。

不動産投資でこのような物件を購入してしまった場合、活用が難しいため需要が低く、買い手がつかないか、著しく低い値段でしか売れない可能性があります。

8)区分マンションの管理費や修繕積立金の負担が重かった

不動産投資で区分マンションを購入した場合、将来の大規模修繕に備えた「修繕積立金」や、共用スペースの清掃・保守点検などにかかる「管理費」が発生します。不動産投資では、これらの費用は一般的に、区分マンションのオーナーが負担することになります。

管理費や修繕積立金の金額は、物件によりますが、入居者から得る家賃収入に対して、これらの費用の割合が高いほど、不動産投資の利回りが低下してしまいます。

【関連記事】ワンルームマニアが明かす「買ってはいけない区分」の見極め方

9)手に負えない築古物件を買ってしまった

新築や築浅の物件に比べて安く購入でき、高い利回りが期待できる築古物件。不動産投資では昨今、「ボロ戸建て投資」なども注目されています。

しかし、DIYなどの知識や経験がない初心者が安易に手を出すと、結局多くの工事を業者に依頼することになって費用が膨らんでしまうということにもなりかねません。プロでも手に負えないほど老朽化していたという場合もあるので、不動産投資で物件を選ぶ際は、注意が必要です。

【関連記事】「不動産投資で失敗する人」にならないために

2.失敗事例から学ぶ

不動産投資のよくある失敗パターンを一通り学んだところで、実際に失敗してしまった人の事例を見てみましょう。具体的な物件情報や融資情報を参考に、失敗の原因や失敗を防ぐための方法を考えていきましょう。

1)Aさん(男性)/50代/会社員

Ushico / PIXTA

購入した物件は?

2017年に横浜市の新築アパート(1R×10戸)を8000万円で購入。購入時の想定利回りは8.0%でしたが、最初の入居付けに苦戦して空室期間が長引いたことや、実際の家賃が想定より1万円以上下がってしまったために、実質利回りが6.4%に低下してしまいました。

業者に進められるがままに、土地勘のないエリアの物件を現地も見ずに購入してしまったというAさん。購入後に初めて現地に行ってみると、物件概要書に駅から徒歩9分と記載されていましたが、実際には15分ほどかかることが分かりました。

狭小物件のリスク

1Rの場合、1部屋の専有面積は、15~20平米が目安とされていますが、購入したアパートの専有面積は、1部屋あたり13平米とかなり狭いです。しかし、Aさんは「単身者用のアパートはそれぐらいの広さかな」と特に疑問には思わなかったそうです。

狭小物件は、退去率や家賃下落率が高いため、取り扱わない金融機関もあります。退去があるたびに原状回復費用や広告費用などが発生し、キャッシュフローが下がる原因になります。

シミュレーションがマイナスに

Aさんは、家賃相場についてはインターネットで調べたものの、キャッシュフローについては、自分では細かく計算しなかったといいます。業者から、「年間で200万円は手元に残る」と言われ、その言葉を信じてしまいました。

実際の利回りで計算したキャッシュフローシミュレーションでは、ローンを完済するまでの30年間はずっとマイナスに。最終的な累計キャッシュフローは、マイナス2958万円となってしまいました。

失敗の原因は?

現地を見ずに知らない土地の物件を購入してしまったこと、自分で計算せずに業者の資料を信じてしまったこと、さらには狭小物件と知らずに購入してしまったことが挙げられます。結果として、空室や家賃下落のリスクを見誤ってしまったと言えます。

2)Bさん(男性)/30代/会社員

freeangle / PIXTA

購入した物件は?

Bさんが購入した横浜市の木造アパートは利回り6.15%、物件価格8732 万円。融資はフルローンで金利1.7%、35年でした。キャッシュフローシミュレーションでは、最初から最後までずっと収支がマイナス。35年後の累計CFがマイナス3550万円という状況になってしまいました。

Bさんは節税目的でこの物件を含む新築区分マンション2戸と新築・築浅アパート計2棟を購入したものの、「借り入れがいっぱいになってしまい、次の拡大に向けて融資が引けず打ち手がない」状態になってしまいました。

長すぎる融資期間

この原因の一つは、木造の法定耐用年数が22年なのに対して35年という長すぎる融資期間です。35年・フルローンというのはいい融資条件ではなく、不動産会社と銀行の「罠」で、見せかけのCFを出すためのマジックです。

物件の利回りが6%台というのも、都心や主要駅でもない立地としては、かなり低いと言えます。駅の周りには何もなく、物件周辺に利便性の高いスーパーやコンビニなどもありません。このようなエリアは残念ながら賃貸需要が低いと言わざるをえません。

高すぎる返済比率

また、月間家賃収入44万8000円に対して返済額が31万4500円なので、返済比率は70%となります。返済比率は5割以下に抑えるのが理想的で、これは高すぎです。

不動産会社のシミュレーションにも問題がありました。入居率が95%固定で試算されていますが、8部屋のアパートで1部屋空いたら87%になってしまいます。35年間ずっと95%を維持するというのは非現実的すぎるシミュレーションです。

失敗の原因は?

融資期間が長すぎたこと、返済比率が高すぎたこと、立地に対して利回りが低すぎたことなどでした。先輩投資家からは「救いようのないダメ物件」と言われてしまいました。これらの数字の見方が甘すぎたBさんのようにならないためにも、融資期間や利回りなどを考える際は目安となる数値を頭に入れておく必要があります。

3.まとめ

Graphs / PIXTA

以上が、「よくある不動産投資の失敗」の9つパターンと、実際に失敗してしまった人の事例でした。この記事では、不動産投資初心者が陥りやすい失敗例をご紹介してきましたが、「不動産投資で失敗しやすい人」の特徴もいくつか挙げておきましょう。「勉強不足」「不動産会社の言うことを鵜呑みにしてしまう」「シミュレーションをしない」といった共通点が浮かびます。

裏を返せば、「不動産投資に必要な知識は身に付ける」「不動産投資の物件選定や運営は、他人任せにせず、自分で考える」「しっかりと不動産投資のシミュレーションを作る」といったことができているほど、不動産投資で失敗するリスクを下げることができるでしょう。

 不動産投資をしていく上では、さまざまなリスクや困難に直面することもあるかもしれません。しかし、多くの不動産投資初心者が経験してきた失敗例や失敗しやすい人の共通点を知ることで、不動産投資での初歩的な失敗は避けられるのではないでしょうか。

大事な資産を投じて不動産投資を始めたのに「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、不動産投資に闇雲に手を出すのではなく、可能な限りの準備をしてから不動産投資の一歩を踏み出しましょう。

(楽待新聞編集部)